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人混みと表せるほどの数な掃除屋共へ飛び込む
両手で振りかぶった『笑顔』を全力で振り下ろし、掃除屋の一人を叩き潰す
周りの掃除屋共が鎌を振り抜こうとした瞬間、『ダ・カーポ』で瞬時に手首を切り落とし、『笑顔』で薙ぎ払う
多少距離が取れた為『失楽園』を地へ突き刺し、掃除屋数十体に風穴を開け、動きが鈍った掃除屋の首を『ミミック』で即座に切り落とす
…しかし、それでも攻撃を掻い潜り、此方へ向かって鎌を振り抜こうとする掃除屋は居る
そういった掃除屋は『黄昏』で真っ二つにする
「………」
まともに突っ込んでも意味が無いと察したのだろう
掃除屋共の後方から鎌が投擲され、私の心臓へ突き刺さる
…が、すぐさま引き抜き、目の前の死体を貪って即座に治す
もう一度「失楽園」を地へ突き刺し、地から生える鎌によって固定された掃除屋の死体を足場として掃除屋共の頭上へ出る
掃除屋共の頭を足場とし、『ラブ』『星の音』を用いて溶かし、潰しながら少しずつ数を減らず
…足場が減ってきた為掃除屋の一人を『失楽園』で串刺しにしながら着地
掃除屋の勢いが弱くなってきた為私から近づく
『規制済み』で掃除屋の頭を潰しつつ手元へ引き寄せ、その死体を盾に掃除屋の群れへ突っ込む
『ダ・カーポ』で近づく掃除屋全てを切り裂きながら駆ける
それでも掻い潜り攻撃をしてくる掃除屋によって、少しずつ傷が増えていく
「O-02-62《審判鳥》」
抽出
盾の死体を使い傷を治し、空いた左手に『ジャスティティア』右手に『黄昏』で目に入る全ての掃除屋を切り裂いていく……
そうして、裏路地の夜は終わり、長い夜は明ける
…その日の裏路地の夜に起こったことを知るものは殆ど居なかった。
……ただ、陽が登った裏路地は『掃除不足』だったらしい
「………はぁ……」
掃除屋の死体の山へ腰掛け、一息つく
…と同時に私の切り傷、傷穴、出血が綺麗に塞がる
私の体も、私の下の死体も、ましてやここら一帯が血で塗れていた
十分回復した脳で思考を働かす
(この力をまた使うことが出来る様になった…
……ハンスを捜すために使えるアブノーマリティは……
O-02-40《大鳥》の魅力?……いや、部署すら跨げない程度じゃ都市全体は…
T-04-43《アルリウネ》の瞬間移動?…いや、まずハンスが何所に居るのかも……
……もういっそこの力で翼に殴り込みにでも………)
そう思考していると、またもや足音が近づいてくる
…掃除屋の生き残りだろうか
そう考え、腰を上げ『笑顔』を肩へ担ぐ
そうして足音の正体へ視線を向ければ……
「………?」
その人物は…その男は青を基調としたコートに灰色の長髪をしていて、片手には巨大な鎌を携えていた
「やぁ……初めましてかな?
……この汚い塊は君が作ったようだね?」
「………誰?」
「……う~ん……これでも有名人になったと思ったんだけどね……」
奥からぞろぞろと人影が出てくる
「ヒヒ~ン、ゴッ、コッコッ!!!キャ~ン!!キャンキャンキャン!!!」
「カカッ!不味そうな肉!これじゃジャムも作れないよ!!」
「なんだ、お前がこの掃除屋共をブチ殺したのか?」
「面白い仮面ですね~!まるで赤子が描いた落書きの様な物で!
どこで売られているのかがすぅ~っごく気になりますねぇ!」
「オズワルド、あまりサーカスのような行動は……。」
「いえいえ!私はただ彼?彼女?にもこの楽しさを分けてあげたいだけですよ!
