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ありんす
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隼人
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幼年学院での怒濤の「フラグ乱立期」から数年――。俺、テウル・エクス(15歳)は、ついに貴族立高等学園の入学式を迎えていた。
「よし……! 完璧だ……完璧すぎる準備だ……!」
学園の正門前で、俺は胸元の指輪――自作の超高倍率・極小マジックオペラグラス(脳内4K録画機能付き)を愛おしく撫でた。
幼少期の壮絶な生存競争を経て、俺は攻めたち全員と「つかず離れずのドライなビジネス知人関係」**を確立した(と思っている)。
カゼル(騎士候補): たまに剣の手入れを手伝うドライな悪友
シオン(魔導の神童): 図書館で互いの研究を批評し合うドライな知人
ヴェイン(保健医): 危険薬品の監視をするドライなバイト雇用主
ベルゼ(魔王): たまに屋根の上で人間観察(高みの見物)を共にするドライな茶飲み友達
「完璧だ。誰一人として俺に怪しい愛憎(執着)は抱いていない! そして俺は、あの主人公レイにいじめを行わない【無害なモブ悪役令息】! 完璧な『観客席』の完成だぁぁぁッ!!」
学園の中庭、一番日当たりが悪く、誰も来ない巨大なクスノキの上の特等席。
俺は軽やかに木の上に登り、指輪の倍率を調整して、いよいよ始まる『ほら滅』本編のメインイベントを待機した。
◇
キノコの影から覗くような姿勢でカメラ(魔法具)を構えていると、ついに現れた。
新入生の群れの中、緊張で肩をすくませている一人の少年。
儚げな栗色の髪、吸い込まれそうな瞳。溢れ出る圧倒的な「守ってあげたい」オーラ。
『ほら滅』の絶対的総受け主人公――レイ・シルフィードだ。
(キ、キタァァァァァァッ!! リアル『レイきゅん』の学園入学スチル!! 画質が高すぎる!! 尊い……尊すぎる……ッ!!)
前世の腐男子の血が沸き立ち、俺は木の上で悶絶した。
すると、示し合わせたかのように最初のイベントが発生する。
ドカッ!
「あ……すみません……!」
わざとらしくレイにぶつかり、教科書を散らばらせるモブ貴族。
「平民のくせに生意気だぞ」と威圧するモブ。怯えるレイ。
(出たァァァ! テンプレの平民いびり! 現場のテウルです、間もなくヒーローが来ます!!)
「――そこまでにしてもらおうか」
人ごみを割って現れたのは、金髪碧眼の超ハイスペック男子。
【ドS×執着攻め】の第一王子、ジュリアス殿下だ。
ジュリアスはモブ貴族を冷ややかな一瞥で撃退すると、倒れ込むレイに手を差し伸べた。
「怪我はないか、平民」
「あ……はい……! ありがとうございます……っ!」
二人の視線が交差するスローモーション。背景に舞う幻の薔薇。
(うわあああ! これが第一王子ルート確定の『最初の接触』CG!! ありがとう公式!! 観客席からの景色最高です!!)
俺は指輪の倍率を最大にし、興奮で鼻血が出そうなのを必死で耐えていた。
――これだ。俺が求めていたのは、この『絶対安全圏からの高みの見物ライフ』なんだ!!
◇
イベントが終わり、ジュリアスが去ると、レイは胸を押さえてホッと息をつき、逃げるように人ごみを外れた。
そして、なぜか……まっすぐ俺が潜んでいるクスノキの根元へと歩いてきた。
(ん……? なんでこっち来るの? レイきゅん、教室はあっちだよ?)
木陰に入ったレイは、誰にも見られていない(と思っている)安心感からか、そのままくたっと木に背中を預けて座り込んだ。
「はぁぁぁ……びっくりしたぁ……。あの王子様、すごく綺麗だったけど……目が全然笑ってなくて怖かったよぉ……」
レイは細い膝を抱え、ガタガタと震え始めた。
(あっ……そうだった! レイは『男たちに奪い合われるのに恐怖している普通の少年』なんだ! ガチで胃を痛めてるやつだこれ!)
不憫だ。腐男子としても常識人としても心が痛む。
だが、声をかけたら一発でフラグが立つ。俺は息を殺し、木の一部になりきった。
するとその時――。
「……あ、テウル様?」
……はい?
レイが、ふっと顔を上げて木の上(俺がいる場所)を見上げてきたのだ。
俺は完璧に気配を消していたはずだ。なぜバレた!?
