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花を直接渡すことはできなかったけれど、気持ちは伝わったから、まあ、いいかな。
episode16
じーちゃん家の縁側に、俺たち二人は座って話をした。
「じーちゃんのこと思い出して、類さんはもう家族なんじゃないかって思えた。」
「素敵な人だったんだね…。」
「てか、類さんにじーちゃん家教えておいて良かったよ。まさか、わかるとは思わなかったけど。」
すると、類さんは俺の手をそっと握る。
「ショウにゃんがどこへ行ったって、僕は迎えに行くよ。」
そう言って俺に微笑んだ
「!…///そっか…///」
クソ…顔がいい…。
このあともずっと、類さんが俺の手を離すことはなかった。
「…でも、未だに分からないんだ。何でじーちゃんは何も見えないこの縁側に座っているのか。本人に聞いても、お気に入りだからとしか言わないし…。」
「…ショウにゃんにわからないんだったら、僕にもわからない。…でもきっと、おじいさんにとって、ここは特別だったんじゃない?」
特別…。
「わかんないや…。あの人の考えてることなんて。…もう帰ろう、類さん?」
「そうだね。」
類さん家はやっぱり、じーちゃん家と違う安心感があった。もちろんじーちゃんの方が安心するけど…。
「あ、類さん、あのさー…」
類さんの方に振り返ると、類さんは俺を思いっきり抱きしめた。
「え!?///」
「大丈夫。何もしないから。…だから、しばらくこうさせて…。」
何もすることができず、ただ頷いた。
いや、急すぎてびっくりするわ。
「…類さん、あのさ、」
「ん?」
「今日、ショウにゃんの配信だったんでしょ?…大丈夫なの?」
「…アーカイブ残るから平気だよ。」
なるほど。
オタクってすげーな…。
あれから、いつものように類さんとご飯を食べて、お風呂に入り、ベッドにもぐる。
なんか、いつもより全部暖かく感じたな…。
特別なことはしていない。なのに、なんだか嬉しい気持ちでいっぱいだった。
ベッドの中で、幸せな気持ちに浸っていると、ドアから類さんが入ってくる。
「あれ、ショウにゃん寝てなかったの?もしかして寝れない?」
「ううん。大丈夫。よし!寝るぞ!」
大きく伸びをすると、類さんもベッドに上がる。
「ショウにゃん、」
「ん?」
「…今日は本当にごめん。なんか、不安に駆られたんだ…。もしかしたら、ショウにゃんが僕の隣からいなくなるんじゃないかって…。ホントにごめんね。」
…謝りたいのはこっちのほうで。
勝手に類さんを悪人にして、自分で全て収める気だった。
先走ったのは、俺だ。
「…別に、もう気にしてないよ。…てか、俺明日学校だから、もう寝ないと…!お休み類さん!」
謝りたいけど…なんか言えない…。
俺は無理やり話を切って、類さんに背を向ける。
「え!?やっぱ、怒ってんじゃん!!ごめん!反省してるよ〜!」
「怒ってないって!おやすみ!」
「何でショウにゃ〜ん!」
「うるさい!!!」
類さんに枕を押さえつける。
「ブフォ!」
「あははw何だよその声!!…ブフェ!」
腹を抱えて笑っていると、返り討ちか枕が顔面に押さえつけられた。
「…やったな…?…コルァ!!」
「わあ!?やめて!ショウにゃん!あははwくすぐったいw」
俺たちは二人して、無意識に笑っていた。