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夢野ひより
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🫧想美🎐🍏
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うわ、めっちゃ生々しい恋愛模様と、突然現れた強引な男の距離感が気になる……!主人公の「もう別れた方がいいのかな」って諦めモードな心情、雨に濡れる描写と重なって余計に切なく感じたわ。んで、傘を差し出した男の「かわいくない女だな」とか連発するところ、親切なんだけどめちゃくちゃムカつくタイプで草。続き、このままどうなるんだろう……気になる🔥
駅の改札を抜けると、雨が降り出していた──。
そのまま歩き出そうとするけれど、思ったよりも雨は強くて、一旦駅に戻り迎えに来てもらおうと電話をかけた。
コール音が続くのに、一向に出る気配もなくて、諦めて電話を切る。
「……出ないとか、寝てんのかな……」
仕方なくぼやいて、今日行くからって彼には伝えておいたはずなのにと思う。
だいたい雨が降っても気づいてもくれないなんて、恋人との関係も三年が過ぎるとこんなものなのかなとも感じる。
付き合い始めの頃には、ちょっとでも雨が降ったら走って駅まで迎えに来てくれたのに……と、かつてのことを思い出したら、なんだか虚しくなってきた。
虚しさを胸に抱えたまま、とぼとぼと彼の家へ向かう。
降る雨は次第に激しさを増して、せっかくの彼のために買った下ろし立ての新しい服も、濡れてびしょびしょになっていく。
だけど、もうそんなこと、どうでもいいような気もしていた。
(もう別れた方がいいのかな……)と、ぼんやり思う。
私のことをあまり気づかってもくれない男となんて、いつまでも付き合っててもしょうがないんじゃないかと感じた。
そんなことを悶々と考えながら、走る気にもならずに濡れるにまかせて歩いていた私の頭の上に、
不意に暗く陰が落ちて、傘が差し掛けられた気配がした──。
「えっ……?」と、背後を振り返ると、
「濡れすぎだろ、あんた。女のくせに、傘も持ってないのか?」
背の高い男が、私を見下ろしていた。
「ありがとう」と口に出そうとして、その上から目線な言い方に、
(なんなの、この人……)という思いがにわかに湧き上がり、つい言葉に詰まった。
「なんだよ、ありがとうくらい言えないのかよ?」
その男が言って、口の片端を吊り上げて軽い笑いを浮かべる。
「あ……ごめんなさい。ありがとうございます……」
傘に入れてくれたのはありがたいけれど、でもちょっと嫌な感じのする人かもと思いながら、一応のお礼を伝えた。
「家どこだよ? 俺の家に近いなら、そこまで送っていくけど」
横に並んで歩き出しながら、ぶしつけに話しかけてくるその男に、
「……あのマンションです」
と、歩道の先に見える彼の住む高層マンションを、やや遠慮がちに指差した。
「あそこか? だったら、俺と同じだ。じゃあ、そこまでいっしょに行ってやるよ」
片手で傘を持ち、もう一方の手を当たり前のように私の肩にまわしてくる。
「あの、ちょっと……」
その気安さに、肩の手から思わず逃れようとした。
「こうしてないと、濡れるだろうが。変な気なんてないから、おとなしくしてろよ」
すると、さも不機嫌そうに口にして、
「肩を抱くぐらいで、下心があると思うとか、あんたも大概自意識過剰なんじゃないのか?」
その男は皮肉混じりに、そう付け足した。
「はぁ……、余計なことを勘ぐってすいません……」
とりあえずは謝って、いちいち嫌味のようにも感じられる言動にいい加減しゃべりたくもなくなって、口をつぐんだ。
「だが……なんで、そんなびしょ濡れで歩いてんだよ?」
話したくもないから黙っているのに、こっちが聞かれたくもないことを訊ねてくる。
「別に……、理由なんかないので」
彼氏が迎えに来てくれないからとかわざわざ話す気にもならくて、それだけを言う。
「ふぅーん。どうせ失恋でもしたんだろうが、女がそんなに濡れて歩いてるのとか、見栄えもよくないから、止めたら?」
「あなたには、関係ないでしょ!」
ついイラついて、声を上げる。
「……かわいくない女だな、あんた。そんなんだから、男に振られるんだよ」
「……うるさい」
人が落ち込んでるのにずけずけと言いたいことを言って、心の中に土足で踏み込んでくるのが許せなくもなって、
「マンションすぐそこですし、もういいですから」
そう告げると、入れてもらっている傘の中から駆け出した──。