「いるま、あの子…どなた?」
リビングでいるまは下を見ながら正座をしている、一方姉(いるみ)は仁王立ち、兄(るま}はソファーに座りながら優雅に紅茶を飲んでいた。
「ぶっ…部活の後輩…」
「なるほど…で、さっきの状態は」
「それは…言えません…」
「…元人気子役、暇那津…だな」
普段あまり喋らない兄がいるまを見て、喋り出した。いるまとは正反対の性格をしている兄はいつも冷静だ。
「……」
気まずい空気にいるまはその圧迫感に押しつぶされそうだった。話の話題となっているなつはいるまの部屋で待機している。
「…まあいいや、今日泊まるんでしょ?うち今からご飯作るからなつくん呼んできな」
「…あっはい」
「こっ…こんばんは…」
なつが恐る恐るいるまの兄に挨拶する。兄は優しく微笑み「我が家だと思ってくつろぎな」と言われた。そう言われたなつはほっと息を吐き、ソファーに腰をかけた。
「…先輩と性格随分と違いますね…」
「…まあ…うん」
「なつくん食べられないものとかある?」
「ぁ…全然無いです」
「へぇ〜馬鹿共とは大違いだね〜」
「おいどう言う意味だ!」
いるまのお姉さんは随分と挑発が上手いようだった
「はい、どーぞ」
「これって……」
「インスタントラーメン✨」
「料理じゃねえじゃん…」
「お湯入れた時点で料理ですぅ!」
「…?どうした…なつくん」
「えっあ…」
馬鹿兄弟どもが言い合いしている中、なつはカップラーメンを見つめていた。
「カップラーメンって言うんですか?凄い…こんな短時間でラーメンができるなんて」
「くっ!」
「ぇ?」
姉が突然膝を床につけ悔いた顔をするオマケに漫画によく出てくる悔しがっている「くっ!」も出ていた。
「やっぱり…金持ちは違う…」
「?」
(…先輩のお姉さんもお兄さんも…皆んな変わってるな…毎日楽しそうだな…)
暖かい湯に浸かり、微笑む姿は美しかった
ガチャ___.
「ぇ…」
「ぁ…//」
ドアを突然開き、黙然としているなつ。そして、ドアを開いた本人全裸状態のいるま。どちらも頬を赤くし動こうとしない
「せっ…先輩なんで…//」
「くっ…クソ姉貴ィィ!嘘じゃねえか//」
どうやら姉の仕業のようだ。奥の部屋から、「レッツゴーアオハル!」と聞こえた。
「…ごめん、上がるわ//」
「ちょ…」
思わず手首を掴み、戸惑い仲間らもこう、答えた。
「…い、…一緒に入りましもう//」
恥ずかしいセリフであると思うが元人子役にはお安い誤用ではあるが、先程襲われかけられてきた(多分)現在の暇那津選手は赤面状態で伊龍入間選手の目を逸らしている!なんという可愛い姿なのでしょうか!
さあ一方、幼少期から暇那津の大ファン〈ガチオタ〉であった伊龍入間選手はどうなっているのかぁぁぁ!?
「……//」
完璧に照れているぅぅぅ!あの、学校ではクールな方ですが!こんなに照れるとわ!これは!可愛いアイドル系子役暇那津の力だぁぁ!
少し小さな湯船2人ではいると、とても窮屈だった。2人とも背中を合わせてお互いの顔を見なかった。
(…動きにくい…一般の風呂お風呂ってこんなに狭いんだな…)
少し動くとちゃぷんと音がする
(ていうか…さっきから先輩となんも喋れてない気がする…)
一方いるまは
(どーしよ、入っちゃた…一緒にはいちゃったよ…どうすれば良いんだよ!つか2人だから狭いし…この状況をどう回避すれば良いんだよ!)
