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チョコ雑煮
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#ブイズ
ルディア「はあ………………はあ」
クラシ地方。
セイザタウンの東の、大砂漠。
ルディア「(暑い…………クラクラする)」
「(もう少しで…………砂漠を抜けられるのに)」
「(やっぱりあたし……旅なんて向いてないや)」
「(だ……だめ……頭……が)」
ふらりと、熱砂に倒れる……
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第2話
⟣ メデューサの涙 ⟢
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目を醒ますと、十字架に掛けられていた。
……あえてもう一度言おう。
十字架に掛けられていた。
ルディア「…………」
「はい!?!?!?」
包帯的なもので手足をぐるぐる巻きにされているためほどけない。ひとまず、釘とか打たれてなくて良かった。
小さな洞穴の中で、褐色の人間数人に囲まれている。
一番星の大剣は壁に賭けられていて取れない。
すると、自分の足元には陣が、周りには蝋燭が敷き詰められていることに気づく。
褐色の人間達は、ルディアに向かって跪いて、祈りを捧げる……
ルディア「あれっ?私崇められてる!?あは……私ってばどこでも大人気」
その後、十字架に火がつけられる。
ルディア「これ生贄のパターンかも〜〜〜!!!!」
ダンと足踏みが聞こえると、誰かもう一人……褐色黒髪の同い年くらいの少女が入ってくる。
頬や腕などにはボディペイント。
腕輪、ネックレス、ベルトなど、身体中に手のひら大のハートのアクセサリーが付けてある。
コブシ「何やってるのアンタたち!知らない人巻き込むんじゃないって言ったでしょ!」
褐色の人達はなんか色々言いながらコブシに襲いかかるが……
少女が腕輪のハートが外すと……
コブシ「分かってるでしょ。勝てないって」
それは空中を浮遊し、ふよふよと敵に近づいたかと思えば……
ゴン!
ハートからいきなり明らかな人間の腕が飛び出し、強烈なパンチをする。
ドゴゴゴゴゴ!
……あっという間に片付いた。
コブシ「ゴメンネ!誰だか知らない白人の子。こいつら、いっつもこうなのよ」
ルディア「……………」
「え!?!?何!?!?今の!!!すごい!!どうやったの!?」
目をキラキラと輝かせている。
コブシ「落ち着いて……アタシの特性だよ」
ルディア「『特性』……?」
コブシ「え……もしかして知らないとかある?アンタどこから来たの?」
ルディア「セイザタウンだよ。最南西の」
コブシ「よく知らない。そんなに文化が違うとこなの……?」
ルディア「……私も外のことはあんまり知らない」
コブシ「同じ地方なのに異文化交流じゃん……」
ルディアの拘束を解いてあげる。
ルディア「砂漠を越えようとしたはずなんだけど、ここは一体……?」
「まともじゃないよね?旅人をいきなり生贄にするとこなんて」
コブシ「……ここは『アタハジュル部族集落』だよ」
ルディア「アタハジュル……部族集落」
コブシ「もしかして、旅でもしてんの?あんなにデカい砂漠を超えてくるなんて」
ルディア「そう。旅をしてるの……『象徴』に会うために」
コブシ「象徴?アタハジュルには『岩石の象徴』がいる、らしいけど……」
ルディア「ホント!?!?」
コブシ「デカいね〜……声」
「でもどこに居るのかは知らない。アタシだけじゃない……この集落のみんなが知らないの」
ルディア「へ〜、そうなんだ。助けてくれてありがとう!私は探してみるよ」
コブシ「お元気そうで何より……」
ルディア「あのさ、ちょっと案内してくれない?手がかりを知りたい」
「それに、その『特性』ってやつも後で教えてよ!」
コブシ「はい〜?助けてもらった割には舐めてるね。アタシはお人よしじゃないよ」
