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『元貴、次いつ三人空いてる?』
ニノさんからの電話に出たら開口一番スケジュールを聞かれた。
「三人?うちのメンバーもですか?」
『そ。この前若井君にたまたま会って「今度みんなでご飯行こうね」って話したんだよね。』
「マジすか。」
若井のやつなんも言ってなかったけど。
『明後日の夜とかどう?その日なら風磨も来れそうなんだよね。』
そういえば風磨君にも涼ちゃんとの食事会セッティング依頼されてたんだった。
「そうなんすね、明後日は特になかったと思うんですけど、一応確認してすぐラインしますね。」
『よろしく。』
電話を切った後、スケジュール共有アプリを開く。
「仕事は入ってないっぽいな。」
次に、チームのグループラインにメッセージを入れた。
大森;明後日夜二人なんか予定入ってる?
すると、すぐ二人から返信があった。
若井;明後日仕事は入ってないし特に何もない
藤澤;僕も特にないね
大森;ニノさんにみんなで食事行こうって誘われた
若井;あ、そういえばこの前二宮さんに会った時そんな話したわ
大森;すぐに言えよ
若井;忘れてたんだって
大森;忘れんな
若井;ごめんやで
大森;風磨君も来るって
藤澤;それ僕らも行っていいの?
大森;風磨君は涼ちゃんに会いたいってよ
藤澤;なんで?
大森;涼ちゃんがタイプらしい(笑)
藤澤;なにそれ(笑)
若井;じゃぁ俺必要ないよね?パスで
大森;若井の分際でニノさんの誘い断るの?ふざけんな
若井;面倒臭いことになりそうな予感がするし
藤澤;面倒臭いことって?
若井;いや、別に…
大森;ニノさんに皆OKって連絡しとくわ☆
若井;[頭抱えたスタンプ]
ということでニノさんに「全員OKです」とラインした。しばらくして、店の情報とともに返信が来た。
二宮;この店に20時集合で
伝えられた店は完全個室業界人御用達の和食料理屋。やっぱトップアイドルすげぇな。
チームグループラインにその旨を伝える。
若井;和食のめっちゃいいとこじゃん
藤澤;ドレスコードとかないよね?
大森;TPO弁えてれば大丈夫でしょ
藤澤;ねぇ、店の前で待ち合わせしよ?一人で入れないよ
若井;じゃぁ19時50分くらいに店の前で
藤澤;OK
大森;OK
当日、メンバーとの待ち合わせ時間に店の前に行くと
「お、来たね。」
若井と涼ちゃんと一緒にニノさんもいた。
「ニノさん、もう来てたんですね。」
「風磨少し遅れるって。先に入っとこう。」
「はい。」
ニノさんに続いて店に入る。
「俺らなんか衣装っぽいな。」
若井が俺ら三人の服を見る。涼ちゃんも笑いながら
「やっぱきちんとした服装って自然とこういう感じになるんだろうね。」
三人とも襟付きシャツと黒ベースの服を着ており、かっちりとまではいかないけども、ややフォーマルな感じになっていた。
高級ホテルスタッフのような店員さんに案内されたのは上階の個室。
店員さんが行ってしまってから
「なんか、悪徳政治家とかが悪だくみする場所っぽくない?」
ワクワクしながら言ったら、ニノさんは笑った。
「ここTV業界人の利用が多いから、ここで悪だくみするなら政治家じゃなくてTV業界とかそっち側の人だと思うよ。」
「なるほど。縄張りみたいなのあるんすね。」
「それより元貴。」
「はい?」
「そっち座るんだ?」
「え?」
長方形の掘り炬燵式のテーブル。入って左側奥にニノさん、右側の奥から若井・俺・涼ちゃんで座ってる。
「3対1の構図になってんじゃん。」
「でも、風磨君後から来ますよね?」
「風磨はそっちの二人の間に座らせるから、元貴こっちね。」
「?わかりました。」
