テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
#命の選択
ぷち
915
カナ
49
コメント
3件
うわあああ最新話読み終えたよ…!!😭💕 まさかの吹雪で遭難→魔法で一瞬で豪華屋敷に避難!しかも個室はキッチン&バス付きって神すぎるでしょ…🛁✨ ノワールの「トイレの問題深刻だぞ」って現実的なツッコミに笑った🤣 ブランさんの笑顔の裏の冷たさもゾクゾクするし、フェネスが図書館に拉致られそうな未来しか見えない…! この屋敷、もはや避難所じゃなくてテーマパークやん!次回も絶対読む🌨️🔥
北の大地で氷で閉ざされた洞窟の中にあると言われている宝物を回収するように。
フィンレイからの新しい依頼が屋敷に届いた。
全員で行くほどの難易度ではないだろうし、指輪のおかげで最大の難所と言われている見えない崖に落ちることもないだろう。依頼の内容を確認した執事達はとにかく体力がある者を優先的に行かせるべきだと考えて、ハウレス、フェネス、バスティン、テディの4人に行かせることにした。あとはケイティか兄弟のどちらかが来てくれたら万が一戦闘しなくてはいけなくなった場合に力の解放ができる。代表としてハウレスが主の部屋を訪ねた。
ーコンコンコン
✝️「失礼いたします。ハウレスです。主様、いらっしゃいますか?」
ハウレスが返事がないので一応見るだけ見て探しに行こうかと悩んでいると扉が開いた。
N「急用か?今また図書館で魔法の研究するって引き篭もってるんだが、呼んできたほうがいいか?」
✝️「そうでしたか…うーん…主様の研究の邪魔をするのは気が引けますから…お兄様にお願いがあります。北の大地の氷の洞窟にあると言われている宝物を見つけてきてほしいとの依頼が来ましたので、サポート役としてついてきて頂けないでしょうか?」
N「俺は別に構わねぇけど、兄さん…ブランが多分その宝物に興味があるかもしれない。でも体力や戦闘能力だけを見たら俺のほうが上だ。俺が行って、宝物を見つけたらブランも呼んでいいか?」
✝️「はい、それで構いません。では、ブランさんの方は主様のお世話をしながら貴族の接待や交渉に行かれることになるということになりますよね?主様のお食事を運ぶくらいなら執事にもできませんか?できるだけブランさんの負担を軽くしないと…あの方はナックみたいにほとんど寝ずにこの世界の情報をかき集めていらっしゃいますので…」
N「あぁ…兄さんは昔からケイトのためなら何でもするからな…。ケイトが洗脳できなかった貴族たちをいかに上手く使うか考えてるらしい。ルカスもナックもビックリなくらい卑劣で狡猾な手段を思いつくから本当に中身腐ってんなって思うんだが…それのおかげでケイトと俺が守られてると考えると悪い奴じゃないんだ。正義感の塊みたいなアンタには理解できないかも知れないが、兄さんは自分なりの正義を貫いてるってことだけ知っていてほしい。どんなに卑怯な方法で貴族を利用しても…な」
ノワールは遠征に行くための準備をして、ロノに鏡を使ってケイティが引き篭もっている図書館のある世界に行くための鍵を渡した。
これを持っていれば魔法の知識も魔力も無くても世界を渡ることができる。
ロノはフルーレから細いリボンを貰って首から下げた。
🍽️「ノワールさんがいない間の飯は俺に任せてくださいね!3食キッチリ届けるんで!」
N「あぁ、よろしくな」
そこにケイティが食べ終わった皿を下げに来たブランが合流した。
B「これからはロノ君がご飯運んでくれることになるんだね?それなら僕は情報収集と交渉に集中できて嬉しいな。キティの図書館はかなり散らかってるだろうけどあんまり引かないであげてね。集中してる証拠だと思ってあげて」
🍽️「……それはハウレスの部屋みたいに散らかり放題ってことで良いのか?」
B「うーん…汚部屋ってわけじゃなくて、ただ魔導書が至る所に積み上げられてて足の踏み場が無くて、魔法陣を床一面に描いてるから…片付けが出来ないフェネスさんだとでも思ってもらえると分かりやすいかな?」