ルディア「私が一人になったら……この集落でどんな問題起こしちゃうか分からないよ?」
「だって故郷でもないんだから。いくらでもイタズラできる気がする」
コブシ「ええ!?………」
「……監視として付いていかなくっちゃいけなくなった。やり手なんだね」
ルディア「トモダチマスターと呼んでいいよ!」
コブシ「名前すら呼ばせないってわけね。もういいよ、ツッコまない」
ルディア「あ、そういえば言いそびれたね。私はルディア!あなたは?」
コブシ「……コブシ。コブシ・ハキーカ。」
ルディア「拳?」
コブシ「分かってない顔してる。ホントにコブシって名前なの!」
「……でも、この集落はやめておいた方がいいよ。せめて一泊する程度にしたら?」
ルディア「調査しないと離れることなんてできないよ。またとないチャンスなんだから」
コブシ「あっそ。どーなっても知らないよ」
洞穴を出て集落に出る。
いかにも集落という感じに、小さな家が並ぶ。規模はかなり小さい。
ごく小さな盆地だからか、中央にかけて円形に家が並んでいる。
しかし目を引くものがある。中央に佇む超巨大なピンクの宝石の塊と、その足元を覆う赤い湖。
ルディア「なんか……空気が温泉臭いね」
コブシ「え……最初に言うことがそれ?目を引くものがあるでしょ!あのピンク色の!」
ルディア「後で見るよ。まずご飯が食べたい」
コブシ「はぁ……ここはケバブが美味いよ。金は自分でね」
…
肉屋に着く。
太っちょのおばさんが店主をやっている。
ルディア「ヘイ店主さん!ケバブちょうだいよ」
しかし肉屋の店主は目線を合わせずに鼻を掻いている。
ルディア「ヘイ店主さん…?」
反応がない。
コブシ「アタシもひとつ貰うよ」
店長「ヘイ………一丁………」
ルディア「え〜〜!!私の分は!?」
店主「るせえな…今出すから待ってろよ……」
ルディア「ああ…ちゃんと出してくれるならいいんだよ」
お代を渡したのち、店主が準備する。
カウンターに皿を置く。ボロめ。
まずコブシの方には、しっかりとしたケバブを提供する。
バアン!!ルディアの方には、未加工のブロック肉を勢いよく雑に置く。
…
…それから先は動きがない。
ルディア「………???」
店主「んだよ」
ルディア「待って…あたしもちゃんとケバブ頼んだよね?」
店主「これがケバブだ」
ルディア「…………………」
店主「…………………」
コブシ「ははっ………あははは………」
ルディア「………ちょっとした冗談だよね?」
店主「るせえぞ白人ーーッ黙って食えーー!!女のくせに礼儀もねえなーー!!」
ルディア「は〜〜!?何それ!!もういいもんね〜っ初対面の人にやさしくできないような店なんて!!二度と来ないもんね!!ベー!!べー!!」
コブシ「あは!!あはあはあは!!」
「いい気味〜!腹痛くて食えないよ」
ルディア「じゃ、貰う」
コブシのケバブをひょいと持って走る。
コブシ「はぁ!?盗人じゃん!!」
……結局、ケバブをはんぶんこするのに落ち着いた。
飲み食いをした後、集落の中央へ歩く。
コブシ「空に向かってそびえ立つあの桃色の宝石塔は……『百石の日時計』っていうの」
「日光を複雑に反射して、この集落を照らしてる」
「岩石の象徴が造りあげたらしいけど、私はよく知らない」
それは集落のどこにいても照らす光を放っていて、輝かしい。
ルディア「確かに……神秘的。ポケモンが作ったとは思えないかも」
「やっぱり居るのかな……象徴」
コブシ「族長は象徴に会ったことがあるらしいよ。教えてくれないんだけど」
ルディア「ホント!?!?話を聞かなきゃ!」
コブシ「聞けないよ。アンタみたいなただの怪しげな旅人は」
ルディア「むう〜。ずっと当たり強いね」
「やっぱり、何かを経て信頼してもらわないとなのか……」
コブシ「そもそも何がしたいの?象徴なんて探して」
ルディア「ヒミツ。いずれ分かるよ」
コブシ「へぇ……図々しいこと」
日時計の足元に着く。
周りに家がない。近辺の外側には、日時計と同じ材質の大きい結晶岩がまばらにゴツゴツとあり、
