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夢なら覚めないで
冬弥said
あれから2ヶ月は経っただろうか
この生活にもだんだん慣れてきた。
今日司先輩は、オフ日で3人で出かける約束をしていた。
俺は、楽しみでなかなか寝付けず朝も早く起きてしまった。
咲希さんも同じだったらしい。
着替え終わった俺たちは、リビングのソファーに座ってテレビをじっと見ていた。
隣にいる咲希さんは、眠そうにあくびをした。
しばらくテレビを見ていると司先輩がやって来た。
「「おはよう、つかさくん/司君」」
司先輩は、俺たちを見て目を丸くした。
「2人とも今日は早いな」
司先輩をよく見ると少し寝癖がついていた。
それを見た咲希さんは、司先輩に着替えた後すぐソファーに座るよう言った。
司先輩は、朝ごはんを作らなくてはいけないと言っていたが咲希さんは折れる気配はなかった。
諦めたのか司先輩は、それに従う事にしたようだった。
司先輩は、着替え終わると仕方なさそうにソファーに座った。
ヘアオイルと櫛を持参し、ドライヤーを洗面所から持ってきた咲希さんの目は輝いていた。
「つかさくんの事もっとカッコよくしてあげるから!」
そう言って咲希は、司先輩の髪をいじり始めた。
俺にはただ髪をクシャクシャにしているように見えたがしばらくすると触りたくなるほどのふわふわの髪に前髪の一部を耳の方に流したようなオシャレな髪型が出来上がった。
「つかさくん、できたよ! 」
満足げに手鏡を司先輩に渡す。
自分の髪型を確認した司先輩は、咲希さんの事を見て頭を撫でてお礼を言った。
俺たちは、出かける準備ができ玄関へ向かった。
帽子を被り靴も履いた。
咲希さん、俺、司先輩の順番で外に出る。
最後に出てきた司先輩は、ドアの鍵を閉めた。
「では、2人ともショッピングモールへ向かうぞ!」
いつもの通る大きな声で俺たちに呼びかける。
俺は、司先輩にしゃがんでもらうように手で合図をした。
司先輩は、それに従うようにしゃがんだ。
そんな司先輩の耳元に俺は近づいた。
「大きい声出したら司君だってバレちゃうから今日はなるべく声を出さないようにした方がいいと思うよ
司君、俺たちの事は秘密なんでしょ?」
その言葉を聞いて司先輩は、ハッとしたような表情をした。
司先輩は、そのまま小さな声で俺にお礼を言った。
俺たちは、歩いてショッピングモールに向かった。
ここからショッピングモールまでは、歩いて15分くらいの所にある。
咲希さんは、司先輩と手を繋ぎながら歩き 俺は、少し恥ずかしさがあり司先輩の服の裾を掴みながら歩いていた。
「そういえば、こうやって3人で出かけるのは初めてだったな」
俺と咲希さんに声をかけた司先輩に俺たちは、声から嬉しさが伝わるような返事をした。
色々な事を話しているといつの間にかショッピングモールについていた。
「咲希と冬弥は、何か買いたいものはあるか?」
俺たちに尋ねる司先輩に咲希は、目を輝かせながら“服”と答え 俺は、少し悩んだ後に“本”と答えた。
「そうか
2人の欲しい物があれば良いな!」
輝くくらいの笑顔は、本当に俺の知る司先輩と同じだった。
司先輩との買い物は、初めてではないがとても新鮮な気分になった。
ショッピングモールから出るともう外は暗くなっていた。
荷物は俺と咲希が持ち手の空いた司先輩には、俺たちの手を繋いでもらった。
少し恥ずかしい気持ちもあったが、それよりも司先輩の手がとても安心するような気分になり離したくない気持ちの方が勝っていた。
俺たちは、そのまま家に向かった。
これが夢ならこのまま覚めなくても良い気がしてきたな…
咲希said
今日は、3人でショッピングをする約束をして、そのせいで夜は全然寝れなかったし朝も結構早めに起きちゃった。
アタシととーやくんは、同じくらいの時間に起きた。
アタシ達は、少し眠かったけど服を着替えて顔も洗ってリビングのソファーに座ってお兄ちゃんが起きるまでテレビを見てた。
テレビを見ているとお兄ちゃんが起きてきた。
寝癖があったから着替えた後すぐソファーに座るよう言った。
着替え終わったお兄ちゃんは、そのままソファーに座った。
「つかさくんの事もっとカッコよくしてあげるから!」
そう言ってアタシは、自分の部屋から持ってきた櫛やヘアオイルを使ってお兄ちゃんの髪を整えた。
最後の仕上げにドライヤーで髪に癖をつけたら完成!
「つかさくん、できたよ!」
アタシは、ワクワクした気持ちのままお兄ちゃんに手鏡を渡した。
お兄ちゃんは、すごく喜んでくれたみたいでアタシの頭を撫でた。
アタシ達は、ショッピングモールに歩きながら向かった。
歩いてる時は、お兄ちゃんがツアーガイドみたいになってた。
ショッピングモールに着いてからアタシ達は、欲しいものを探しに3人で沢山歩いた。
色んな服屋や本屋があったりアクセサリーショップとかコーヒー豆専門店もあった。
アタシは、服を買ってとーやくんは、小説を何冊か買ってた。
お兄ちゃんは、裁縫道具とかを買った。
ついでにショッピングモールにあるスーパーで夕ご飯の材料も買った。
お兄ちゃんは、人参に鶏肉、玉ねぎをカゴの中に入れた。
「ルーとジャガイモは、家にあるから…」
って独り言を言っていたから今日は、カレーかな?
もしかしたらシチューとかかもしれないし…
ずっと悩んでいると買い物も終わってショッピングモールから出る所だった。
アタシは、出口の近くで一つ閃いてとーやくんに声をかけた。
「お兄ちゃんの荷物2人で持ってお兄ちゃんと手繋いで帰ろ? 」
「…分かりました。」
とーやくんの顔は少し赤くなってた。
アタシ達は、そんな会話をし終えてお兄ちゃんの元へと寄った。
「つかさくん、荷物アタシ達にちょうだい?」
「お願い司君」
お兄ちゃんは、少し悩んだ後アタシ達に荷物を渡してくれた。
アタシ達は、片手に荷物を持って空いた片手をお兄ちゃんに差し出した。
お兄ちゃんは、その意味を理解してその手を優しく握ってくれた。
アタシ達は、仲良く手を繋いで帰った。
すごく幸せでずっとこの時間が続けば良いと思った。