🍽️「片付けが出来ないフェネスさんか……うーん…とりあえず本がいっぱい散らかってるんですね?」
N「そうだな、そんな感じだ。バスティンも依頼に行くから料理するのも大変だと思うが、ケイトのことよろしくな、ロノ」
B「どうしても人手が欲しかったら手伝うからね?」
🍽️「いえ、めちゃくちゃ食べるバスティンとテディさんも、そこそこ食べるハウレスとフェネスさんも依頼に行くから料理はいつもの三分の二くらいで済むんでお兄さんの手は煩わせませんよ!」
B「そう?なら貴族からもっとお金毟り取らないとだね。ロノ君が食材や香辛料を惜しみなく買えるようになれば料理の幅も広がるだろうし」
ブランは腕にかけていた黒いローブを羽織ってフードですっぽりと目まで隠すと感情を感じさせない笑顔を見せる。しかし、その目は狩りをする狼の瞳そのままで、ロノは寒気を覚えた。この人を怒らせちゃいけない、と本能的に悟り、とりあえず機嫌を取ろうと今晩の食事の話題に持っていく。
🍽️「ブランさんは今日はルカスさんと一緒に交渉の仕事に行くんですよね?夕飯は何が食べたいですか?主様には食べやすいパニーニでも用意しようと思ってるんですけど…」
B「何時に帰れるか分からないから僕もそれでお願いしていい?」
🍽️「わ、分かりました!」
B「なぁに?急に優しくなって…直情的なノワールとの相性はいいだろうなとは思っていたけど、僕にはあまりいい印象を持ってなかったんじゃない?それなのに急に媚びるだなんて何か心情の変化でもあったのかな?」
笑顔を崩さずにロノに近づき冷や汗をかいている顔を覗き込んだ。
N「そういうのが怖いんだよ。にこやかなのに殺気が隠せてないのが…」
ノワールはブランとロノの間に入ってブランを睨む。
B「あれ?ノワールも怖いって思う?おかしいなぁルカスさんやユーハンさんをお手本にしたんだけど…」
N「どっちも殺気を隠さない笑顔するだろ…お手本にするんならテディとかにしとけ」
B「テディ君はねぇ…考えてみてよ、僕が「今日はいいお天気ですね!気持ちも明るくなってラッキー!」とか言うほうが怖いでしょ?目線まで計算してる訳じゃないから目はこのままだよ?サイコパスになっちゃうよ」
🍽️「テディさんたまにサイコパスだからな…」
N「そうそう、笑顔で毒を吐くよな」
B「そういう訳だからいい塩梅を探っていくよ。胡散臭くもなくサイコパスでもない笑い方。じゃあ僕はルカスさんを待たせてるからこれで」
ブランがそう言って厨房から出ていくと、ロノとノワールは揃って溜息を吐いた。
N「やっぱ怖いわ…兄さんが笑ってるだけなのに空気が冷たくなる感じ…」
🍽️「俺ブランさんは心読めるんじゃないかって思うんですよ…俺が怖がってるのを分かったうえで詰めてくるところとかマジで怖かったです…
でも主様のためにって貴族を手のひらで転がせるような話ができるのは羨ましいですね。俺も値引き交渉とか上手になりたいですから」
N「ロノはそのままでいい。じゃないと俺のマトモな話し相手がいなくなっちまう。ケイトもロノの性格気に入ってたぞ?無理矢理自分じゃない人間を演じるのも疲れるし、いきなりキャラ変えたら皆に心配されるんじゃねぇか?」
🍽️「うーん…そうですかね…」
2人は皿を洗いながら、ブランがどうしてあんなに怖くなってしまったのだろうかと話していた。
その晩日持ちする食料と水、雪の中で野宿するための装備やふかふかのコートや防寒具を背負ってハウレス、フェネス、バスティン、テディが玄関ホールに集まった。口々に重たいけれど大丈夫だろうかと心配を口にしていたが、ノワールが腰に巻いたバッグ1つだけで現れたことで静まり返った。
⚔️「これから行くのは雪山だぞ?」
✝️「流石に軽装備過ぎますよ?往復で2週間はかかるんですよ?」
🦋「せめて防寒具とかが無いと凍え死んでしまうかもしれません…」
🧸「本当にそれで行くんですか?俺心配です…」
4人が口々にまるでちょっと街まで出掛けるくらいの服装と荷物で雪山登山に行こうとしているノワールを止める。
N「?防寒具も食い物も飲み物もテントも寝袋も全部入れてるぞ?
