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息が詰まった。
驚きで固まっている僕と対照的に、崎野からは何も感情が感じ取れなくて、良く言うならば、穏やかな顔をしていた。
「崎野は、何の病気なの…?」
「心臓が悪いの。三年前の中学二年生の時に宣告されてね。去年まで入退院を繰り返していて、沢山の手術や投薬を試したけれど、もうどうすることも出来ませんって、先生に言われちゃってさ」
「こんなに元気に見えるのに、崎野は余命宣告されているの?」
「今は元気でも、急に症状が現れることもあるんだって。5年生存率は低いから、長く生きられないんだろうなって思ってるよ」
まあ、それも人生だからね、と崎野は付け足す。…どう返したら良いのかが分からなかった。そして、こんな時に咄嗟に慰めの言葉一つ出てこない自分を恨んだ。
確かに崎野とはこの前初めて出会って、今日初めて話して、二人で一緒に出掛けた。
出会ってからも交わした会話も少ないが、どうしても僕にはただのクラスメイトだと割り切る事が出来なくて、心臓に針を突き刺された様な感覚に陥った。
「どうしてこんなこと、ただのクラスメイトである僕に話したの?」
「私が学校で色々避けられているの、知ってるでしょ?こんな半端な時期に転入してくるなんて、変な目で見られるのは当たり前だし、島の外の人間なんて、島の人からしたら異質で仕方ないだろうからね。…でも君は、私の強引な誘いに乗ってくれた」
「それだけで」
「それだけでも、私にとっては救いになったんだよ」
行こうよ、と声をかけられ、流されるまま崎野について行く。
「僕は暇だったから着いてきただけだし、そもそも君に何も役立てていない」
「君が私の役に立っているかどうかは、君が決める事ではないよ。ただ私は君が居てくれて良かったっていうことを伝えたかっただけ」
あまりに率直過ぎるその言葉に、少し恥ずかしさを感じたが、 こんなにも自分の気持ちを相手に伝えられることを羨ましく思った。
海辺のバス停が見えた。桜の散った木が青々と葉をつけている。
バス停のベンチに腰を掛けると、遠くにバスの姿が見えた。
「今日、久しぶりに楽しかった」
「僕も。…また、出かけよう。今度は、もっと遠くへ行こう」
僕の言葉を聞いた崎野は、笑みを浮かべ、もちろんいいよと答えた。
「北欧とか行きたいな」
「オーロラが綺麗だろうね」
「そうだね…その為には、お金を貯めなきゃいけないな」
いつの日になるか、叶うことができるのか分からないその「いつか」の約束を、叶えられる日が来ますようにと、僕は心の中で祈る。
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