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ひまわり畑での戦闘はキュロスがわずかばかり押しているように見えるが、ディアマンテがどんな能力を持っているのか、俺は知らない。でもレベッカを守らなくては。ルフィに言われたんだから。
2人の戦いが始まってしばらく、ディアマンテが地面に手をついた。すると地面が波のようにうねり始める。
「あっ地面が! あっ、ああっ!」
「レベッカ! 俺の手を!」
「う、うんっ」
「どうだ、ひらひらはためく大地は。立ってるのもツラそうだな」
ディアマンテは嫌な笑い声を響かせながら言う。レベッカの手を引いて立たせてやる。
「ほれ、どうする? どうする~? ひらひらとはためくこの大地。無様だな。地べたに這いつくばっちまえよ。おもちゃの兵隊!」
「っ…」
「なるほどな。すべて繋がった。あの日見苦しく泣き叫んでたおもちゃの兵隊がお前だったんだな!」
「く……うぅっ…!」
「死んだスカーレットの夫であり、そしてレベッカの父親。こりゃいい。俺とお前には因縁しかねえな、キュロス!」
「そうさ! だからここへ来た!!」
キュロスは再びディアマンテに斬りかかる。だがその攻撃も更迭のマントによって空しく弾かれてしまう。
すると、ディアマンテの視線が俺、いや…レベッカに向いた。
「ウィーペラグレイブ」
「ハッ、レベッカ!」
俺はレベッカを抱き抱えて空へと逃げる。
「チッ!」
「俺が見えねえのかよ、ディアマンテ!」
ディアマンテの攻撃を避けつつ、レベッカを抱えて俺は上空へと舞い上がる。
「キュロス! レベッカのことは俺に任せてくれ!!」
「っ、すまない!!」
「お父様!」
俺はそのまま空中を飛び回り、レベッカを連れて逃げ回る。
「降りるぞ」
「うん」
それからもディアマンテはキュロスを狙っているようで、俺たちの方に剣を蛇行させて攻撃を仕掛けてくる。
あいつは勘違いをしている。レベッカはキュロスの弱点ではなく、逆鱗だということを。
「さあどうするおもちゃの兵隊」
「お父様、私も戦うよ! 降ろして、ジェイデン!」
「そうだ戦えレベッカ! 殺してやるよ! 妻も子も失うキュロスを俺は見てえのよ!」
「お父様!」
「いいんだレベッカ、守らせてくれ。スカーレットの分も! ハァ、ハァ、償わせてくれ! お前に戦いを教えてしまったことを! 今日までずっと悔いて、恥じて生きてきた。――人間に戻れた今、もう二度と娘に剣など振らせやしない!!」
キュロスのその覚悟を、レベッカは黙って聞いていた。
レベッカはキュロスを、キュロスはレベッカを想っている。だから俺は少しでもキュロスが楽に戦えるように、レベッカを守るのだ。
「少し遠くへ行くぞ」
「ジェイデン…」
「わかってる。ちゃんとあの2人の戦いが見える範囲にいるから」
俺は再び2人から距離を離すようにひまわり畑を移動する。足は止めてはダメだ。動き続けなければ。
レベッカを守りながらではまともに戦うこともできない。でもキュロスならきっと大丈夫だ。あの男の強さを信じよう。
「ウィーペラグレイブ!」
「クソ野郎、俺たちばっか狙ってねえでいい加減キュロスとタイマン張りやがれ!」
そう言いながらも、俺はまたレベッカを抱いて空を蹴り、回避行動をとる。烏融でディアマンテの剣を受けようとした時、蛇のように蛇行する剣がさらに不自然に軌道を変える。そこにはひまわりの花びらではない、別の花びらが舞っていた。
「この、花びらは……」
「ロビンさん!」
「ロビランド!」
「レベッカを守ってくれていてありがとう、ジェイデン。ここからは私もレベッカを守るわ」
「ありがとう、ロビンさん」
「ぐぬ……小癪な、ニコ・ロビン」
「少し相手にハンデがありすぎじゃない?」
「ハンデ? おいおい…フェアな決闘か何かと勘違いしてねえか? ウハハハハ! これは処刑だ、ニコ・ロビン。ブハッ、ブハッ、ブハハハハ!!」
「それは、逆じゃないかしら?」
「ああ?」
ディアマンテが眉を顰める。
「キュロス! もうあんたの娘には2人もついてんだ。後ろなんか絶対気にすんじゃねえぞ!」
「恩に着る。もう限界だった。――怒りのな!」
やはりレベッカは彼にとって弱点ではなく、逆鱗だったのだ。レベッカが無事な限り、キュロスは決して折れない。
「ロビンさん、ロメオは?」
「ニワトリくんは下にいるわ。幹部を1人倒してくれたところだと思うわ」
「そっか……ならいいんだ。ロメオはやるときはやる男だからな」
ディアマンテが剣を構え、また卑劣な笑みを浮かべていた。