内側には円形に広がる……緋い湖が、日時計の足元を丸ごと覆っていた。
ルディア「この湖は何?」
そっと赤い水に触れてみようとする……
コブシ「この湖の水に触れた物は、石になって死んでくの。」
ルディア「あぶなっ!?」
「石……?危険じゃん。柵とかないんだ」
コブシ「一応これは良いものとして扱われてるからね。」
「入った人の魂は岩石が天へ運んでくれる……って信じられてるから、死んだ人はみんなこの湖に投げられる」
ルディア「マジか……」
コブシ「入れば石となって永久に保存され、また血溜まりのような見た目をしていることから……」
「名を『永久血湖』」
ルディア「永久、血湖……世界ってすごいんだね」
「なんで石化するの?水に触れただけで……」
コブシ「そこが分からないの。学者のお兄ちゃんはそこを調べてるけど、進展がなくって」
すると、赤い鳥のポケモンが飛んできて、湖の浅いところに着地する……
ルディア「えっ!?いいの!?足がガッツリ入ってるよあれ!?大丈夫なの!?」
指を指してコブシを見る。
コブシ「ああ……あれはここだけに生息してる『クラシカラミンゴ』……タイプ分布は飛行・岩」
「足の鱗が石化した後と同じ成分だから、足はいくら浸かっても大丈夫なんだよ」
ルディア「おもしろ〜〜」
続々と、集落民が湖に跪く。
ルディア「あれ?あの人たち、祈ってる……」
「果物や肉を投げてるよ」
コブシ「供物だね。アンタもアタシが助けなきゃあの果物と同じになってたよ」
ルディア「ええっ!?!?」
「なんでそんなに物を捧げる必要があるんだろ……」
コブシ「みんな、岩石の象徴が祟ってるせいだって信じてる。だから神聖な永久血湖で、供物と一緒に怒りを鎮めようとしてるの」
ルディア「……祟ってるせい?何が?」
コブシ「っそれは……」
言おうとした矢先に、先ほど供物を捧げていた、集落民の親子が騒ぎ出す。
……見間違いだろうか。子供の両手は、石の材質にしか見えない。
子供「ゴホッ、ごほ………」
母親「ああ……象徴様……どうかお救いください」
「息子の命を……どうかお赦しください……!」
父親「一人息子なんです……せめて……持っていくなら私をッ……!」
子供「コホッ…………………」
「…………………………」
母親「サリム……?」
子供は足から先に石になり……
……そして、全身を覆う。
それは永久に保存され、もう動かない。
父親「は…………!!」
母親「ああ……ああ……!!サリムううぅぅ!!!!!」
コブシ「……!」
ルディア「何………あれ」
「水には……触れてないよね」
「何が起きてるの!?!?」
コブシ「……『石化病』」
「湖から遠いとこにいても、ずっと誰かが石化していく」
「治療法も原因も………誰も分からない」
「感染るのかも、感染らないのかも、誰も……」
「これが祟り……アタハジュルが昔からずっと背負ってる呪いなの」
「1週間後には、自分も石かもしれない……そんな恐怖を背負って、みんな暮らしてる」
ルディア「………離れないの?みんな、この集落から……」
コブシ「思い出がある人も居れば、象徴様を信仰してる人もいる」
「……嫌な経験から、外の世界に触れたくない人が大勢いる」
「避けられないの。アタシもアンタも……石にならない保証はない」
「あの子が石化したのだって……みんな大きな反応は示さない。だって、慣れてるから」
「……そんなとこ。分かったでしょ?象徴に会うなんてことを抜かす前に、ここから離れた方がいい」
ルディア「……」
「なるほどね。確かに……原因も分からないまま、この集落に留まるのは不安かも」
ゆっくりと歩き、近くの大きい結晶岩に手を添える。
コブシ「それで良いの。迷惑かける前に……」
そして日時計に照らされ、結晶岩にもたれかかりながら、こう呟く……
ルディア「なら……あたしが石化の原因、突き止めてあげるって言ったら?」
コブシ「!?………」
「……できっこない!学者のお兄ちゃんでもずっと結果が出せなかった」