……あぁ!収納魔法を知らないのか!だからそんな馬鹿デカい荷物になったんだな。ケイトに全員分のカバンか何か作らせればよかったな。まぁいいや、それ重いだろ?収納空間にとりあえず入れていくから身軽に行こうぜ?」
ノワールがパチンと指を鳴らすと何もなかった空間に小さなブラックホールのようなものが現れる。
N「道中で絶対必要って物以外はここに突っ込んどけば水も食い物も腐らないし、必要なときはぱっと取り出せるから。とりあえず必要なのは水と地図くらいだろ?それ以外はここに突っ込んじゃって」
執事達は困惑した様子でとりあえず水と地図とコンパスなどの雪山に向かうために必要な物だけを残してノワールに荷物を渡し、収納空間に入れてもらった。
🦋「えっと……本当にこんなに身軽になっちゃって大丈夫でしょうか…?武器を取り出すのに時間がかかったりしませんか?」
N「あぁ、欲しいものを念じれば大体の物は手元に来るから大丈夫だ。アンタ達の指輪にも一応収納空間にアクセスできる権限が付与されてるから」
⚔️「じゃあもう少し干し肉を買って持っていってもいいんだな?」
N「干し肉なんかでいいのか?ケイトが今度食べるとか言って放置してる兎とか鹿の肉が大量にあるぞ?狩りたてほやほやのまだ温かい状態のやつ」
🧸「それなら食べ物に困ることはないってことですか?でも毎回捌いて食べられるようにするって面倒じゃ…」
N「…確かにそうだな…生肉を食わせるわけにもいけないし…ここはプロに任せようぜ。
おい、ケイト!仕事が入ったぞ!」
ノワールが指輪に話しかけるとケイティの声がした。
K「なぁに?こんな時間に仕事?」
N「あぁ、狩ってきてすぐの獲物とかを食える状態にしといてほしい。あと生野菜とか適当に買ってきて収納空間に入れといてくれるか?」
K「分かった。野菜は何でもいい?」
N「なんか汎用性高い野菜で頼むわ」
K「はーい、じゃあまた何かあったら言ってね」
ケイティと短い会話を交わしてノワールは顔を上げる。
すっかり軽装備になった執事達はまだ困惑している様子であったが、テディが「これだけ軽装備なら行き帰りの時間が短縮されますよね、ラッキー!」というポジティブな一言で、それくらいお気楽に考えるくらいが丁度いいのかもしれないと思って若干の不安を抱えたまま出発した。
5人はとにかく北へ向かう。
道中の街や村での宿泊や食費などは往復の2週間分持たされていたが、ケイティが捌いた肉と異世界で買ってきてくれたらしい野菜や果物があるので食費はほぼゼロで済んでいるし、宿が空いていなくても野営するための道具は揃っているし、かなりのスピードで道順通り進むことができた。
最後の村のはずれで野営の支度をしながらノワールは雪がちらつく空を見て舌打ちをした。
N「……遭難しないといいんだがな」
野生の勘でこれから天気は悪くなるだろうなと感じたノワールは村から見える目的地…雪山の中にある氷で閉ざされた洞窟の入り口を探してみるが、曇り空と厚い雲のせいで白く濁って分からない。
山に登るのはいい。でも目的地が見えないとなるとあまり正確とは言えない地図頼りになってしまうのが厄介だ。
いくら防寒着を着ているとしても雪山の吹雪の中で火も焚けない状態でテントの中で保存食を食べて朝まで過ごすのが長引けば肉体的にも精神的にもきついだろう。
ノワールは雨風を防ぐ魔法を自分以外に使ったことがないし、5人分もしくはかなり広い範囲に展開するとなるとかなりの消耗になる。できたとしても一晩が限界だろう。
魔力をケイティから借りるという方法もあるが、ケイティが近くに居なくて指輪以外の魔道具がないとなると、他人の魔力を自分の魔力に変える陣を組んでその上から雨風を防ぐ魔法を展開しなくてはいけない。
