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現代
青目線
伽藍堂に反響した銃声。
長く結われた緑が赤に飲み込まれてゆく。
俺はどこで間違えた?
どこからやり直せばいい?
きっとこれは悪い夢だ。
だってこんなはずじゃ……
……ゴガッッッ!!!
頭を殴られるような衝撃で目を覚ます。
「ぃ”っ……」
床に打った頭を摩りながら、今見たものを思い出す。
白く透き通り、細くしなやかな手。
俺と全く同じ形なのに全く違う手。
血で覆われてしまった手の甲。
こんなもの見なければよかった。
「……な、んで…」
空は暗く、まだ明けそうにない。
もう一眠りしようかとも思ったが、次はどんな夢をみるのだろうか。
待ち望んだものを壊す夢?
背後から頭を殴られる夢?
包丁で自身を切り裂く夢?
這い上がる水に溺れる夢?
鳥籠に閉じ込められる夢?
シャンデリアが堕ちる夢?
また失ってしまう。
「…寝たくないなぁ……」
モニターの明かりが部屋を照らした。
どうしよう。
会いたくない。
ただの夢。ただの記憶。
いまは関係ないだろ。
考え込んでいてもたどり着く身に染みた道。
意を決して手をかけた。
見えたのは軽く結われた茶髪。
あぁ、君でよかった。
はやいね、だなんて言いながらいつも通り微笑んだ。
「……なにがあったの…?」
「あ、バレたw流石だね。」
「当たり前だろ。何年の付き合いだと思ってんの。」
「ちょっと、ね…やな夢見ちゃった。」
「夢…ね……」
「いや、でも今回はそう言っちゃいけないな。俺が過去に犯した過ちだから。」
「……どんな内容か訊いていい…?」
「うん……いいよ。じゃあさ…俺からの頼みも聞いてくれる?」
「俺にできることなら。」
「…なかむがなによりも得意なことだよ。」