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第7話


一旦車に戻ってから、私たちはまたデパートに戻ってきた。手を繋いでからというもの、244さんはずっと、私の手を握っている。

(244さんの手大きい………

手汗大丈夫かな………)

ずっと思っていたが、私は楽観的すぎやしないか。今、自分を誘拐した人と手を握っているだぞ!!

「ほら、着いたよ。」

244さんは立ち止まって言った。

「ここは………」

目の前には大きな本屋があった。

「花音ちゃんは、読書が好きなんだろう?

これから、学校にも行けずに暇になるだろうから。好きなだけ買っていいよ。」

「えっ、私学校に行けないんですか?」

正直、その事は想像していなかった。

「もちろん。」

(………確かに。誘拐されたのに、学校に行くだなんて聞いたことがない。)

普通に考えれば分かることなのに、どうして気づかなかったのか。

「花音ちゃんは、何の本が好きなの?」

「あっ、えっと、何でも読みます。小説も漫画もノベルも………」

まだ、頭が混乱していた。

「そっか………小説は、あっちかな。」

そういって、244さんは本屋の奥に進んで行った。

「ま、待って!」

私はもつれそうな足を、必死に引っ張った。












家に着いてから、私は自分の部屋として、寝室の隣の部屋を借りた。空いた本棚には、今日買った本(30冊くらい)を並べた。

(一度にこんなにたくさん買ってしまうなんて………)

今日買った本や、生活用品を合わせると10万円は超えているかも、しれない。そんな大金を簡単に払ってしまうなんて、244さんはお金持ちに違いない。

「そういえば、この部屋にあった本棚やタンスって、元からあったんですか?」

「いや、今日持ってきてもらったんだ。」

「えっ、誰にですか?」

「ほら、あのデパートで、君を連れていった車の前にいた男さ。」

(あ、あのマスクをした男性か、)

私のためだけにあの男性まで働かせてしまった。申し訳なく思った。

「あの男性どこかで見たことあるような気がしたんですけど、」

「ああ、多分君も知っているよ。」

(やっぱり、そうか)

でも、思い出せない。どこで見たのか。

「あの、誰ですか。」

「………佐伯コージだよ。」

その言葉を聞いて、心底驚いた。

「えっ、あの大人気ニューチューバーの?」

「ああ、そうだよ。」

確かに、あの長い黒髪に、青い瞳。あれはコージさんだったんだ。

「えっ、えっ、えっ、244さんコージさんと知り合いなんですか。」

「うーん、仕事仲間って感じかな。」

「仕事仲間ってことは、もしかして244さんもニューチューバー?」

想像をしていなかった。244さんがニューチューバーだなんて。

「ふふ、どうかな。」

またはぐらかされてしまったが、今はそんなことより、コージさんのことに驚いていた。








ある程度整理が終わって、”私の部屋”が出来上がった。

(この家に来た時は、こんなふうになる前に逃げるはずだったのに。)

そう思いながらも、私の244さんに対する恐怖心は和らいでいた。

(確かに、時々めっちゃ怖いけど、やっぱり紳士で優しいんだよな………)

そんな風に考えていると、

「ご飯出来たよ。おいで。」

と244さんから呼ばれた。

「はぁ~い」

私はリビングへ向かった。













この作品はいかがでしたか?

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コメント

3

ユーザー

ずっとこんな感じのお話探してたので見つけた瞬間嬉しすぎてたまらなかったです!笑どれも神作過ぎて同じところ数回読みまくりました、続き楽しみです!待ってます!!

ユーザー

ありがとうございます。嬉しいです😭

ユーザー

このお話めちゃくちゃ好きです!続き楽しみにしています!😭

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