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コテージに凄まじい悲鳴が響き渡った。
何事だ!?と住人たちがバタバタとキッチンに集まってくる。
「何事や!?」
「ゆ、雪乃ちゃん!?」
「何しとるんやゾム!!」
コネシマ、鬱先生、シャオロン、トントンがキッチンに集まり、その様子に驚く。
そこにいたのは蹲り両耳を押さえてふるふる震えるゾムの姿だけだった。
「あれ?雪乃ちゃんは…?」
確かに今のは雪乃の悲鳴だった。
しかし姿がない。
「おいゾム、どうしたんや」
トントンが近寄って声を掛けるが、
「あいつ…うるさ…」
至近距離で悲鳴を聞いたせいで鼓膜にダメージを負ったらしい。
「そこの窓開いとるぞ」
シャオロンが不自然に開きっぱなしな窓を見つける。
中途半端に洗われかけな食器。
突然の悲鳴。
開いた窓。
「まさか…」
この暗闇の中1人で外に逃げたんじゃ…。
トントンは立ち上がり、玄関まで走る。
「トントン、どこ行くんや!?」
「あの子もしかしたら森の方まで行ってもうたかもしれん、はよ確認せんと」
「森!?そんなとこ…」
「あの悲鳴やぞ!訳もわからず走っていっとったって不思議やあらへん!他のみんなは離れの方に帰ってへんか確認してくれるか!?」
「トントンは!?」
トントンはボールを投げ、相棒のグルトンを出した。
「トン、あの子の匂い、追えるか?」
「プギー!」
トンがクンクンと地面を嗅ぎだす。
「コネシマはゾムを見とってくれ、俺とシャオロンは離れの方見てくるわ!」
「お、おう」
鬱先生とシャオロンは玄関を飛び出し、離れへと向かった。
「…あれ、ロボロは?」
残されたコネシマはそう呟き、首を傾げた。
「おーい、雪乃ちゃーん!」
トントンが懐中電灯で森を照らしながら、声を上げる。
トンはクンクンと地面を嗅ぎつつ、少しずつ森の方へと入っていく。
やっぱりそうや、森の方へ入って行ってしまったんや…。
管理人の大隈は言っていた。
この森には入らないほうがいい、と。
そこまで深くないはずなのに、入った人間を迷わせる。
そうでなくても、光のない真っ暗な森の中に1人で入って行くなんて危険すぎる。
「おーい!おったら返事してくれー!」
しかし返事はない。
トントンは責任を感じていた。
雪乃をこの合宿に呼んだのは自分だから。
トンはどんどん森の深部の方へ歩いていく。
このままじゃ自分も帰れるかどうか…。
「プギー!!」
トンが突然鳴き声を上げた。
「どうしたんや、トン!」
まさか、近くにおるんか!?
トントンは再び声を上げる。
「雪乃ちゃーん!おるんかー!?」
やはり返事はない。
おかしい。
近くにいるはずなのに。
「プギ、プギー!」
トンがそばにあった木に前足を掛けた。
この木がどうかしたんか…?
トントンはフッと上を見上げた。
「あ」
いた。