しかし、ノワールは眠りながら魔法を展開できるほど器用ではないため、執事達が寝ている間火の番をして昼間は狼の姿になって運んでもらうしかなくなってしまう。
遭難したら目的地まで辿り着ける可能性も下がってしまうだろう。
せめて吹雪かないでほしいとノワールは山をじっと見つめていた。
しかし、現実は無情にもノワールと執事達が登山を開始したところで猛吹雪をもたらした。
全員必死で杖をついて身体を支えながら歩くが、強すぎる風と雪のせいで視界は完全にホワイトアウトしていて、自分たちが今何処にいるのかすら分からなくなってしまった。
とりあえず近くにあった氷柱が大量にできた洞窟の中に潜り込んで風が止むまで待機する他なかった。
テントの設営と火の準備を始め、とりあえずしばらくここで大人しくしておこうと皆で話し合った。
吹きさらしよりはマシだが洞窟の中は凍りついていてテントも底冷えするし、防寒服の上から寝袋を被ってガタガタ震える執事達…
そんな様子を見ていたノワールはある提案をした。
N「なぁ、一旦俺達の家に来るのはどうだ?俺達の家っていうか、ケイトが魔法で作ってくれた屋敷なんだけど…そこからなら行ったことがある場所ならそこまで飛ぶことができるっていう鏡があるんだ。吹雪が止むまで数日はかかるだろうし、その間雨風気にせずふかふかのベッドで寝られるぞ?悪くないんじゃないか?ここの位置情報は記録して天候もリアルタイムで確認できるようにしたから、吹雪が落ち着くまで見張る必要もないし…どうだ?」
🦋「…確かに温かい屋敷で過ごせるのは魅力的です。しかし、俺達への依頼で、俺達には天候を読めずに強行したという責任があります。元々はこの4人だけで行くはずだったのですから、そこまでしていただくのは…」
🧸「でもあと何日ここから出られないか分からないですし、その間の体力温存はしたほうが良いんじゃないでしょうか?」
⚔️「この狭い洞窟だと素振りもできないし、寒さは得意じゃない。俺はノワールさんの提案に賛成だ」
✝️「…悩ましいな……」
リーダーであるハウレスは全員の意見を聞いた上で暫く考え込んでしまった。ノワールに頼る申し訳なさも分かるし、かといってこの寒くて狭い洞窟で最低でも数日過ごさないといけないとなると命に関わるかもしれない。そこにノワールが畳み掛ける。
N「うちに来れば広い風呂にも入れるぞ?飯だってもっと手の込んだもの作れるし、客間は個室にもできるし4人部屋もあるし、何よりトイレがあるしな。ここの洞窟の地面凍ってるから排泄物をどうするかはかなり深刻な問題だと思うぞ?」
執事達は確かに衛生面はかなり問題になると思った。洞窟から出られない以上、ここでするしかない。そうなると臭いの心配もあるし、誰からも見えない状態でできないのも困る。
✝️「……ここは頼らせてもらうしかないか……
ノワールさん、お願いしてもいいですか?」
それを聞いたノワールはテントを畳んで火の始末をしている間に準備をするからと銀の指輪に声を掛けた。
N「おい、ケイト。もしもし?」
K「なぁに?ピーマン買ったのそんなに嫌だった?」
N「ピーマンとかどうでもいい。今屋敷のカケラって誰か使ってるか?」
K「お屋敷?魔法人形に管理させてるけど…えーっと……うん、今誰も使ってないよ」
N「それは助かる。適当に料理の用意してもらって、大浴場にお湯入れといてくれるか?」
K「分かった。すぐ用意するね。ご飯はバスティンとテディが居るから10人前くらいで足りるかな?」
N「多分…?ちょっと待っててくれ。
バスティン、テディ、お前たち何人前くらい食える?」
急に話を振られた2人は顔を見合わせて真剣な顔つきになって答える。
