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第20話「静かな決断」
「……逃げた?」
暗い部屋の中。
テーブルを囲む数人の男たち。
リーダー格の男が、苛立った声を出す。
「三人がかりで?」
部下が顔をしかめる。
「相手が……梵天の幹部だったんです」
「名前は」
「……莉r」
その名前を聞いた瞬間、部屋の空気が変わる。
「……ああ」
誰かが呟く。
「聞いたことある」
「最近、梵天で上に上がった女だろ」
リーダーが椅子にもたれる。
「面白いじゃねぇか」
ニヤリと笑う。
「梵天の幹部を一人消せば、かなりの打撃になる」
「ですが……かなり強いと」
「だからだろ」
机を指で叩く。
「正面からはやらない」
目が細くなる。
「弱点を使う」
部下が首を傾げる。
「弱点……?」
リーダーが笑う。
「決まってる」
「あの男だ」
その頃。
男は、自宅のソファに座っていた。
体の痛みはまだ残っている。
だが、気になるのはそこじゃない。
男「……」
スマートフォンを見る。
莉とのメッセージ画面。
最後の会話。
短い言葉ばかり。
それでも、消せなかった。
男「……」
小さく息を吐く。
――距離を置いた方がいい。
頭では分かっている。
彼女は、危険な世界の人間だ。
自分が近づけば、足を引っ張るだけ。
それでも。
男「……」
メッセージを打つ。
【怪我、大丈夫でしたか】
数秒迷う。
そして、送信する。
数分後。
スマートフォンに通知が入る。
男「……!」
画面を見る。
返信。
【問題ありません】
それだけ。
たった一行。
それでも。
男は、少しだけ笑った。
拠点の屋上。
夜風が静かに吹いている。
莉は、スマートフォンを見ていた。
男からのメッセージ。
返信は、もう終わっている。
それ以上、会話を続けるつもりはない。
莉「……」
空を見上げる。
――任務対象。
それ以上でも、それ以下でもない。
そう、割り切っている。
だが。
昨日の出来事が頭に残っていた。
命令を拒否した男。
梵天を敵に回す可能性があるのに。
莉「……理解不能だな、」
小さく呟く。
その時。
背後から声。
蘭「夜風に当たる莉々ちゃん、絵になるねぇ♡」
莉「……」
振り向かなくても分かる。
莉「盗み聞きは本当に趣味ですか」
竜「いや、普通に来ただけ」
蘭「莉々ちゃんさ」
蘭が笑う。
蘭「最近、スマホ見る回数増えたよね♡」
莉「業務連絡ですが多いですね」
竜「へぇ」
蘭「ふーん♡」
明らかに疑っている顔。
莉「……何か用ですか」
竜「いや」
竜は、少し真面目な顔になる。
竜「その男」
莉「……」
竜「巻き込まれるぞ~」
短い言葉。
だが、重い。
莉「……」
数秒の沈黙。
そして。
莉「承知しています」
静かに答える。
莉「だからこそ」
スマートフォンの画面を消す。
莉「これ以上、関わるつもりはありません」
夜風が吹く。
蘭は、少しだけ目を細めた。
蘭「……ほんとに?」
莉は答えない。
ただ、静かに夜空を見ていた。
男の家の近く。
暗い路地。
「……ここだ」
数人の影が立っていた。
「明日、捕まえる」
リーダーが笑う。
「あの女を呼び出す餌にする」
3本目?完了(*`・ω・)ゞ今日もう1本だけ投稿するねストックなくなるけど
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コメント
4件

今回も最高でした!
