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銭湯に行って身を清め、部屋に戻る。電球を灯すと、万年床になりつつあるせんべい布団が照らし出された。
この一ヶ月ほどは、あまり寝付けなかった。それは、夜中でもかまわず続く台所の水滴の音ばかりが原因ではなかった。音の方はパッキンを取り替えていないのが原因だが、ギターの弦の方はこまめに取り替えている。
コップに水を入れて飲む。洗面台の小さな鏡に顔が映る。髪は昔の長さにまで戻った。けれど、あの頃と全く同じではない。最近やたらと枝毛が増えた気がする。おととい、若白髪を見つけた。
これが、フィードバックなのか。俺はただロックンロールが好きで、自分のサウンドにこだわって生きてきただけなのだ。
まだ自分が何者か分からずさまよっている頃、寄ってきた人々。俺の奇行を面白がり、楽しみ、代弁者として頼りにし、ヒーローにまで祭り上げた。しかし彼らも自分の道を見つけると、今度は離れていく。
そして、最後はいつも一人。ボロアパートには、電球の傘さえない。
孤独。