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魔王時代は人間との戦争に明け暮れた。味方の魔族であっても余の怒りに触れれば容赦なく斬り捨てた。転生後の異世界は平和すぎる。余は血に飢えていた。
「森、ちょっと顔貸しな」
放課後すぐ、クラスの女子生徒四人に声をかけられた。友達になってというニュアンスではない。余をボコボコにしたくてたまらない。四人の顔にそう書いてあった。
どこに連れて行くのか知らないが、おとなしくついていった。かなり物足りないが、最初に血祭りに上げるのはこいつらにしようと決めて。
「なんでニヤニヤしてるんだよ」
火責めにしようか水責めにしようか迷っていたなどと余計なことは答えない。まあ両方にしよう。
校外に出て五分ほど歩くと、空き地があった。どうやら血祭りの舞台はここらしい。
「ここで余に危害を加えるつもりか」
「何が〈余〉だ? 王様か、おまえは?」
魔王だから王様には違いなかろう。
「余に危害を加えたい理由は?」
「は? しらばっくれるんじゃねえよ! おまえ、あたしの彼氏に色目を使っただろう? 人のものに手を出しやがって。恥ずかしい動画撮ってバラまいてやるよ」
当然身に覚えはない。余が転生してくる前のもとの魂の仕業だろうか。それともただの濡れ衣か。余としてはどちらでもいい。この者たちを血祭りに上げられれば。
それにしても、人のものに手を出すって、この世のすべては余のものなのに何を言っているのだろう?