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< rdside >
クリスマスの夜も無事に終わった。
…. はずだった。
rd「ぺいんと〜〜そろそろ起きて〜〜?」
夜の21時頃になってもぺいんとはまだ眠っていた。流石にそろそろ薬を飲ませなくてはいけない時間で少し離れたところからぺいんとに向かって声をかける。
pn「…」
いつもならすぐ起きるはずの声量なのにぺいんとからは音がひとつもしなかった。
今日はなんとなく疲れてそうな感じだったしぐっすり眠っているのか、そんなところ起こすのは悪いと思いならぺいんとのそばへ歩み寄る。
rd「ぺいんと〜 薬飲まなきゃ ___ 」
ぺいんとの肩に触れた瞬間今までにないくらい呼吸が苦しくなった。
そこの空間だけ異様に空気が重たく冷たかった。まるで何か棘に刺されているような痛みを感じるほど。
rd「ぺ …. 、 ぺいんと ….. ねぇ…. ッ」
ぺいんとの頬は生き物とは思えないくらい冷えてしまっていた。
俺はその時点で全身から血の気が引く感覚がありながらも自分の耳をぺいんとの胸元へ近づける。
rd「ッ … お 、 おと ッ …. 音 ….. 、 」
呼吸の音が小さいどころか心音すらも小さく今この瞬間が夢なんじゃないか、むしろ夢であって欲しいとまで思った。
胸のざわつきが苦しいほどに感じられてその場に挫けてしまいそうになった。
外の雪はそんな俺達のことなんか知ったこっちゃない、というように先程までと変わらない速度でしんしんと降っている。
動物の音も風の音もしない静かな空間で、ただ自分の心臓の鼓動が高鳴りドクドクと大きく耳を打った。
今目の前にいるぺいんとから視線を話せないまま、どうして俺だけこんなに生きている音がするんだ、と胸が締め付けられた。
頭は真っ白なのに体だけ暴れて、今にも溢れ出してしまいそうな涙で視界が揺れる。
そのまま震える手でスマートフォンを握り救急車を呼ぼうとしたが指がまともに動かず番号を押し間違えてしまった。
何とか救急車に繋がっても、今までにないほどのパニック状態に陥っているせいで医者になにも説明できない。俺だって医者と同じくらいの知識を得ていると言うのに。
「どうされましたか」
rd「は ッ 、 意識 …. 意識 … なくて ッ 、心音が ッ ….. ゲホッ …」
「落ち着いてください !!」
「住所は?!」
rd「ッ …… はぁ ッ カヒュ ヾ」
過呼吸になりながらも住所を何とか伝えて急いで救急車を手配すると言われた。
そんなのも耳に入ったところでなにも考えられずにひたすらに、早く来てください、と叫ぶがその声すら裏返って詰まってしまう。
こんなことしている間にもぺいんとは危うい状態なのだということを思い出し、ぺいんとの身体を毛布で包めば俺は薄着ということを気にせず彼を抱きかかえて家を飛び出した。
外は冬の夜。扉を開けた瞬間に冷気と雪に包まれたがそんなの気にならないくらい俺は必死だったし暑いのか寒いのか分からないままだらだらと汗を流していた。
しばらく走り続けると救急車のサイレンが聞こえてきて俺の目の前に止まるとすぐに救急隊員と救命救急士が降りてきてぺいんとを預ける。
俺は救急隊員の方に案内され簡易ベッドに横になるぺいんとの目の前に座る。
病院に着いても俺の動悸は続いていて、手術室前の白い蛍光灯の下で待っていることしか出来なかった。
先程よりは落ち着いたにしても頭は真っ白で機能しない。時間の感覚すら失い時計が進まない。
ぺいんとの事を考えれば考えるほど良くない事ばかり浮かんできてしまってそれは呼吸を忘れてしまうほどだった。
ひたすらに今まで勉強してきた事とぺいんとの事とを交差させて頭をなんとか回転させているとすぐ側にある大きな少し不気味な扉がガチャンと音を立てて開けば中からは医者が出てきた。
この時にはもう既に救急搬送されてから2時間が経過していて時刻はまもなく26日へ切り替わりそうなところだった。
医者は俺の目の前に来るなり俺へ心配をした。
顔面蒼白で過呼吸でまともに会話が出来なかったんだから心配されてもおかしくない。
「落ち着いて聞いてください。」
rd「…..はい、」
「ぺいんとさんの容態は非常に悪く、想定していたより進行が早いです。私達も最善を尽くしてまいりますが助かる可能性があるとは言い難い状況です。」
「残された時間は本当に僅かなものと考えていただきたいです。」
rd「ッッ !! 」
現段階で行える手術はまだ様子を知るためにもう少し命の灯火を延ばすことしかできなかったとの事。
「いつどうなってもおかしくありません。」
その言葉を聞いた瞬間、ずっと我慢してきた何かが俺の中で音を立てて切れれば目からは止まることを知らない涙がひたすらに溢れ出て俺は声を上げて泣いた。
rd「う゛う゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ ッッッ !!」
喉から、腹から、もうどこから出ているかも分からない声を上げて悲しみと絶望に襲われた。
その頃の外は俺の心の中を表したかのような吹雪だった。
コメント
4件
え待って、バドエンかなこれ…??悲しすぎる😭😭(れあ様!!ハピエンとバドエン両方作ることって可能ですか!?
うわーもー、これバドエンか???えーーーさいこーーー!!!!やべぇーマジ、感情移入。😭
😭😭😭😭😭