テラーノベル
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魔術が展開し、執事たちと主を眩い光が包んだ。
光が収まった瞬間、執事たちは急に出現した棚や壁などにガッツンガッツンとぶつかってしまった。
「痛っ!?」
「ちょっと、押さないで!?」
「ぐえっ」
それもそのはず。
20人が1LDKの狭い小屋の中に転送されてしまったのだから満員電車以上にぎゅうぎゅうだ。
扉の近くに居た執事たち数名が寝室に退避したことで何とか全員が苦しくない状態にまでできた。
「それでここは何処なのですか?」
『私の家だよ・・・でも家の中に転送したのは間違いだったな・・・』
主は棚から落ちた瓶や本などを集めながら遠い目をした。
とりあえず全員を外に追い出し、テントを張ってその中に荷物を入れるように言った。
幸い使っていない畑があったのでそこが暫くキャンプ地となりそうである。
「主様、申し訳ありません・・・落としてしまった瓶などは無事でしょうか・・・?
もし破損などありましたら弁償いたします・・・」
荷物の整理を終わらせたベリアンが家を訪ねてきて、執事たちがぶつかって落としてしまった物を片付けている主にそう申し出た。
『気にしないでくれ!私がもっと考えて陣を組んでいれば良かったんだが、時間が無かったもんでね・・・』
「ですが・・・」
『それに、こっちの世界では通貨も違うから。
あぁ、瓶の中身は薬草とかだから全く心配要らないよ』
ベリアンに優しく笑いかけた主は片付けを中断し、テントの中で荷解きを始めている執事達に声を掛けた。
『皆!これから出かけよう!
少し遠いが街に出るぞ!新しい家を探しに行こう!』
そういう主の手にはズタ袋が握られている。
「主様、それは一体・・・?」
『ああ、全財産』
「もっと丁寧に扱ってください!!」
ナックが飛んできて袋を奪い取られた。
「ああ、それと主様。こちらの貨幣価値を教えていただけませんか?」
ナックは袋の中身を見ながら首を傾げている。
金貨、銀貨、銅貨が入り混じったのを選別しながら主が説明する。
『銅貨が一番価値が低くて、銀貨が真ん中、金貨が高い。
10枚ごとに価値が繰り上がっていって、銅貨10枚は銀貨1枚分の価値がある。
銅貨は大体そっちの100ゼニーくらいの価値かな?』
そう言うと、ナックは不思議そうに主に問いかけた。
「では、それより安いものを売買する場合はどうするのですか?」
『あぁ、小銭の銅貨もあるからそれで対応しているんだ。
大きい銅貨の10分の1の価値があるんだ』
「なるほど、ということは・・・」
ナックは整理し終わって種類別に分けたうちの金貨の枚数を見て主の顔を二度見した。
「あ、主様・・・小貴族ほどの資金をお持ちなのではないでしょうか!?」
『あ、うん。そのくらい持ってるよ?』
ナックは目眩で倒れそうになった。
そんな金額をズタ袋に入れて持ち歩こうとしていた主に説教が始まりそうなのを必死で他の執事達が宥めて、ようやく街に出発できた。
勿論お金はナックが厳重に管理している。
[おお!魔法使い様ではありませんか!
今日はどのようなご用事で!?]
街の一番大きな建物に入ると、全員別室に案内されてお茶を飲みながら商談をすることになった。
歓待してくれたのは、この街で一番裕福な商人で不動産経営を行って大成功した人物だそう。
『家が欲しいんだ。20人暮らせるくらいの大きい屋敷が欲しい』
[それでしたら、この間売りに出されたばかりの貴族向けの別荘などはいかがでしょうか?
別荘とは言え十分に生活できる設備は整っていますし、使用人用の個室も完備しておりますので大事な従者だけを連れてのバカンスに大変人気となっておりますよ]
『ほう・・・』
主は見取り図を見てなるほど、と頷いている。
使用人用の個室がちょうど20ある一番大きな屋敷の見取り図をナックに渡し、どうだ?と目線だけで尋ねる。
「これは・・・全員に個室を?
それに広いキッチンに、大きな庭も・・・しかも近くにはプライベートビーチまで?
主様、これは・・・理想的ですがお値段が・・・」
『大丈夫だ、この屋敷で生活に支障はないな?』
「は、はぁ・・・」
MAKO
主は商人に向き直ってにこやかにこう言った。
『即金の現金で買いたい。安くしてくれ』
[そそそそ即金ですか!?しかも現金!?
か、かしこまりました・・・では幾らか値引きをさせていただきます]
というわけで屋敷が手に入ったので浮いた金で馬車を借りて引っ越すことにした。
「驚きました・・・まさか、こんなにすぐに家が手に入るだなんて・・・」
「なぁなぁ、幾らぐらいになったの?家?」
「俺も気になります!」
別邸1階組に囲まれたナックはユーハンをちらりと見やってから言葉を濁して答えた。
「私達への依頼料・・・10年分くらいでしょうか」
「えーっとつまり・・・1年分でも20人が食っていけるくらいの額だし相当・・・」
ハナマルが算盤を弾きながら計算しているのを覗き見たユーハンの顔がみるみる青くなっていく。
「は、ハナマルさん!私達どうやってこんな額をお返しすれば!?」
「え!?幾らくらいするんですか!?憲兵の給料がこのくらいだったから・・・500年くらい働かないと返せないじゃないですか!!」
二台のうち片方が屋敷の金額を知って大騒ぎになっっているのを見た主は横に居たベリアンに笑いながらこう言った。
『これは君たちが頑張った分のご褒美だから、気兼ね無く暮らして欲しい』
コメント
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うわああああ第2話も最高だった!!😭💕 1LDKに20人転送された衝撃の冒頭から笑ったし、主様の「全財産ズタ袋」にナックが飛びつくシーン、めっちゃ好きだよ〜!! しかも即金で別荘買っちゃうとか強すぎるし、「君たちのご褒美」って言える主様、尊すぎるでしょ…✨ 執事たちが金額聞いて青ざめるのも含めて、ほっこりした気持ちになれた! 次話も絶対読む〜!!🌸