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次の日も晴天で、私達はホテルを出てあんこさんが待つ『杏』に向かった。
結婚パーティーは11時から。
私は今日のために祐誠さんからプレゼントされたフォーマルスーツを着て、髪をアップにした。
祐誠さんと正孝もスーツで正装していた。
『杏』の近くの広場が会場になってて、可愛いアーチをくぐったら、ベンチシートがいくつか並べられていた。
前の方に作られた祭壇には可愛いお花がたくさん飾られていて、手作りの温かみを感じた。
地元の人達もたくさん集まってきて、私達も席に着いた。
そして、澄み切った青空の下、結婚式が始まった。
あんこさんが白いウェディングドレスで登場すると、大拍手が巻き起こった。
ショートの黒髪にウェディングベール。
167cmの細身の体にピタッとした大人っぽいドレス姿があまりにも美しい。
思わずため息が出る。
東堂社長も白いタキシード。
背の高い2人、本当にお似合いだ。
東堂社長の歩く姿がちょっとぎこちなくて、クスッとみんなの笑いを誘った。
かなり緊張してる社長に対して、凛とした大人の風格があるあんこさん。
いつだって堂々としててさすがだ。
まるでこれから先の家庭内の力関係が垣間見えるみたいで、私も少し笑ってしまった。
そこから式は、おごそかな雰囲気の中、2人の結婚の誓いへと進み……
そして、キス。
あんこさんのあまりに美しいウェディングドレス姿を見て感極まったのかな?
東堂社長は、少し目を潤ませていた。
そうだよね、何年も何年も待ち続けて、ようやく大好きな人と結ばれたんだもん。
どうしようもないくらい嬉しいはずだよ。
たとえ結婚という形がなかったとしても、ずっと前から2人は大切な関係だった。
でも、今、この結婚式で、その想いがさらに深く結びついたんだ。
そんな素敵な瞬間を目の前で見守ることができて、私は本当に幸せだった。
感動の素晴らしい結婚式が終わって、ふと後ろを振り返ったら、そこに……
スーツ姿の慧君が笑顔で立っていた。
「慧君……」
ずっとずっと長い間会ってなかったのに、つい昨日も会ったような気にさせるくらい自然な再会だった。
でも、いつもと少しだけ違って見えたのは……慧君がスーツ姿だったせいだ。
とても良く似合うんだね、初めて見たよ。
私は、祐誠さんと共に慧君に挨拶をした。
「慧君、久しぶり。この度は本当におめでとうございます。東堂社長とあんこさん、すごく素敵だったね」
「おめでとうございます。本当に良い結婚式に参列させてもらったよ、ありがとう」
「榊社長、雫ちゃん。わざわざ遠くから北海道まで来ていただいてありがとうございます。突然仕事が入ってしまって、昨日はお迎えもできなくてすみませんでした。式には何とか間に合いました」