「アンタ素人でしょ!?軽々とそんなことを抜かさないで!」
ルディア「コブシ……家に泊めてよ」
コブシ「はぁ??」
ルディア「そうだな……日数は」
「……1週間。それ以内に突き止める」
コブシ「………」
「でもアタシ、飯代は払わせるし……部屋の掃除もしてあげないよ?」
ルディア「それでいいよ。客なんだから、高望みもしない」
「協力してよ……アタハジュルを救うチャンス」
コブシ「…………」
「アタシはアンタに協力するつもりなんてないし」
「……本当に……ただ泊めるだけだからね」
「余計なことしたら追い出すよ!!」
ルディア「ふふ……ありがとね」
薄くはにかむ。
ルディア「そんなところで、ちょっと確認をしたい」
「この永久血湖の水は……汲めるの?」
コブシ「えぇ?いやいや……永久血湖は神聖な湖なの。汲んだりしたら、族長が黙ってないよ」
ルディア「そういうのは別にいい。罰当たりでも気にするもんか」
コブシ「見つかったら何か罰を受けるよ!?」
ルディア「いいの!なんとかするから。」
「それに石化病の原因を早く見つければ、許してもらえる上に『象徴』の話も聞けるでしょ」
「それで、容器で汲めるの?」
コブシ「ええ〜〜……」
無鉄砲さに困惑するが、いちいちツッコんでは話が進まない。
「……湖に面してる地面が石になってるように、容器も石化するけど……汲むこと自体はできる」
ルディア「なら問題ないね!」
バケツに永久血湖の水を汲む。
コブシ「あ〜あ〜あ〜!アタシどーなっても知らないからね!」
そして、集落の外へ走り出し、丘陵を駆け上がる。
コブシ「何がしたいの?」
ルディア「『実験』だよ。調べるなら、知らなきゃならない」
「理科の実験はサボらなかったもんね。好きなんだよね〜あれ」
集落からかなり離れた岩陰に着くと、バケツを置く。
そして石化水に木の棒を差し込むと……やはり石化した。
コブシ「はぁ……着いてこなきゃよかった。実験って、本当にイチから調べるつもりなんだ」
ルディア「調べるならまずは永久血湖から……石化っていう現象が同じなのがかなり怪しい」
「石化水がアタハジュルの外でも機能するかを確かめるためにここに水を持ってきた……」
「そして、ここは岩陰だから日光にも……日時計の光にも当たってない。だけど石化は機能するってことが分かった」
「日時計の光、アタハジュルの土地、ついでに日光……それらは原因じゃないみたい」
コブシ「こんな実験程度で突き止められるなら、アタシたちも苦労してないんだけどね……」
ルディア「隅から隅まで、だよ。調べ尽くす!」
「石化病に罹る人の法則はある?」
コブシ「ないの!だから分からないんだってば!」
ルディア「無いって言う前に教えてみてよ。うろ覚えでいい……」
「年齢は。性別は。住む場所は。罹った日時は。」
「…そんなことを、記憶の限りでいいから……直近で……そうだな。10人くらいは教えてくれない?」
コブシ「えぇ!?面倒臭い!」
ルディア「頼むよ。突き止めるために必要なの」
コブシ「……………はぁ」
「去年の12月後半に女性のファーティマさんが罹って、まだ進行中。年齢は22で……」
あらかた聞き終える。
年齢、性別、在住位置……特に法則性はないように見える。
ルディア「ありがとね」
「……確かにバラバラ」
コブシ「でしょ?」
ルディア「でもやっぱり……比較的、集落の内側の人が多い気がする」
コブシ「言われてみれば……じゃなくて。10人ぽっちのデータなんて何も参考にならないでしょ」
ルディア「うん……だからもっと色々集める」
「やっぱり『永久血湖』……もっと実験するよ!」
コブシ「はぁ……いつ諦めてくれるんだろうね」
よお……!俺はヘリコニア・インドマブル……
シッコウ地方から来た……妻以外の誰にも好かれないおっさんだ 認めたくねえが
分かるか?シッコウ地方……南東地方で無法地帯の……
そんな俺。岩石の象徴に会うため、はるばる旅してここに来た……
だが今は家と家の隙間に隠れて尾行中だ……
老いぼれの……族長のやつをな……!
