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山中side
最初はテレビだっけ?
たしか、妹が観てたドラマにあの人が出演してて、こんなにかっこいい人が世の中にいるんだぁって思ったんだよな。
キリッとした眉毛にポテっとした唇、透き通る瞳がこの世のものと思えないくらい絵画みたいで、気づいたら毎週そのドラマを観ている自分がいた。
妹に「サッカー以外にテレビ興味あったんだ」なんて言われもしたっけ。
そこから少し時間が経って、竹下通りに友達とサッカーシューズ買いにきた時。
見知らぬスーツの男性にいきなり声をかけられて、スカウトされたんだ。
怪しすぎるその男は、
「兎に角、一度事務所に来て欲しい。
ちゃんと親御さんにこの事はお話ししてね」
って名刺とうちの事務所のパンフレットだからって冊子渡されて、東京にも住んでいない田舎者の自分がスカウトされるなんて、絶対に騙されているんだと思ったっけな。
家に帰って、何気なく興味が湧いてパンフレットを開いたらあの人がいた。
そこで懐疑心がグラッと揺らいだ。
すぐに親に説明して、事務所に向かった。
事務所のお偉いさんとお話をして、すぐに契約をした。
事務所見ていきなよって大人の人が案内してくれて、とあるスタジオの前でふと足が止まった。
ドアの隙間にあるガラスに映ったのは間違いなくあの人だった。
軽やかにダンスを踊り、キラキラと汗を流す。
その目は真剣そのもので真っ直ぐと鏡に映る彼自身を見つめていた。
ドキンっと胸がなって、足が進まなくなった。
それに気づいた、案内のお姉さんが声をかけてくれた。
「彼、今イチオシの子だよ
アイドルなんだけどね、俳優としても頭角表してきてて、テレビで見た事あるかなぁ
歳も近いし挨拶してみる?
あ、でも集中してるから今は無理かな」
そんな話をされている時にふと鏡越しに目が合った
びっくりして俯いていると、いつのまにか彼が目の前に立っていた。
「柔太朗って言うんだ
はじめまして
俺、佐野勇斗って言います
よろしく」
汗が光っているのも相まって、太陽のようなキラキラした笑顔で手を差し出された
その手を握り返すと
「すげぇ、細えな
おまけにめっちゃ美人だし」
その一言にびっくりしてフリーズしていると、彼は「緊張してる?」とケタケタ笑いながらスタジオへと戻っていった。
はじめての感情だった。
ああ、これが初恋なんだって気づいた瞬間だったんだ。
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