⚔️「そうだな…肉なら1キロくらい食べられるからそれに米を足すと…大体5〜6人前くらいは食べると思う」
🧸「うーん…俺はいつも大体5人前注文して足りなかったらデザートを頼むことが多いですかね」
N「流石だな…確かにいつも大皿でおかわりまでしてるもんな。
ハウレスとフェネスはどうだ?3人前くらい食うよな?」
✝️「そうですね…外食をすることが少ないので1人前がどのくらいなのかよく分からないのですが、3人前くらいなら食べられると思います」
🦋「俺も…3人前くらいは食べられると思います」
N「OK、じゃあ食事は20人前あれば十分だな。もし足りなかったらサロンにスイーツとかサンドイッチとか置いてあるからそれを食ってくれ。
ってことでケイト、20人前の食事とサロンの軽食の準備頼めるか?」
K「任せて!すぐ用意させるから」
屋敷へ避難する準備を整えて荷物を収納空間に放り込むと、ノワールは洞窟の中心に魔法陣を展開した。ノワールが使える数少ない魔法の一つである転移魔法の魔法陣である。
N「よし、皆陣の中に入れるか?」
✝️🦋⚔️🧸「はい!」
5人が陣の中に入ったと確認すると、ノワールが呪文を唱える。
N「【我らを運び給え】」
その瞬間陣がピカッと眩い光を放ち、陣を取り囲むように光の壁ができた。
執事達はあまりの眩しさに手や腕で目を覆った。
光が収まると、パチパチと木が燃えているような音と美味しそうなお菓子の匂いがする。そろっと手を下ろして見たこともないお屋敷の中に立っていた。
N「ここがサロンな。玄関ホールからよりも食堂と客間に近いから、飯ができるまでここで待つのが良いかと思って。そこのお菓子とかお茶とか好きに飲み食いしていいからな。あともう防寒具は脱いでいいから適当に着替えて暖炉の前で濡れた服と靴乾かすか」
執事達は室温で雪が溶けてぐちゃぐちゃに濡れてしまったブーツと防寒具を脱いで、暖炉の前に用意されていたハンガーラックにコートと裏起毛のズボンとブーツを干した。
幸い内側に着ていたシャツやズボンは濡れていなかったのでとりあえず全部着替える必要は無さそうだだった。
N「そうだ、一応4人部屋も個室も使える状態にしてるらしいんだが、どっちがいい?」
ノワールの問いに4人はうーんと考え込む。
🧸「俺は集団行動の方が慣れてるので4人部屋がいいなぁって思うんですけど…」
✝️「俺もそうだな。だが、たまには1人でゆっくりするのも良いんじゃないか?パレスには個室はないし、宿もテントも誰かしらと一緒に寝泊まりした訳だし、1人で過ごす時間も欲しいと思っていたんだ」
🦋「あらら、意見が割れちゃったね…」
⚔️「素振りをできる広さがあるならどっちでもいい」
N「4人部屋は2階の執事室と似たような感じだ。パーソナルスペースはそこそこ確保できるから、素振りも一応できるとは思う。個室は長期滞在することを前提にしてるからかなり広いし風呂とトイレも別でついてる。大浴場もあるから風呂はあってもなくてもいいかも知れないが、4人部屋だとトイレが渋滞する可能性があるんだよな。俺は個室をお勧めするかな。寂しかったら誰か誘ってサロンでお茶するとかもアリだし、ベッドもデカいから2人1部屋で寝るって方法もあるぞ?」
⚔️「2人で同じベッドで寝るのか?それは……ちょっと嫌かもしれない。広くて風呂もトイレもついているのなら個室がいい。その方が筋トレも素振りも好きなようにできるからな」
🦋「うーん…俺はどっちでも良いけど…でも確かに筋トレとかをするってなると個室の方が良いのかな…」
✝️「ふむ…確かに個人のトイレと風呂があるのは魅力的だな…でも実物を見てから決めても遅くないんじゃないか?
