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家族でしょ?
episode15
いつの間にか、俺の頬に雫が蔦っていた。
泣いてんの、俺?いやいや、子供かよ。…子供なんだけど…。
寂しいと人って泣くんだなー…。
俺は縁側に座る。
じーちゃんはいつもここで何を見ていたんだろ?別に、いい景色が見れるわけでも、ご近所さんと話せるわけでもないのに。
今思えば、じーちゃんってちょっと変わってるな。
誰かと仲良くしてるイメージないし、だけどなんでもこなしてしまう。
おまけに、こんな縁側に座ってるし。
…一回、小さい頃じーちゃんに教えてもらった気がするな。この場所で、何か大切なことを。
『…笑がもし、今後大切な人が出来たとき、わしはもうこの世におらんかもしらん。…だから、今のうちに言っておく。…その大切な人のことを決して手放すんじゃないぞ?…お前の理解者であり、愛した人である。…でも、お前は他人だからといって、すぐに疑うだろうな…だが、よくよく考えてみろ?…理解し、愛したなら、もうその人は
立派な家族じゃないか。』
ねえ、じーちゃんはあのとき俺に、何を伝えたかったの…?
何で、俺のこの先のことが分かるの?
何で…類さんが出てくるの…?
何で、類さんを家族だと思っちゃうの?
類さんのことが、大好きだって言ったら、じーちゃんは……家族だって、言ってくれるの?
愛した人だ…って…言ったら…
いつの間にか、俺の目から沢山の涙が出ていた気がした。
止めようと思っても、中々引っ込んでくれない。
「…類さんは…もう…家族なんだ…。」
すると、背中がずっしりと重くなった。
「!?」
でも、凄く暖かい。
なるほど…。
「…タイミング良すぎだよ。 類さん。」
「ショウにゃん…ごめん…。俺…。」
右肩がじんわりと冷たくなっていく。
そうだよね、じーちゃん。
もう、類さんは…家族だもんね。
俺は後ろに振り返り、類さんを抱きしめる。
類さんの体は、びっくりするぐらい汚れていた。
「ちょ?!類さん!?なんでそんなに汚れてるの!?……もしかして…!」
「ショウにゃん…やっぱりここにいた。良かった…。」
類さんは俺の右肩に顔を埋まらせたまま小さく呟いた。
そっと俺を抱きしめている体は、よく感じると凄く冷たかった。
もしかして、ずっと探してたんじゃ…?
だからこんなに汚れて、冷たいんだ。
「バカだよ…類さん…。バカすぎる…。」
「…ショウにゃん…会いたかった。」
「俺も…。」
「…ショウにゃんが持ってた花を見たんだ…。そしたら、僕、花言葉が気になって……もしかしたら…って…。」
俺から渡したかったなー…なんてな。
「…笑くんは、僕を信じてくれてたんだね…。」
「…やっぱり、アスターにして良かったな…」
そして、類さんは顔を上げ、微笑んだ。
「ありがとう、ショウにゃん。」
類さんの顔は、明るい月に照らされていた。