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元貴 side …
青い空。涼しい風が頬を撫でる。目の前には透き通るような美しい海。波が引き寄せたかと思うと、微かに足首に冷たい水が触れる。冬で寒いはずなのに、何故か寒さは感じない。
ここ、どこだっけ。どこかで見たことある景色。辺りを見回していると、後ろから懐かしい声がした。
「綺麗」
少し低くて落ち着いた俺の大好きな声。
「若井」
大好きな人の名前を呼ぶ。だけど、彼の姿はどこにも見えない。俺は見えない彼に話す。
「名前、呼んでよ」
後ろから鼻で笑うような声が聞こえた。若井が息を吸う音がする。早く、名前呼んでよ。
『ピピピピッ!!!!』
ああ。まただ。また聞こえなかった。
あれは夢だ。また若井の夢を見たんだ。
気がつくと頬にカーテンの隙間から零れた光が当たる。
「…おはよう」
誰も居ない部屋に響く俺の声。誰も返してくれないのは分かってる。それでも、もしかしたら”貴方”が返してくれるかもと俺は呟くんだ。
スマホを取り、日付を確認する。2025年12月20日。ちゃんと時間は進んでる。
若井が死んだあの日以来、俺は日付をよく確認するようになった。なんだかあの日から時が止まってしまってるような気がして、つい日付を確認してしまう。
洗面台に向かおうと、部屋から出ようとしたその時。部屋に置いてある姿見に自分の姿が映った。あれ、俺こんな細かったっけ。最近食べていない訳では無い。それでもなんだか痩せた気がする。足から順に自分の体を見ていくと、あることに気づく。
「…なんなんだよッ笑」
頬には涙が伝っていた。俺、何泣いてんだろ。若井が死んでからあと数日で1年経つ。みんな段々と前を向こうとしている中、俺だけが未だに下を向いている。ふとした時に若井のことを思い出してしまうんだ。俺はいつか、本当に若井を忘れて暮らせられる日が来るのだろうか。まぁ、忘れることは無いと思うけど。そんなことを思いながら、俺は洗面所へと朝の支度をしに向かった。
「おはようございます」
「おはよー!」
いつの間にかスタジオまで来ていた。スタジオには既に涼ちゃんとスタッフさんが収録の準備をしていた。俺は荷物を部屋の隅に置き、涼ちゃんの隣に腰を下ろした。涼ちゃんはスマホでSNSを見ているようだった。俺もスマホを開き、適当にアプリやらSNSを見ていると、涼ちゃんが呟いた。
「…あと3日で1年かぁ」
「っ…そうだね、」
お墓参り行かないとねと涼ちゃんは続ける。でも、そう呟く涼ちゃんは少し暗い顔をしていた。それでも涼ちゃんはきっともう立ち直っていて、前を向いて生きているのだろう。それなのに俺は未だに若井のことを引きずって、あの日から前へと進めない。少しだけ目頭が熱くなるような気がした。その時、涼ちゃんがスタッフさんに呼ばれ、収録へと行ってしまった。
「じゃ、またあとで!」
「うん」
遠くなっていく涼ちゃんの背中。その背中は優しくて暖かく、大きな背中だった。俺も涼ちゃんみたいになりたいな。涼ちゃんみたいに、前を向いてみんなを励ますような人になりたかった。そんなことを考えていると、俺もスタッフさんから収録への準備で呼ばれ、部屋を後にした。
いきなり現代、どちらかと言うと未来 笑
ちなみに今作者は
第11話を書いております。
中々思うような展開と
言葉が噛み合わず(?)
少々苦戦しております…💭💧
まぁ頑張って書きますよ!!!!
ではまた次のお話で^^