「あ……やっぱり! テウル様だ……!」
レイの瞳に、パァァァッと太陽のような輝きが宿った。
幼少期、路地裏で助けたあの時の記憶――レイにとって、テウルは「恐怖の男たちの中で、唯一自分を害さず優しくしてくれた光」として刻み込まれていたのだ。
「テウル様もこの学園にいらっしゃったんですね! すごく……すごく嬉しいです……!」
木の下から、全力の天使の笑顔で手を振ってくるレイ。
(待って待って待って! 笑顔が眩しすぎる!! っていうか、なんで一瞬で俺を見つけたの!? 狂愛の男たちから逃れるための野生の勘が俺だけに反応してるの!?)
「……あ、どうも。お久しぶりです、レイ殿」
観念して木から飛び降りると、レイはぽろぽろと涙をこぼしそうにしながら寄ってきた。
「僕、すごく怖くて……でも、テウル様のお顔を見たら、なんだか安心しちゃいました……っ」
(危険だ……! このシチュエーション、完全に『主人公(受)の心の拠り所(真ヒロイン)』になっちゃうやつだ!!)
俺は冷や汗を流しながら、必死に無表情(モブ貴族の顔)を作った。
「レイ殿、落ち着いてください。私はただの通りすがりの子爵家長男です。周囲の目が集まりますから、私のような者と親しくするのは……」
「テウル! こんなところにいたのか!」
最悪のタイミングで、ドスの効いた声が響いた。
大木の後ろから姿を現したのは、赤髪の大柄な美少年――カゼル・ヴァルハイト。
「け、騎士団長の……!?」と怯えるレイ。
カゼルはレイを一瞥もせず、まっすぐ俺の元へ歩み寄ると、ガシッと俺の首を腕で巻き込んだ。
「探したぞテウル! 授業始まる前に剣の手入れの確認頼むって言ったろ! 舎弟のくせに俺を待たせんな!」
「ぐえっ……カゼル様、苦しいです……」
さらに、反対側の物陰から黒髪ロングの美少年――シオン・アルスターが静かに現れる。
「うるさいぞカゼル。テウルは僕と魔法陣の比較検証をする約束がある。雑用は後にしろ」
「あぁ!? なんだとシオン!」
(嘘だろ……なんで攻め(狂愛)のツートップがここに揃ってんだよ!?)
怯えてカゼルの背後に隠れようとするレイ。
そんなレイを見て、カゼルとシオンが同時に眉をひそめた。
「……あ? なんだそのガキ。テウル、知り合いか?」
「ふむ……平民の特待生か。テウル、なぜ君がこのような者と接触している?」
二人の鋭い視線が、一斉にレイ(と俺)に注がれる。
ピキィィィンと空気が凍りつく。これぞ『ほら滅』特有の、愛憎劇が始まる直前の不穏な空気!!
(やばい……やばいやばいやばい! ここで俺がレイを庇ったら『テウルを巡る争い』になっちゃうし、レイを見捨てたらストーリーが崩壊する!!)
「違います! お二人とも誤解です!」
俺は必死に手を振った。
「私はただ! 遠くの木の上から、皆様の最高に尊い学園ライフを高みの見物……じゃなくて、静観していただけです!! 私は空気です! 背景の壁です!!」
しかし、俺の叫びも虚しく。
レイは俺の服の裾をギュッと掴み、
「テウル様……僕を捨てないで……っ」と涙目で訴えかけ、
カゼルは「ハッ、テウルがそんな顔すんの珍しいじゃねえか。面白ぇ」とニヤつき、
シオンは「テウルが気にかける人間……興味深い観察対象だ」と目を光らせた。
さらに、遠くの校舎の屋根の上からは、人間の姿に化けた魔王(ベルゼ)がオペラグラスでこちらを覗き込みながら「ククク……テウルの周りに醜悪な人間どもが集まってきたな、見ものだ」と楽しそうに微笑んでいた。
とある現代日本の腐男子視点_
【朗報】『ほら滅』大型アプデ「~遠巻きの令息と崩壊の天秤~」実装!神アプデすぎてTL大割れの件
投稿者:@fudanshi_homu(ほら滅全ルート完走勢)
みんな!!!! 案件でもなんでもなく緊急でキーボード叩いてるんだけど!!
あの伝説のクソ重・愛憎・全員生きて帰れない神ゲー『掘られすぎて滅(ほら滅)』の新大型アップデート、もうプレイした!!??
