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「これで一気に4段目だ! 行くぞ、トラ男! ジェイデン!」
「あぁ!」
「行け!」
俺たちが数段階段を登ったところで、ブリキたちが突っ込んでくる。だがそれは俺たちに届く前にキュロスが斬ってしまった
「兵隊!」
「先に行くぞ!」
「あっ、待て兵隊!」
「キャベンディッシュ!」
「ここは任せて早く行け!」
破裂玉をロメオが体で受ける。あいつまさか、自分の能力をこの階段につぎ込んでるんじゃねえだろうな……。
「ロメオ!! お前死ぬなよ!!」
俺の声が聞こえているかはわからないが、言っておかねばならない。あいつマジでルフィのためなら命投げ打ちそうだしな。流石にそうはいかん。また一緒に酒飲んで麦わらトークとかしてえんだ。
俺たちはロメオが作ってくれた階段を全速力で駆け上がる。
「クソ、急がねえと兵隊にミンゴをぶっ飛ばされちまう!」
「麦わら!」
「なんだ?」
「背後からさっきのブリキが来てる! もっと速く走れ!!」
「まだいるのかよ!」
「もうすぐ4段目だ、振り切れ!」
「「おう!」」
俺とルフィが声を揃えて返事をする。
4段目、ひまわり畑まであともう少し。4段目にたどり着けばローの錠をやっと外せる。
「ルフィ! 4段目が見えた!」
俺がそう言うと、ルフィは大きく息を吸い、そして口を開いた。
「レベッカーーー!!!」
「ルーシー!」
「レベッカさん! 鍵! 鍵をくれ!! ローの錠の鍵!!」
「ジェイデン、飛ぶぞ!」
「えっ? あ、うぉっ、うわぁっ!?」
ルフィがローごと俺を抱き抱えて大きく跳躍し、鍵を掲げるレベッカの方へ手を伸ばす。
「鍵、受け取ったか!? 俺に寄越せ、俺なら海楼石に触れる!」
「ああ! そのつもり…ッ!」
背後にいたブリキが大きく口を開けて俺たちを口の中に閉じ込めた。だがこいつらはそのまま飲み込むような猛獣じゃない。ただの空洞のブリキ。つまりただ手元が暗くなるだけ!
俺はルフィから鍵を受け取り、ローの海楼石の錠を外した。
「ROOM!」
ブリキはローによってバラバラにされ、下へと落ちていった。
「よっしゃ!!」
思わずガッツポーズをしてしまう。
ローは俺の手から離れ、そのまま地面に着地する。
「やっと追いついた」
「やっと自由だ!」
「この先がドフラミンゴのいる4段目だな」
「あいつ、あそこにいるのか」
「ああ」
「ロー! 麦わら!」
「ディアマンテ」
「ジェイデン、レベッカのところにいてくれ」
「…言われなくてもそうするつもりだよ。俺はドフラミンゴ戦に加勢するにはちょっとばかり力が足りないからな。……お荷物はごめんだ」
自分が惨めになるからな。俺はレベッカの横に立つ。
ディアマンテがこちらに向かって来ようとするが、キュロスがその剣を受け止めた。
「すまんが2人、私はこいつで手いっぱいのようだ。ドフラミンゴは任せていいか?」
「「もちろんだ!」」
「じゃあ、ここは頼むぞ、兵隊」
「了解した」
「ジェイデンも頼んだ!」
「ああ。任せてくれ」
「行くぞ、麦わら屋」
「おう! …そうだ」
頼んだ、と言ったのに一度こっちに戻ってくる。そしていつもの様に屈託のない笑みを浮かべてルフィがレベッカに言う。
「良かったな、父ちゃんに会えて」
「……うん」
「鍵、ありがとな。行ってくる!」
ルフィは再びドフラミンゴの元へと走っていった。
「……ねえ、ルーシー! ほんとに、あのドフラミンゴを……ドフラミンゴを、倒してくれるの?」
「ルーシーじゃねえ。おれはルフィ。海賊王になる男だ!」
麦わら帽子をかぶり直したルフィはレベッカの方を向いてそう宣言した。
「だから安心してジェイデンと一緒にいろ!」
「レベッカさん、少し離れよう」
「うん」
俺たちはひまわり畑から、というよりキュロスとディアマンテから少し離れる。巻き込まれちゃ世話ないからな。
「あのキュロスって人が、レベッカさんの父親なのか?」
「そうなの、おもちゃにされて、ずっとずっと忘れていたけど、あの人は私のお父様」
「…そうか」
「あなたの名前はジェイデン、って言うの? ルーシー、じゃなくてルフィが言っていたわ」
「ああ。ジェディでいい」
「なら私のことも呼び捨てでいいわ」
「わかった」
俺たちは少し距離を離し、ひまわり畑の中に身を隠す。
あとはルフィとローがドフラミンゴを討ってくれれば、それですべてが終わる。俺は、祈ることしかできないけど……だけど、あいつらの勝利を信じている。
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