母親「ああ……息子を……サリムを失いました」
「これから私……どうすれば……!」
オサ「それは……不幸でしたのう」
「サリム君の遺石を……永久血湖に沈めましょう」
母親「そんな……!せめてうちに!」
オサ「これが……岩石の象徴様の望むことじゃ」
「永久血湖で……天使に魂を運んでもらいましょうぞ」
母親「…………はい」
ヘリコニア「(あんな優しい老人のツラをしてるやつだが……外交客に対して厳しすぎる)」
「(昨夜は俺が永久血湖を調べようとしてきただけで……連行しようとしてきやがった……)」
「(『外地の敵』って明確に言い張ってな!調べる以外何もしてないのに!)」
「(決めたぜ!弱みを握って……脅して岩石の象徴の情報を聞くってな………!)」
「(調査のスタートだ!)」
ルディア「調査のスタートだ!」
ヘリコニア「(!?!?!?)」
ルディア「永久血水の石化が光に関係なく、そして湖から離れても機能するのが分かった。」
コブシ「で、次は?」
ルディア「しっかり水としての性質をしているか調べる。粘度がどれくらいか、蒸発するか……あとは温度変化」
コブシ「うへぇ、真面目。そのくらいのことならお兄ちゃんもやってるよ」
「明日帰ってくるはずだから、聞いた方が手っ取り早いんじゃない?」
ルディア「百聞は一見にしかず。自分でやるのが大事なの」
コブシ「はいはい……」
族長とルディアたちを、2×2の家が仕切っていて……その家の隙間にヘリコニアが隠れている形。
なのでヘリコニアは、前後に逃げればどちらかに見つかり、左右に動けばどちらにも見つかる。
やり過ごすしかない状況だ。
ヘリコニア「(お……オメーら……!騒ぐな……!)」
「(永久血湖の水を持ってきて実験!?何のため!?マッドサイエンティストか何かか!?)」
「(そんな話を聞いたら族長が寄ってきちまうだろーがッ!したら俺も見つかる……!)」
「(今はこいつら……ギリギリ互いの声が聞こえてねえが……ちょっとでも大声を出したら……!)」
ルディア「じゃ、火で炙るよ。カウントダウンしちゃお」
「懐かしいなあ……友達とカウントダウンする時、誰が一番大声でゼロ〜!って言えるか、みんなで勝負してた」
コブシ「ええ……うるさいから叫ばないでよ」
ルディア「じゃ、大声勝負は私の勝ちだね」
コブシ「はあ!?何それ!アタシの方が大声出せるから!」
ルディア「じゃ、始めるよ〜」
ヘリコニア「(お……お……終わった〜……!!)」
「(な……なんとかするしかねえ)」
狭い隙間をウロウロして、必死に考える。
「(族長の方は人目に晒けすぎてて、襲うリスクが高すぎる……が、)」
「(あのガキ2人の方は比較的人目がない……)」
「(あっちなら……上手く〆られるか)」
「(俺の『特性』で……!)」
ルディア&コブシ「さ〜ん……」
家の隙間から、ちいさな箱が転がってくる……
コブシ「にい……」
そして、その箱から………
……小型のナイフが飛び出す!