今回の大型アプデ、マジで運営が狂った(褒め言葉)から全腐男子・腐女子は今すぐ起動してくれ。
今回の目玉、なんと「噛ませ犬悪役令息・テウルルート(※正しくはテウル介入新世界線)」の追加**です。
■ 何が変わったのか?(※ネタバレ解禁)
元々の『ほら滅』ってさ、どのルート選んでも攻め(ジュリアス殿下、カゼル、シオン、ヴェイン)の愛が重すぎて最終的に国が滅ぶ、救いゼロの「愛憎過剰摂取ゲー」だったじゃん?
特にテウル・エクスなんて、開始10分で主人公(レイちゃん)にいじわるして王子に処刑されるか、カゼルに踏み潰されるかの「死因108パターン男」だったわけ。
……なのに、今回の大型アプデ後のテウル、挙動が完全に「俺たち(腐男子)」なのよ。
幼少期から「気配遮断」を極めて空気になろうとする
なぜか自作の4Kズーム魔法具(オペラグラス)で攻め×受けを特等席から鑑賞しようとする
レイちゃんに嫌がらせを一切せず、影で無表情にクッキーを渡して去っていく
なんだこの「遠巻きから生温かい目で見守ろうとしてくる悪役令息」は!!??
■ 運営の天才的な「噛み合わないコメディ」演出
で、一番ヤバいのが、テウル本人は**「俺はモブ! 遠くの木の上から彼らの総受けライフを高みの見物するだけ!」**って必死に背景になりたがってるのに、ゲームのシステム側がそれを絶対に許さないこと。
カゼル(騎士): なぜか幼少期からテウルを「舎弟一号」にして絶対手放さない
シオン(魔導士): テウルの異常な魔法知識に脳を灼かれて「唯一の共同研究者」として拘束
ヴェイン(保健医): 毒薬のレシピを見抜かれて危険視兼「お気に入り助手」に指定
ベルゼ(隠し魔王): 「人間観察(高みの見物)の同伴者」としてテウルの家の木の上に住み着く
攻め全員が「テウル=他の有象無象とは違う底知れない男」として執着のクソデカ感情を向け始めてるの腹痛いwwwww
テウルが木の上に逃げれば逃げるほど、その木の下に攻略対象と魔王が集結して「愛憎の超台風の目」になってるの、ギャグとしてキレが良すぎるだろ。
■ 主人公(レイちゃん)の狂い方が最高にエモい
さらにヤバいのが総受け主人公のレイちゃん。
今までの『ほら滅』だと、攻めたちの重すぎる愛に翻弄されて病んでいくヒロイン(受)だったのに、今回のアプデでテウルに助けられてから、
「みんな僕を奪い合って怖い……でも、テウル様だけは僕を獲物みたいに見ないで、遠くから静かに見守ってくれる……! 僕の唯一の光……っ!」
って、完全にテウルを「絶対的聖域(真の心の拠り所)」としてロックオンしちゃったのよ!!!
学園入学式のイベントで、カゼルとシオンがバチバチに威嚇し合ってる横で、レイちゃんが涙目でテウルの服の裾をギュッと掴んで「僕を捨てないで……っ」て言った瞬間、画面の前で「勝った!!!!」って叫んじゃったよね。
攻めたちの視線が「レイを巡る争い」から「なんであのテウルって令息がレイ(と俺たち)の心を狂わせてるんだ?」という方向にズレ始めてるの、最高すぎる。
■ まとめ:全腐男子は今すぐプレイしろ
これ、テウル本人は「観客席で実況・鑑賞したいだけ」なのに、周囲全員から【愛憎劇の中心(ハブ)】として巻き込まれていくの、新感覚の総受け・ラブコメとして神がかりすぎてる。
全108ルートで世界が滅びるクソゲーだった『ほら滅』が、まさか「遠巻き観賞希望の悪役令息が、無自覚に世界と男たちの感情をバグらせていく神ゲー」に進化するとは思わなかった。
今回の追加スチル「大木の上でオペラグラス構えてたら攻め全員とレイちゃんに見つかって顔を引きつらせるテウル」、最高に尊いので全員今すぐアプデして買ってくれ。現場からは以上です。
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寺島あおいです🌷 第6話、楽しく読ませていただきました! テウルくんの「絶対安全圏からの高みの見物ライフ」が早速崩壊しそうになっていて、もう笑いとときめきが止まらなかったです…! 特にレイくんに見つかって「テウル様…!」って天使スマイルされた瞬間のテウルくんのパニック、すごく愛おしかったです。カゼルとシオンが同時に現れて、空気がピキピキ凍るのも「ほら滅」らしい重さとコメディのバランスが絶妙でした。 それにしても、テウルくんが遠巻きでいようとすればするほど、周りが執着のクソデカ感情を向けてくる構造、マジで神アプデですね…! 次回、どうなっちゃうんだろう。続きがすごく気になります!