お兄様、一度部屋を見せていただけますか?」
N「おう、いいぜ。まず個室からでいいか?」
ノワールがサロンの扉を開けて執事達を先導して階段を降りていく。
N「サロンと食堂と図書室が2階にあるんだ。
1階は俺達の居住区と客室があって、別館の大浴場に繋がる通路が突き当たりの明るい木の扉な。すぐそこの白いドアがケイト、隣の青い扉が兄さん、向かいの赤い扉が俺の部屋。他の木の扉は客室になってて、たまにケイトの友達の人外の奴等が泊まりに来ることもあるな。今は誰も来てないらしいから安心して過ごしてほしい」
ノワールは階段を降りて廊下に出ると右側の扉の説明をして、左側に向かって歩き出す。
「それで、ここが個室。中は結構広いから4人一気に入って大丈夫だと思うぞ」
ノワールは個室の扉を開けて中に入るように促した。
執事達はおっかなびっくり部屋に入っていく。
✝️「…!広いですね!」
🧸「これ、本当に個室ですか!?」
🦋「まるで主様のお部屋…いや、それよりも豪華かも…」
⚔️「…すごいな、キッチンまであるのか」
個室と言われた部屋には廊下側の壁際の真ん中に大きなベッドが置かれており、部屋の中央には大きなテーブルと大きなソファが1つと1人掛けのソファが2つセットで置いてあるし、それとは別に窓辺に書き物机もある。クローゼットやチェストもアンティークな木製の物で統一されており、大きな本棚には所狭しと本が並んでいる。また、部屋の中にもトイレと風呂場のドアがあり、風呂は脱衣場と風呂場が分かれている上にしっかりとしたバスタブもあってシャワーもついている。キッチンは本格的なものではないが一応冷蔵庫、一口コンロ、電子レンジは備え付けてある。
執事達は豪華すぎる個室を本当に1人で使ってしまって良いのだろうかと最初から個室を希望していたバスティンでさえ戸惑いを見せていた。
N「どうする?4人部屋はこの部屋の4倍になってるって考えてくれたらいい。風呂とトイレとキッチンは1つしかないけど…どうする?」
🧸「ええっ!?4人部屋でもこの広さを1人で使うんですか!?」
N「あぁ、少し個人スペースが狭くなる分テーブルセットが真ん中に来るから結局使えるスペースは大体一緒だ」
✝️「広すぎて落ち着きませんね…4人部屋はこの4倍…?」
🦋「こんな豪華な部屋、申し訳なくて使えません!」
⚔️「俺も落ち着かない…だが、雪山で凍えながら寝るよりはいい」
バスティンの言葉に執事達は雪山より遥かに居心地の良い場所で寝られるのは魅力的かもしれないと心が動く。折角自分達にここまで豪華な部屋を用意してくれたのだから、その厚意を無下にする方が失礼かもしれないとも思った。
しかし、ノワールは執事達が落ち着ける場所を考えて提案を持ちかけた。
N「狭いほうが落ち着くってんなら図書館の仮眠室使ってもいいぞ?2部屋しかないけどマジでベッドと本を読む小さいテーブルセットがあるだけだから、めちゃくちゃ狭い。……あとは……地下の使用人室くらいか。でも流石に使用人室に案内するのはなぁ……」
🦋「図書館の仮眠室!?本に囲まれながら寝られるんですか!?」
N「うお、すごい食いつきだな…じゃあフェネスは仮眠室で寝るか?朝まで本読んでそうな気もするけど…あとの3人はどうする?仮眠室使うか?」
⚔️「俺はトレーニングと素振りをしたいから個室がいい。テーブルは動かしてもいいか?」