混乱状態である
「せっ…先輩」
「なっ、何?」
「…先輩って身長の割に少し、ガタイですね」
と言いながら、少し体を触る
「…まあ…鍛えてるし」
「俺なんて自転車に乗ることすらできなき運動音痴ですよ(笑)…先輩が羨ましいです…」
「アクション系とか、苦手だった?」
「はい…だから子役の頃昔から憧れてた仮面ライダーとかは全然できなくて、そのせいで子役を辞めたとも言えるし」
「…大変なんだな…子役って、誰かの理想通り行かなきゃダメなことを小さい頃から知らないといけないんなんて…」
「…先輩は分かってくれるんですか…」
ちゃぽんっ…ちゃぽんっ…ちゃぽんっ
無音のお風呂にまた水が落ちる音がした、動いてもいないし、上に溜まった水が落ちてきたわけでもない……。なら、この音は
「……なつ?」
後ろを振り向くと目から水が溢れている、なつの姿があった。どうやら水の音の正体はなつだったようだ。そんなことより彼が何故泣いているのか知りたかったいるまは、すぐにいるまに問いかけた。
「ど、どうした?」
「ぅ…うぁ……」
何も喋れないまま、ただひたすらに涙を流す、その彼の姿は哀れだった。
「はい、…大丈夫?落ち着いた?」
「……ん、」
リビングに戻り、いるまはなつをソファーに座らせて、暖かいホットレモンを出した。リビングには2人だけで兄は部屋に作業しに行き、姉はお風呂に入った。
「……なんで泣いたのか教えてくれる?」
「……」
なつはだんまりしていた。この様子からいるまは泣いた理由を話したくないということを感づいた。
「…無理に話さなくても良い…怖いもんな」
頭を優しく撫で、微笑む。その姿をなつは見て、申し訳なくなってきてしまった。そして、つい、言葉に発してしまった。
「…分かってくれる人が居て…嬉しかったんです…。」
「…!」
「…初めてこんな気持ちになりました…胸がキュッとなって…なんというか先輩のその笑顔がとっても…とっても…」
「……」
「優しくて…暖かい気持ちになって」
また、目から涙が溢れた。溜まった涙は限界が来て落ちていった。
スゥ…スゥ…スゥ…
泣き疲れたのか、なつはその場で寝てしまった。いるまはなつの頭を優しく撫でてあげた。
「……」
「可愛いなぁ…って思ったでしょ?」
「…うるせ//」
姉がお風呂から上がり、いるまにちょっかいをかけた。姉の想像通りいるまは耳を赤くさせた。姉はそのいるまを見てニヤニヤと煽るように笑っていた。
「…お姉ちゃんは応援してるよ〜」
「そう…//」
「お兄ちゃんも応援してるから」
と言いながら、頑張れいるいると書いてあるうちわを降って頭にある鉢巻には赤と紫のペンラチとついていた。メガネが白く光ってその絵面は誰が見ても面白かった
「兄貴まで…」
煽り上手なのは兄弟揃って似ていた
「……」
シングルベットで男子2人が横になっていた。片方はもう眠りについており、もう1人はまだ寝ていなかった…いや、寝れなかった。
(寝れねぇぇぇ!ガチオタの俺が?推しの横で寝れるわけねえだろ!アホか!)
混乱状態2である
ふと横を見ると、気持ちよさそうに寝ている少年の顔が見える。鼻は高く、まつ毛は長い。そしてついでに、
ふにっ
(……柔らか…)
ほっぺはちょー柔らかい。肌年齢を調べたらどうなるのだろうか。
(…夢みたいだな…本当に…、)
「ん……」
気づいたらふわふわとした感覚があることに気づいた
(眩しくないし…多分朝じゃない……)
なつが起きあがろうと動こうとしたその時、なつは体に違和感を感じた
(……なんか…重い)
何か体についているような感じがした。横を見ると、同じ学校の先輩が自分に抱きついている状態が目にうつった。
「ぇ…//」
つい声に出てしまいとっさに手で口を押さえた
「…んっ、…んう…」
(良かった…、意外と起きにくいのか…
てか、どうしよう…俺…、)
「い…いるま…先輩?」
一方に起きない様子のいるまになつは絶望した
(っ…まじでトイレ行きたい…ちょっ…きついんですけど…)
「先輩っ…//も、無理ッ…//だ…めぇ…//」
「…ん?…ぇ…」
「いりゅ…まぁ…せんぱっ//」
「えっ…?え!?…?」
(何この状況?どういうこと?そういう展開なの!?えっ?)
「とっ…トイレ…行きたいから…離してくださいよっ…っ//」
「……えっ…あっはい!」
なつは走って部屋を出て行った
「…びっくり…した…」
「本当にすんませんでした…」
「だっ大丈夫です…俺こそすみませんでした」
気まずい空気になってしまった…本当に気まずい瞬間になった。
本当に……。
「…ぅ…ぁ…//」
「……//」
またもや…こんな空気に…。
(なんで…俺また押し倒してんの!?)
「せっ…先輩…//」
「い…いるまでいい…//」
「い、……いるま…?」
(いやいや!今それ言うことじゃねえだろ!馬鹿かよ!俺!?)
「……//」
(この体制結構やばいかも、まじでやばいかも…どうしよう…)
「…せんぱっ…//」
「……//」
(あ…これ…もう限界かも…な)
彼は抵抗のできない子の唇に唇を重ねた。
なつ視点
「ん…//んっ…//いりゅっ…//」
あれから何分経った?何時間経った?よくわからないけど… //とっても…気持ちいい//
「ぷはっ……な…つ//」
「いりゅま…//」
朝の光が目に当たる。彼らは抱き合い眠ってた
「…おや…まぁ…、」
姉はその姿を微笑みながら見つめていた。紫色のスマホで2人を撮った。
「姉貴…それいるまに見せたら怒るからな」
「わーってるよ〜♪」
「分かってねえな…」
彼らはそんなことがあった事をこさめたちは知るよりもなかった
「じゃあね〜いるま先輩!」
「なつ、ばいばい」
「ぇ…先輩俺は?」
「じゃ、」
「先輩〜!(泣)」
「……//」
「なつくん絶対なんかあったしょ…」
「…無いし//」
「嘘つけい」
今回頑張りすぎた
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初コメ失礼します!…正直いって、神作ですね!私、猫天使さんが描かれた作品の中で一番好きで…♡300まで、押させてもらいました。続き待ってます!無理は禁物ですよ?