『桜組の日常 - アジトの午後』
アジトの一室、午後の日差しが差し込む。
紫兎はソファでぬいぐるみの「ウサピョン」をぎゅっと抱きしめていた。
紫兎「ウサピョンは今日もかわいいですぅ〜!……でも、くせっ毛がまたノートに落ちてくるんですぅ!むー!」
天野(壁にもたれながら)「……気にしすぎや。ウチなんか前髪で視界ゼロのときあったで?」
紫兎「えぇぇ!?どうやって歩いてたんですぅ!?エスパー!?」
その横で、霧吹凪斗が床にゴロゴロしながらラムネをぶちまけていた。
凪斗「なぁ兄貴〜、紫兎がまたアメ買いすぎてるって〜!ウチらの棚、全部ブドウ味になってる!」
結羽(ため息をついて)「凪斗、それよりまず床のラムネを片付けてください。それ、麗奈が踏んだらまた機嫌が……」
そのとき、黒いフーディー姿の麗奈が扉を開けて現れた。
麗奈「……おい。何だこの甘ったるい匂い。凪斗、ラムネ片付けろ。紫兎、アメ買いすぎだ」
紫兎「ひゃっ!?れ、麗奈しゃんっ……仲良くするって約束ですぅ……!」
麗奈(少しだけ笑って)「……してるだろ?でもルールは守れ。な?」
天野は小さく笑って、口にミルクキャンディを放り込む。
天野「……ほんま、騒がしいやっちゃらやな」
そんな何気ない午後が、桜組の一番静かな時間かもしれない。
散らかったラムネの粒を、凪斗が不満げに拾い集めながらブツブツ言う。
凪斗「ったく〜、麗奈ってばマジ厳しすぎだろ〜。こちとら休憩中なんだけどー?」
結羽(ほうきを渡しながら)「俺の言葉は聞き流すのに、麗奈の一言は効くんですね」
凪斗「兄貴は小言多すぎなんだよ〜。あ、紫兎、飴ちょーだい」
紫兎「いいけど、グレープ味しかないですぅ〜」
凪斗「それしか無いのが問題なんだってば!」
ソファに座った麗奈は、ふっと肩の力を抜いていた。珍しく、静かな空気に包まれていた。
隣に腰を下ろした結羽が、小声で話しかける。
結羽「……麗奈、最近少し、顔が柔らかくなった気がします」
麗奈「は……?いきなり何だよ」
結羽「あまり深い意味はありません。ただ、俺としては……安心します」
麗奈(少し目をそらしながら)「……お前、いつもそういうことサラッと言うよな」
結羽「性分ですから」
凪斗と紫兎がソファの前でぬいぐるみを使って小芝居を始めた。
紫兎(ウサピョンの声)「やめるですぅ〜!あめを独り占めするなんて、だめですぅ〜!」
凪斗(真似して)「ハッハー!俺はアメ魔王!アメは俺のもんだ〜!」
天野(奥から小さく)「……アホや」
その光景を、麗奈は黙って見ていた。
そして、ほんの少しだけ、口元が緩んだ。
麗奈「……ま、こういう時間も悪くねぇな」
コメント
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うっま!(( 'ч' )ムシャムシャウマウマ) 紫兎と天野の性格をちゃんと掴んでやってるのがスゴすぎる! 2人の会話おもろ!(紫兎と凪斗の芝居?見たいなさ笑笑) 次も楽しみにしてる!分からなかったらなんでも聞いて!