元貴 side …
「お、元貴も来た」
「涼ちゃんもう収録終わったの?」
扉を開け部屋に入ると、丁寧にフルートをケースへと片付ける涼ちゃんの姿があった。俺が収録が終わったのか聞くと涼ちゃんは笑顔で答えた。
「うん!今日ね、フルートの調子がものすごーく良くてね!めっちゃ上手くいったんだよね〜」
ありがとねーと涼ちゃんは付属のガーゼでフルートを撫でるように優しく拭く。相変わらずふわふわとした優しいオーラを放っている。なんだそれと俺は笑いながら返す。
「じゃあ次、大森君ね〜」
「はい、お願いします」
スタッフさんに話しかけられ、俺はマイクの前にセットされた椅子に腰をかけ、ヘッドフォンを装着する。すると、スタッフの合図で音楽が流れ始め、収録が始まる。
収録が始まってもう何時間経つのだろう。なかなか思い通りに上手く歌えない。何度も何度も録り直している。
「お願いします。あともう1回だけでいいんです!」
「今日はもう終わりにしよう。喉を壊したらどうするんだ。」
部屋に俺とスタッフさんの声が響く。ラスサビは絶対に綺麗に美しく歌い切りたい。なのに、思うように声が出ない。悔しさと苛立ちで俺は声を荒らげた。
「お願いします!!歌いたいんです!!」
はっとした時にはもう遅い。初めて収録中にこんな声を出した。スタッフさんは驚いたような顔でこちらを見ている。だが、スタッフさんは直ぐに表情を変えて話す。
「だめだよ。これ以上やっても喉を壊すだけだ。誰にだって上手くいかない日はあるよ。」
そう言うとスタッフさんは荷物をまとめて部屋から出ていってしまった。バタンッと部屋の扉が閉まる音がした。その瞬間、全身の力がふわっと抜けて、椅子に座り込む。
「…なんも上手くいかないッ」
部屋には俺しかいない。俺の声だけが響く。俺がどうしてこの曲を完璧に仕上げたいのかと言うと、これは若井に向けて書いた曲だからだ。このことはまだ誰にも言っていない。誰にも言う予定はない。本当は若井の命日にリリースもしたかったけど、予定が合わず命日にリリースはできなくなってしまった。俺は机に置かれた楽譜を手に取り、今日収録できた部分まで印を付ける。
「…あと少しで完成なのにな」
ラスサビ前で止まってしまった印を指でなぞる。こんなこと考えても無駄なのは分かってる。スケジュールを無理に変更したら多大なる迷惑をかけるに違いない。深く深呼吸をして気持ちを切替える。俺は荷物をまとめて帰りの支度をはじめた。
廊下に出ると、ばったり涼ちゃんに会った。
「お!元貴も帰り?」
「うん、何その学生みたいなノリ笑笑」
いやー今日フルート上手く出来たのが嬉しくてと頬を赤らめながら涼ちゃんが呟く。
いつの間にか俺たちは2人で帰っていた。くだらない話や仕事の話などをして盛り上がっていた。
いつもお話を読んでくださり
ありがとうございます😭🔥
昨日、やっとPart of meを最終話まで
完成出来ました…!!!
ちなみに今は次のお話を考えております🤔
次のお話はまだ私の中で
完全に完成されていなくて(?)
これから、 どういう展開かなどを
詳しく考える予定です!!
あと、もしかしたら次のお話、
完全にえっちな話になるかもしれません ((
「泳がす貴方と泳ぐ僕」以上の
えっちな感じになるかも…笑
暗くてえっちとかじゃなくて、
もう本当にただのえっち的な… ((
まぁ、まだ考えている途中なので
ボツ作になる恐れありです🫣
気長に待ってて貰えると
嬉しいなっ
ではまた次のお話で^^
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