N「好きに使ってくれて構わないが、最後に部屋を使った者がこの欠片から出たら部屋の中はリセットされるから、また帰りに遭難したら最初からやり直しになるところだけ注意してくれ」
⚔️「それも魔法なのか?すごいな…」
バスティンとフェネスがノワールと話している間、テディとハウレスはどうしようか話し合っていた。
🧸「俺達2人はどうしましょうか…トレーニングはしたいんですけど個室じゃ落ち着かないですよね…」
✝️「そうだな…一緒にトレーニングをしていつでも眠れるくらい体力を削ってから個室で寝るのはどうだ?」
🧸「それなら俺どこでも寝られる自信があります!部屋でシャワーも浴びられるし、いっぱいトレーニングしましょう!ハウレスさんと2人きりでトレーニングできるなんてラッキー!」
全員の寝る場所が決まったところで一旦廊下に出てどの部屋を使うかを決めることにした。
N「ケイトが作った指輪があるだろ?それが鍵の代わりみたいなもんだ。寝る部屋が決まったら指輪を扉の飾りの透明な石があるだろ?それに指輪をかざしたらその人専用の部屋ってことで他の奴が入れないようになるんだ。色が指輪の宝石と一緒の色になるからすぐ分かると思う。勿論部屋の主が入室を許可した奴は入れるから大丈夫だ。あと、寒かったり暑かったりしたら暖炉の横に温度設定のレバーがあって、上に上げたら温度も上がって、下に下げたら温度が下がるようになるから快適な温度に設定してくれ。他に分からないこととかないか?」
⚔️「部屋については分かった。だが、腹が減った」
バスティンの腹もぐぅ~っと音を鳴らす。
N「食堂はビュッフェスタイルだから好きなだけ食ってくれ。ケイトも多分気合入れて用意してくれてると思うから」
食堂で手の込んだ美味しそうな料理が壁沿いにズラッと並んでいるのを見て執事達は感嘆の声を上げる。
まさか雪山で遭難してこんなに美味しそうな物が好きなだけ食べられるだなんて思っていなかった。
バスティンは大皿にもりもり料理を盛り付け、自分の席の周りに山盛りの皿を並べてバクバクと食べていく。
テディも肉や魚を皿にこんもりと積み上げてガツガツ食べる。
ハウレスとフェネスは最初は遠慮がちに1.5人前くらいの量を持ってきていたが、2人の食べっぷりに負けられないと思ったらしくすぐに食べ切っておかわりに行った。
食事が済むと腹ごなしに図書館を案内すると言ったノワールに続いて全員が図書館に入った。
🐏「!!」
そこは無限に広がっているのではないかと思うほど広く、3メートルほどある本棚が間隔を空けて並べてある部屋だった。
N「ここの図書館は魔法に関係ない本だけ集めた図書館なんだ。勿論魔法使いの伝承とか昔話とかはあるけど…」
🦋「それだけでこんなに!?主様が籠もっていらっしゃる図書館とはまた別なのですか!?」
N「あぁ、魔導書は魔導書で別に図書館がある。これでも結構減らしたんだけどな。昔は本棚に入りきれなくて床とか棚の上に積んでたから…」
🦋「その減らした本って…」
N「もともとあった世界を特定してその世界で売り飛ばした。数百年前の本が新品同様の状態で売りに出されたから馬鹿みたいに高く売れたやつもあったぞ。その金でまたいつか高く売れそうな本を買って…って繰り返してるからあんま減ってはねぇか。読んで面白いと思った本は取ってあるし、図書館自体もどんどん増設してるからな。魔導書に飽きたら普通の本を読みたくなるんだって言って、図書館行き来したり…それこそカケラ同士を繋いで巨大図書館作ってた時期とかもあったなぁ」
