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莉乃ちゃん
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「ん…っ、!」
急に、僕の唇に柔らかな衝撃が走った。
息をつく暇さえ与えられず、さらに味わうように口内を敦の熱い舌で蹂躙され
そこで初めて僕は、敦にキスをされているんだと気付いた。
頭の中が真っ白になり、持っていたスプーンを落としそうになる。
「っ、は…はぁ…しゅん、急……っ」
少ししてようやく唇が離れると
一気に血が上り、溶けそうなほど顔が熱くなっていたのが自分でも分かった。
「…クレープよりも美味しそうだったから、ついね」
目の前で悪戯っぽく満足気に笑う敦に
僕は赤くなった顔を誤魔化しながら、確認するように尋ねる。
「ま、待って、本当にクリームついてたんだよね…?」
「さあ、どうだろうね?」
敦は視線を外すことなく、含みのある言葉を返してくる。
やっぱり最初からからかわれただけだったんじゃ?と思った僕は
恥ずかしさと悔しさで頬を膨らませた。
「もうっ、すぐ僕のことからかうんだから…っ」
しかし、僕なりに腹を立ててみせたそれは
敦にとって威嚇にも何にもならなかったようだ。
「ふふっ…ハムスターみたいにほっぺ膨らませちゃって。拗ねてるの?」
敦は愛おしくてたまらないといった様子で目尻を下げ、さらに僕に顔を寄せてくる。
「しゅ、しゅんは急にしてくるから心臓に悪い…!」
「心臓に悪いって?」
どこまでも余裕そうな笑みを絶やさない敦に、なんだか無性に悔しさを感じてしまう。
彼ばかりが僕を翻弄して、自分はちっとも乱れていないように見えるからだ。
「ドキドキしちゃうの……!!しゅんは慣れてるからそんなにしないのかも…しれないけど…っ」
こんなに心臓がうるさく鳴っているのは僕だけなんだろうか、と少し不安になって訴えると
敦は低く心地よい声で囁いた。
「まさか、俺だってするよ」
「うそ、そんなに余裕そうに笑ってるのに、ドキドキしてるわけない…!」
信じられずに言い返すと、敦の瞳の奥に、少しだけ危険で濃密な光が宿った。
「へぇ…ひろにはそう見えてるならいいけど、いつもひろが可愛い反応しかしないから、こっちの理性も限界なんだけどね」
「へ…っ?」
耳を疑った。
前に読んでいたBL漫画のページでしか見たことがないような
完璧な攻めのような甘く危険なセリフだった。
あまりの刺激に息が止まりそうになる。
「すぐ顔赤くするし、可愛さしかない」
ただでさえ甘いケーキに、さらに濃厚なホイップでも乗せるように
敦から甘い言葉が途切れなく降ってくる。
「…も、もうわかった!これ以上言われたら恥ずかしくてキャパオーバーしそう、だから…っ」
僕は両手で顔をすっぽりと覆い隠して、限界だということを必死に伝えた。