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続き待ってます!
〜71日目〜
セカイに行くと座って本を読んでるまふゆがいた。
うわ、少女漫画だ。でた、好き恋だ。
「まーた読んでるの?」
「最新刊まで追いついちゃった」
「結局二人って付き合えたわけ?」
「うん。自分の思いに気がつけたみたいで、ヒロインに告白してたよ」
「へえ〜長かったわね」
まふゆの隣に座って、もたれ掛かる。途中、それも合間合間しか読んでいないが、ただ二人が付き合ってイチャイチャしてただけなので内容が分からないということはなかった。
「……いいね、二人は幸せそうで」
「え、何それまふゆって恋人とか欲しいの?」
「私って幸せ?」
「知らないわよ……。いや、それちょっと貸して」
直ぐに貸してくるまふゆ。漫画をパラパラとめくっていく。この二人が幸せそうっていうなら、こういうことが好きなのかな、とは思うけど。
「あ、この二人は幸せそう?」
手を繋いでクレープを食べて笑い合う二人の様子を見せる。
「うん、まあ」
「なら私達もしてるじゃない。じゃあ私達も、まふゆも幸せなんじゃない?」
「……」
「ほら、これとか、最早さっきまでの私達じゃん」
それはヒロインが恋人の肩に頭を乗せて一緒に本を読んでいるところ。
「ほんとだ」
「幸せ者ね、まふゆ」
「でも、絵名がいないと幸せになれないよ?」
「……うーん。ゆっくり一人でも幸せになれるように頑張ればいいんじゃない?」
「一人で……」
「まあ幸せの定義なんて分かんないし適当でいいのよ。あと、別に私はまふゆから離れたりしないから、そこは心配しなくていいからね。少なくとも今は私といれば幸せだから」
「……うん」
私はまふゆが先程まで読んでいたページまで戻す。この二人がしていることなんて、私達も殆どしているんじゃないかと思う。
「これ、する?」
「え?」
開かれたページには、床ドンと言われているものをしている二人の姿が描かれていた。ヒロインがドンしてる側でされている側が男の子だ。
よくある転んでこの状態になったというやつだ。
「え、どうして……?」
「幸せの気持ちを知りたいから?」
「そ、それなら? じゃあ寝転がってよ」
「絵名違うよ、足をもつれさせて私を巻き込まないと」
「それはどうでもいいの。ドンしてれば大抵ドキドキするから」
「そうなんだ」
ごちゃごちゃ言うまふゆを地面に寝かせて、私は手を床に着ける。
「で、どう?」
「漫画は顔近づけてたけど」
「は!?」
それをやれということか、いや、別に近付けるくらいならポッキーゲームでやったから……でもこれは私だけしか近付けない、いや、どうせ近付けるという行為には大差はないか。
ゆっくりと目を合わせながら近付けていく。三十、二十、十、段々と近付いていく。
ふいに、まふゆは目を逸らした。私はそこで止まる。
「へ〜照れてるんだ」
「別に」
「ふーん、でも、それが幸せの気持ちなんじゃない?」
「絵名調子乗ってる」
「そんなことないでーす」
私は身体を離し、少し伸びをする。遅れてまふゆも身体を起こしてきて、じっと私を見る。
「絵名って意外と顔が良いよね」
「意外とって何よ。ていうか感想がそれ!?」
まふゆは返事をすることなく、また漫画を読み始めた。暇なので、私はまたまふゆの肩に寄りかかり、その漫画を読むことにした。