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霧が晴れた先にあったのは、静かな海だった。

空は鈍い灰色で、海面は油を垂らしたように濁っている。

空と海の境はなく、視界のすべてが混ざり合って、色を失っていた。


「……ここ、僕、知ってる」


特牛の声が震える。


「灯が、あそこにある。あの形は……」


観音埼が指を差す。


遠く、波間に見えるのは――
































烏帽子島灯台。























だがその姿は、見慣れた彼の姿とはまるで違っていた。


マントは風に千切れかけ、杖は黒く染まり、

目元には影がさし、まるで“別人”のような佇まいだった。


「烏帽子島……!」


特牛が駆け出そうとした瞬間、部埼がそれを制した。


「待て。」


静かな声。けれど確かな重みがある。


「これは、俺が行く。」


そう言って、部埼は一人、濁った海へと足を踏み出した。

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