最も、この肥溜めの様な匂いの中では心の底から笑えなさそうですがねぇ~!」
「……その継ぎ接ぎされたような肌に赤い血。少し興味がある。その血管は一体どんな味だろう……。」
「エレナ!生で食べるのより料理して食べる方がもっと美味しいんだよ!」
「……唾が湧いてくるな。」
……なんだコイツら
頭が狼やピエロや鮫や頭蓋骨や歯車や…とにかく変な頭をした、同じスーツを着た奴らが裏路地の奥から出てくる
「みんな?この子がびっくりして縮こまっちゃいそうだよ……。」
「………で?何の用?…貴方達に構ってる暇無いんだけど」
「まあまあ……。この張り紙について何だけどね?」
そう言い目の前の男は私がばら撒いた張り紙を取り出した
見せびらかす様に張り紙を目元まで持って行き、朗読を始める
「え~と…?
『捜しています』……『濃い緑の髪』…『見つけたら●●事務所まで』……ねぇ……。」
その男は読み終えると、先程の茶化す様な眼から優しさを孕んだ、慈愛の瞳へと経る
「……君はこのL社の…ハンスという人を捜しているんだね……。
……実は俺達……とは言っても一部だけどね?君と同じ…この都市に大切な人を奪われた奴らなんだ。
だから俺達は──」
その言葉を遮る様に私は『笑顔』を地へ叩きつける
丁度足元に居た掃除屋の死体が潰され、大量の赤が舞う
「………奪われた?……ただ思考停止して八つ当たりしてるお前らのおままごとと同じにしないで。」
……思い出した
コイツらは最近都市の星に認定された…残響楽団だっただろうか
興味が無い上底辺事務所には関係無い話だったので忘れていた
「おっと……少し怒らせてしまったみたいだね……。
ただ……そうだね、君の大切な人を侮辱してしまった事は謝るよ……ごめんね……?」
「……………」
「それでも、ただ何も考えず捜し続けるよりも……俺達と一緒にその彼を捜さないかい……?」
「無理。…申し訳ないけど、ハンスを捜すのに貴方達は邪魔なの。」
沈黙が流れる
互いに視線は外さずに、尚且つ瞬時に動けるよう『崇高な誓い』へ片手を突っ込む
…数秒が経ち、沈黙を破ったのは一つのため息だった
「…………はぁ……君は利口な人だと思っていたけれど……ここまでだとは思わなかったよ……。」
「………」
「でも……手助けはしてあげるよ。……このままじゃ、君があまりにも可哀想だからね……。」
「……手助け?」
その男は一枚の紙切れを取り出し、ひらひらと見せびらかす
「……図書館は知っているよね?」
記憶を辿る
…が、全く思い出せない
そう思考を働かしていると、呆れたように男が説明を始める
「……はぁ……。図書館は都市の星に認定された場所で……
そしてその図書館で『接待』を受けて勝利すれば欲しい本を貰える。」
「……その本ってのは?」
「そうだね……その人が知りたい情報が載っている本や、その図書館で本になった人の情報が載っている本……とかかな。」
「……!!」
知りたい情報が載っている本
それはL社のこと…あるいはそれに近しい情報でも載っているのだろうか
「それで、この招待状があれば簡単に図書館へ行ける」
「!………何を差し出せばいい…?」
「言っただろ?これはあくまで手伝い、俺の善意だよ。」
その男は招待状を放り投げ、私はそれを掴み取る
「………」
その招待状には名前を書く欄があるのみで、それ以外は何の変哲も無い紙切れだった
(本当にこんな物で…?)
「本当にこんな物で……かな?
君はこんな物でも縋らなきゃいけない……違うかな?。」
「…………はぁ。」
指先を齧り、血で名前を書く
『 スミレ 』
と書ききれば、言葉で形容し難い感覚に襲われる
「……な?言った通りだろう?」
その言葉を皮切りに、私は図書館へ”招待”されたのだった
──────────────
「……何故招待状をあの者へ渡したのですか?…何の利益も無いでしょうに。」
「そうですよ~!あの招待状が無ければ私達、これから枕を濡らすしか無くなっちゃいますよ!」
「……何を考えている?」
「まあまあみんな落ち着いて……俺は彼女の感動的な再会を応援したかったと言うのもあるけれど……
俺らが図書館へ行く前に少しでも傷跡を残して欲しくてね……」
「ただ、それじゃ図書館にどうやって行くの?早く新しい食材が欲しいなぁ!もう貧弱なゴミで腹を満たしたくないよ!!!」
「……今の図書館は殆どが実体化しているんだ。
……なら、招待状なんか無くたって良くないかな?」
「……成る程」