玲王は、広い広い葬儀場の真ん中にいた。
きらびやかで真っ白な棺の中で眠っていた。
それを取り囲むように、沢山の人がいた。
俺がその光景を遠くから漠然として眺めていると、千切たちが走ってやってきた。
「凪、!?大丈夫か?」
「うん、いつも通りだよ、」
千切の質問にそれとなく答え、フラフラと棺の近くへ行った。
「玲王、いつまで寝てるの?いい加減、目を覚ましてよ。俺ね、今日早起きしたんだ。偉いでしょ。ねぇ、褒めてよ。玲王、、」
俺は一生懸命玲王に語りかけた。
そっと、玲王の頬に触れてみた。一昨日まで微笑みながら紅潮していた頬は、もう目覚めないのだ、とでも言いたげに人の温度をしていなかった。その頬の冷たさに、皆の啜り泣く声に、自分が着ている喪服に、これは夢では無いという事が嫌でも解ってしまった。
、、何十分経っただろうか。千切が俺の肩を叩いて、
「おーい凪さーん。もう始まるから席つけよ。俺の隣な!」
とおちゃらけて言った。でも、涙目になってた。泣くのを、我慢してた。
千切の見よう見まねで焼香などをこなし、あっという間に昼の時間になった。
さすが玲王んち。すっごい豪華なお弁当が出てきた。そんな食べられないって。
玲王ならきっと、俺専用に別の弁当を用意してくれるんだろう。気が利かないな、もう。
そんな事を思いながらブルーロックメンバーと会話しつつ、お弁当を食べた。美味しいはずのお弁当は、味がしなかった。
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