私とれんさんは屋上にある椅子に座った。そしてれんさんに質問した。
「それ、本物の羽ですか?」
「あぁ、そーだよ。天使の羽、本物。」
(天使の羽、本物…本物!?)
本物の羽と言われたら興味が増した。ほんとに綺麗な羽だった。大きさは数学の教科書三個分くらい。何故数学の教科書で例えたかと言うと、数学が苦手だからこそだ。
「うわぁ!触っていい!?」
その言葉と同時に私は羽に手を伸ばそうとする。するとれんさんは素早く立った。
「は!?バカッお前…背中に着いてるから痛いんだよ。触んじゃねーよ。絶対。」
「あ、はい…すみません。」
やはりお口は悪いようです。
そして私は気になったことを聞いた。
「れんさんは、何故飛び降りたんですか?」
そしてれんさんは合っていた目線を逸らし、間をあけて言った。
「死のうと思ったから。ただそれだけ。」
「だけどれんさん、死んでますよね…?」
そう言うとれんさんは は? と言った。天使の羽があるならそーゆー事だろう思った。あと顔イケメンだし。
「一応生きてるわ。人間だし。」
「んじゃあ、この羽は一体…」
れんさんの話によると、この羽は病気で出来たらしい。その病名は天使病。天使病は翼がだんだん大きくなると奇病の持ち主は衰弱 し、やがて死に至ると。治る方法はただ一つだけ。最高の幸せを知ることらしい。死ぬ時は体を突き破って死ぬとか言われている。その人によるらしい。
(なんて残酷な…)
一見、綺麗な羽だと思ったが 意味を知ってとても怖くなった。
「最高の幸せが見つけられなかった俺は、死ぬことにしたんだ。」
れんさんはため息をついて少し笑っていた。無理をして。この世界に期待していないから死ぬのか、まだ人生何が起こるか分からないのに。 れんさんに生きてほしい。私は強くそう願って出た言葉。
「それじゃあ 私が貴方を幸せにします!」
「は?何言ってんの?」
「言葉の通りです!貴方に生きてもらう為、最善を尽くす!最高の幸せを私が探してあげます…!」
ニコッと笑うと、れんさんはため息をついた。そのため息を聞き思った、私は何を言ってるんだろうと。
「…れんさんの人生ですもんね。れんさんが決めることですもんね、すみません。」
そうするとれんさんは私に目線を合わせた。
「呼び捨てで呼んでよ、れんって。あと敬語も辞めて、これからタメ口で」
「ってことは…」
れんさんはクスッと笑い、私に言った。
「お前に期待してるよ。生きてみるから」
と。夕日に照らされているれんさんはやっぱり、”本物の天使”そのものだった。
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