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(雅輝のヤツ、なにを考えているのやら。どうにも嫌な予感しかしねぇ……)
コンビニに寄ってから、ホテルにチェックインしたふたり。一緒に風呂に入ろうと誘いをかけた橋本の言葉を「見たいテレビがあるので、お先にどうぞ」と言って堂々と断った宮本に、不審感がつのってしまった。
「自宅とは違って風呂が広いのによ、せっかくの機会だっていうのに」
宮本が見たいテレビといえば、アレしかない。
「アニメが一番、俺二番ってか。笑うに笑えねぇ……」
足が伸ばせる広いバスタブ。橋本は腕を組みながら、なぜか正座の状態で浸かっていた。
自宅以外で久しぶりにおこなう行為に、自ずといろんな妄想をした。普段しないような体位で感じさせられ、卑猥な喘ぎ声をあげる自分――。
「いっそのこと、俺が雅輝を掘ってやろうか」
時間が経つごとにムラムラする気持ちが、イライラに変化した。ひとりきりの大きな風呂は、無駄にだだっ広く感じられてしまい、マイナス感情に拍車をかける。
(くそっ! これだったら、家に帰って寝たほうがいいだろうよ!)
苛立ちまかせに立ち上がり、怒り心頭のままバスルームから出る。すると入れ替わるように、宮本が中に入っていった。
「ちっ、なんだよ。声くらい、ひとことかけろってんだ」
宮本がさっさとバスルームの中に消えたため、橋本の呟きは聞こえていないというのに、うだうだと文句を言ってしまう。ホテルに着いてからというもの、宮本と微妙な距離を感じてしまい、言い知れぬ寂しさがそうさせたのだった。