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俺は緊張しながら会場へ向かった。
たくさんのファンと共に。
7割は女性だった。意外な事に3割は男性。
やはり彼はどちらからも人気だった。
集合時間に列に並び、順番を待つ。
この時間がソワソワして仕方がない。
俺の時間が案内開始となった。
一気に緊張してくる。
俺はあの一瞬で推しができた。
そんな推しに今日会えるのだ。
心臓がバクバクしている。
何を話すかはある程度決めてきたが緊張は止まらない。
待機列が動き、再び順番を待つ。
だんだん前の人たちの握手会が聞こえてくるようになった。
涼架の楽しそうな声が聞こえる。いつもイヤホンやテレビから聞いている声が。
本当にいるのか、まだ信じられなかった。
そして遂に俺の番になる。
どうぞ、とスタッフに案内され、俺はブースの中へ入った。
そこには本物の涼架がいた。
高身長で細くスラッとしていて衣装も可愛かった。
俺は思わず口を開けてしまう。
「こんにちは!」
そう俺を虜にした笑顔で言う。
「こ、こんに、ちはっ。」
俺は何とか話そうと気合を入れる。
涼架が手を出してきた。
俺も恐る恐る手を出した。
すると涼架はふわっと優しくおれの手を握ってくれた。
「今日はありがとうございます!寒かったですよね?」
俺の手は緊張と寒さで冷えきっていた。
「えと、はい……。涼架さんに会えるなら、全然いいですっ……。」
俺は自分で何を言ってるのか分からない。
「あははありがとうございます!風邪引かないで下さいね!」
涼架はそう言って手を離した。
「あっ……はい。涼架さんも!」
俺がそう言い終わるとすぐスタッフに剥がされた。
あっという間に終わってしまった。
しかし現実だった。涼架の手の温もりがまだある。
手は震えが止まらない。
「あ、洗えない……。」
俺は手を見ながら震えた声で呟いた。
決めていた話す内容は全く話せなかったが幸せだった。
俺は完全に浮かれながら帰宅していた。
もう涼架の虜になっている。
「見返そ……。」
俺はその日ずっと涼架が出ている番組や曲を聴きまくった。
後日若井に興奮気味で握手会の事を話した。
「良かったやん。元貴がこんなハマってんの初めてだな。」
若井はそう言って笑った。
なぜ今までハマってなかったのか不思議でならない。
もっと早く涼架を知りたかった。
「あぁ……ライブ行きてぇ……。」
俺は心からの思いを呟くのだった。