席を移動してニノさんの隣に座る。
乾杯して食事が始まり、談笑しながら…というかトーク番組みたいにニノさんがそれぞれに話し振って答える感じなっている。
「すみません、遅くなりました。」
20分くらい経った頃、風磨君がやって来た。
「風磨そっちね。」
ニノさんが若井と涼ちゃんの間を指さす。
「え“…。」
一瞬固まる風磨君。でも、涼ちゃんがにっこり笑って
「どうぞ~。」
ふわふわ笑顔で言うもんだから、途端に目尻を下げて
「えー?いんすかぁ?じゃぁ、失礼します。」
嬉しそうに間に座っていた。なんかもやもやする。
風磨君にお酌してあげる涼ちゃん。
嬉しそうに飲む風磨君。
「キャバクラみたいになってんじゃん。」
呆れ気味に言うと涼ちゃんがキャバクラコントを始めた。
「お兄さんイケメンですねぇ。お仕事何されてる方ですかぁ。」
「いや、まぁ、TV関係をちょっと。」
「えーすごーい。」
ボディータッチとかして本物のキャバクラみたい。
風磨君もアイドルらしからぬ顔面でファンには見せれない顔をしている。
見てらんなくて止めたいけど、止め方わかんないし。
若井を見ると他人事のように食事に舌鼓打っていた。
「涼子ちゃん俺にもお酒注いでほしいなぁ。」
ニノさんがコントに参戦し、涼ちゃんもニノさんのコップにお酒を注ぐ。
「はーい。二宮さんいつもありがとうございまーす。」
「太客だ。ニノさん太客だ。」
そこでキャバクラコントに気づいた若井も
「No2の若子です。お兄さんあたしのお酒もどうぞ召し上がれ♡」
「あ、ありがとうございます。」
若井は風磨君のコップに並々とお酒を注いだ。
「ちょっと飲みすぎた・・・。」
仕事で疲れていたのもあり、風磨君は酒のまわりが早かったようだ。
「ごめん、飲ませすぎちゃいましたか?」
涼ちゃんは心配そうに風磨君の顔を覗き込む。多分、それ逆効果だ。
「いやいや、全然大丈夫っすよ!」
慌てて否定するが、限界が違いのは間違いなさそうだ。
「今日はもうお開きにするか。」
ニノさんの言葉にみんなは頷いた。
結局潰れてしまった風磨君をニノさんが送り届けることになり、タクシー乗り場まで若井が風磨君に肩を貸す。
「今日はありがとうございました。」
俺と涼ちゃんが頭を下げ、タクシーに風磨君を乗せた後若井も頭も下げた。
「また今度ね。」
タクシーに乗り込むニノさん。扉が閉まる前
「あ、そうだ岩井君。」
「若井です。」
「例の件、よろしくね。」
「はい…。」
タクシーの扉が閉まり、ニノさん達は帰っていった。
「例の件って?」
さっきの言葉の意味を聞くが、若井は歯切れ悪く
「あー…、なんか、韓国語習いたいからいい教材知らないか…みたいなこと聞かれて…。探しときますって。」
「へぇー?」
絶対嘘ついてる。
若井も俺が気付いてることに気づいているようで
「あ、俺ちょっと用事あったんだわ。別で帰るね!お疲れっ。」
さっさと歩きだし、人ごみの中に消えていった。
今度絶対吐かせる。
「今日楽しかったねぇ元貴。」
お酒が入ってるせいかいつもよりふわふわしてる涼ちゃん。
「楽しかったのならよかったよ。」
「元貴まだ大丈夫?どっかでもう少し飲んでかない?」
「涼ちゃんは大丈夫なの?」
「飲みはしたけど、どちらかというと人に飲ませすぎちゃったからね。後で風磨君にラインで謝っとかないと。」
いつの間にライン交換したんだ…。てかいつの間に風磨君呼び…。
「元貴?大丈夫?」
ぼーっとしていたから、涼ちゃんが心配そうに覗き込んでくる。
「…涼ちゃん、それ誰にでもしたら駄目だよ。風磨君ダメージ受けてたじゃん。」
「ダメージ?」
「酒買って俺んちで飲みなおそう。」
「わーい、元貴んち久しぶりー。」
なんとなくだけど、強いお酒が飲みたくなった。