元貴から俺と涼ちゃんに二宮さん主催食事会への招集があったが、高級店に一人では入りずらいので19時50分頃に店前にメンバーで集合しようという話になった。
当日
「早く来すぎたか…。」
時刻は19時40分。まだ誰も来てないと思いつつも店の前に行くと
「二宮さん?!」
二宮さんがすでに来ていた。
「おぅ、岩井君。」
「若井です。早いですね?」
「前の仕事が早く終わってね。かと言って他で時間潰すほどでもなかったからここで待ってた。」
「メンバーと50分に待ち合わせしてるんで、もうすぐ来ると思いますよ。」
「そうなんだ。風磨は仕事で少し遅れるって。」
「そうなんすね。」
「でも、最初に来たのが岩井君でよかったよ。」
「若井です。」
「賭けをしない?」
「賭け?」
「元貴がどこに座るか。」
どこに座るか?
「今日のところは掘りごたつの長机なんだけど、元貴がどこに座るかそれぞれ予想して、俺が勝ったら今後サポートしてもらいたいなって。」
なんのとは言わないがわかってしまった。
「まぁサポートはしてもいいですけど、無理矢理とかはなしですよ?」
「わかってる。あくまでサポートだけ。君が勝ったらこの前言ってたギターを買ってあげる。」
「流石にそれは貰いづらいので、代わりに一個お願いがあります。」
「何?」
「何かあった時、元貴守ってもらえませんか?」
「守る…?」
繊細なくせに大胆で、強いようで実は弱い
でも何かあった時は一番に動いて、言葉を発して
俺たちを守ろうと壁を築く
それが俺たちを自分の人生に巻き込んだ責任とでも言うように
俺たちは元貴だから付いてきたというのに
「何かあった時、あいつのことを公私共に支えていただければと。」
「君と藤澤君はいいの?」
「藤澤と俺は今まで通りにはいかなくてもどうにかなると思います。でも、一番露出が多いあいつが一番打撃を受けると思うんで。」
「支えるのは君と藤澤君の役割だと思うけど。」
「話を聞くことはできても、実際にどうにかできる力はないんで。」
「…ちょっと確認なんだけどさ、岩井君は俺のライバル?」
「若井です。元貴は好きですけど単なる親友です。ここまで連れてきてくれたことに感謝してます。」
「そっかぁ。じゃぁここで一つ岩本君に先輩が教えてあげよう。」
「若井です。」
「元貴が俺や研さんとかそれこそ名だたる有名人の懐に入り込みまくってる理由知ってる?」
「人脈を広げるためって本人言ってますけど。」
「それももちろんある。でもね、そういう人たちと初手話すのは大体君たちの話らしいよ。もちろん、俺の時もそうだった。」
「え…。」
「あいつはあいつなりに君たちを守る術を考えてるんだよ。いかに君たちがすごいか、いかに自分が君たちに助けられてるか、静かに熱弁してた。俺の予想だけどね、その時に少しでも君らのこと悪く言おうもんなら心のシャッターは閉じられてた。」
「……。」
「『BFF』もそう。あれは元貴から二人へのメッセージもあるけど、周りを牽制してるんだと思うよ。『俺の“大切”に手を出すなよ』って。俺から見たら、君らはお互いがお互いを守ろうと必死になってるんだよね。」
「そうなんすかね……?」
「素敵なグループじゃないの。」
「あ、ありがとうございます。」
「で、どうする?賭けやる?」
「まぁ、別にいいですけど…。」
「岩井君から予想していいよ。」
「若井です。菊池さん遅れるんですよね?最初4人スタートなら2ː2じゃないですかね?」
「俺はねぇ、3ː1と予想するね。」
「3?俺たちが3人で座るってことですか?」
「なんの疑問も持たずに元貴は君たちの間に座ると思うよ。」
「菊池さんのこと考えてじゃないすか?いきなり俺とかの横はやりにくいでしょうし。」
「とにかく。賭けは成立したから、よろしくね。」
「はぁ……。」
ただでさえ乗り気じゃなかったのに気が重くなる。
せめて食事だけは楽しもう…。
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