🦋「すごいですね…」
N「で、仮眠室がこっちの壁沿いを延々歩いていったらある。図書館内からならどこからでも仮眠室にワープできるようになってて、【横になりたい】って指輪に言ったら仮眠室前まで飛べるから活用してくれ。空室ならドアの飾りの宝石が透明だから、そこに指輪をかざして自分の部屋って印つけといたら取られることはないからな。
あと地図渡しといたほうが良いよな?」
🦋「は、はい!頂けるなら欲しいです」
ノワールが右手を横に伸ばすと何もなかった空間から巻物のような物が手の上に落ちてきた。
紐で括られたのを解いて広げながらノワールが説明を始める。
N「これが地図で、この光ってるところが現在地。大体の分類と自分が何処にいるかが分かるから迷子になったらすぐこれを見たらいい。詳しく見たいときは気になる棚を触ったらジャンルの詳しい説明とどんな本が入ってるかの情報が出てくるからな。右上の✕を押したら消えるから、間違って触っても慌てなくていいからな」
フェネスは地図を受け取るとかなりざっくりとした説明が書かれているにもかかわらず、縦にも横にも大きな地図を見て感嘆の声を上げる。
一緒に地図を覗き込んだ執事達もざわつく。
🧸「本当に色々な本が集まってるんですね!」
✝️「剣術や体術の本もこんなに…」
⚔️「レシピ本の棚をロノに見せたらうるさそうだ」
N「気に入ってくれたか?もし屋敷に戻ってからも図書館に行きたいって思ったらケイトに言えば鏡を使って生き来できるようにしてくれるから、気に入った本とかがあれば仮眠室に置いておいたりその辺にある籠に入れておくとかしといていいぞ。
うーん…執事達も使うようになるなら仮眠室を増設してもらったほうが良いかもなぁ…あと20部屋くらい」
流石に執事達全員が図書館から出ようとせず仮眠室で寝起きすることはないとは思うが、違う世界の知識やレシピ、体術や剣術などはきっと長く生きてきた執事達にとっても目新しく面白いものになるだろう。
むしろ寝ずに本を読み漁って倒れる執事が出てきそうな気がして、その筆頭に挙がりそうなフェネスに執事達は心配そうに目線を送った。
フェネスも自分が本に夢中になって食事も訓練も睡眠も忘れてしまう可能性が高いのは重々承知しているので、対策を考えないといけないなと頭を悩ませる。何かヒントになりそうな事が書いてある本はないだろうか?フェネスは改めて地図を見て色々な棚の詳細を確認し始めた。
フェネスを図書館に残し、ノワール、ハウレス、バスティン、テディは自室に戻った。
雪山の様子はノワールがリアルタイムで監視して、動けそうな天候になればすぐに館内放送で知らせると言ったので、執事達はそれまで好きなことをして過ごすことになる。
テディはハウレスの部屋に入れてもらって一緒にトレーニングを始め、バスティンは1人で素振りを始めた。
恐らく数日間この屋敷で過ごすことになるのであろうと考えると、トレーニングだけでなく、読書や毎食好きな時に好きなだけ食べられる料理を楽しんだりするのも良いかもしれないな、と執事達は小指に嵌った指輪を眺めながら考えるのだった。