ルディア「………!?コブシ!!」
ガバッと飛び込み、庇って二人で地に倒れる。
コブシ「えっ!?」
ナイフはかなりの勢いで、ルディアの背中を切って飛んでいった。
ルディア「っ……!」
コブシ「あ……アンタ、背中!」
ルディア「……大丈夫、このくらい。たぶん、浅いんじゃないかな……」
「コブシのことは……守れたし」
コブシ「……どうして庇うの!?アタシのことは大事じゃないでしょ!」
ルディア「えっへへ……コブシは……アタハジュルでの初めての友達。それだけだよ」
「敵がいる……早く構えて」
コブシ「……!」
ルディア「いや……ここは家が近い……どこから攻撃が来たのかも分からない」
「コブシと出会った洞穴!あそこの出入り口近くなら……一番見えやすい」
「早く行こう」
コブシ「……うん」
ルディアは息を荒げながらも、二人で駆け出していく……
ヘリコニア「(くっ!外したけども、逃げたなら好都合だ……!これで俺もトンズラこけるようになったし……)」
「(いや待て……あいつらが族長にチクったら……集落の警備が強まるんじゃねえか?)」
額に手を当て、考える。
「(……クソ!今更どうとも思わねえ……追い込んでおくか……どうせ死なねえだろ)」
「(それにあの白人の女がボコボコになれば、白人嫌いの族長サイドの仕業だと思われて集落民の不安を煽りそうだ……族長に隙ができる!)」
オサ「うむ……?何か叫び声が聞こえたような」
確認するが、誰もいない。
オサ「気のせいじゃったかのう………」
ルディア「はあ、はあ、はあ……」
「……ここはひらけてる。障害物の家まで……30メートルくらいかな」
「コブシ。私……戦った経験は全くないから……リードは頼んだよ」
コブシ「無いんだ!的確だね……判断……」
一番近い家の陰から……先ほどと同じ小箱が投げ込まれる。
20cmほどの正方形だ。ハテナや吹き出しの紫・緑・青などを基調としたデザインで……
……いわゆる『びっくりボックス』。
ルディア「これだよ!さっき投げ込まれたのは!」
「理由はわかんないけどナイフが飛んできた!気をつけて!」
コブシ「……ナイフ?あんな速度のナイフが?」
「もしかして……『特性』じゃ」
その時、びっくりボックスが開くと……
……扉を二つ並べたほどの大きさの『板』が飛んでくる!
20cmほどの小箱から!自分の何倍もの大きさの板が!反応も難しい速度でだ!!
ルディア「え〜〜〜っ!?!?」
バン!
当たりはしなかったが、洞穴の中に追い込まれ……その板で、入り口が丸ごと塞がれる。
コブシ「やっぱり!これは『特性』だよ!!」
ルディア「だから特性ってなんなの!?」
コブシ「それは……」
ヒュン!コブシの横を何かごく小さいものが掠める。
飛んできたものは……コルク。
だが、コルクが板を貫通してきたのも事実であり……
着弾した岩の壁は、少し傷付いている。
たかがコルクと侮っていれば、無事では済まないだろう。
コブシ「……!」
そして続け様に、二人とは外れた場所に2発のコルクが飛んでくる。
ルディア「わわっ!?」
コブシ「板で出入り口を塞いでから、無闇に撃って封殺する気だよ!もっと近くに来て!!!」
二人で固まるが、撃たれるコルクの数は増え……
ヘリコニア「これでも当たらねえってことは………」
「……ここだな!!」
直径5cmほどの、鉄球が飛んでくる!
コルクでさえあの威力なのだから、この鉄球は……銃弾と言って差し支えないものになるだろう!
ルディア「うわああ!!」
刹那、パニックで後ろのコブシを巻き込んで尻もちをつくが……
コブシは、その状態で冷静にルディアを片手で抱える………
……ガギィン!!!
宙に浮かんだハートが、自らパンチを繰り出し、鉄球を撃ち飛ばした……
ルディア「………え……」
驚くルディアとは裏腹に、コブシはごく平静で解けた顔のまま、
人差し指を自分の唇に、当てる。
コブシ「Shhh……………………」
「『ハート・ビート・バード』」
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第2話
⟣ メデューサの涙 ⟢
終わり
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──☆名前の覚えにくいアタハジュル────!
コメント
1件
第2話読みました…!石化病の不気味さと、永久血湖の描写がすごく詩的で惹き込まれました。ルディアの無鉄砲さとコブシの冷静なツッコミのバランスが絶妙で、2人のやり取りが楽しいです。あと、あの「Shhh…」からのハートの一撃、めちゃくちゃかっこよかったです…!石化の謎も気になるし、ヘリコニアの存在も不穏で次が楽しみです🖤