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「…葉月ちゃん、大丈夫?」
「…ごめん。」
葉月ちゃんは懐からナイフを取り出した。
「え…?」
「私のせいだから、」
「まって!だめだよ!私、葉月ちゃんがいなきゃ….」
私は泣きながら訴えた。
「桃花ちゃん…?本当?」
「本当だ..よっ?!」
突然葉月ちゃんが飛び着いてきた。
「私のそばから離れないで」
「…?」
私には理解できなかった。
そうこうしてると先輩たちが駆け寄ってきた。
「あたしたち以外の人の記憶は消して、教室に返してきたよ。」
しおん先輩が言った。
「そんなこともできるんですか?」
「まあね。でもリボンの消費がすごかったよ。」
「リボン?」
しおん先輩の話によると、魔法少女の衣装についているリボンは変身や必殺技を出すときなどに少し焼き切れて短くなるらしい。そしてそのリボンがすべて焼き切れれば死、だそうだ。
「あ、あの、もう化け物は全部倒したんですか?」
「あいつら、異世界から遠隔洗脳攻撃をしようとしてる。」
「じゃあどうすれば…っ?」
「迷子が異世界への扉を開いてる途中だよ」
「そこから、異世界に行けるんですね!」
私が少し喜ぶと、迷子先輩が遠くから声をかけてきた。
「あいたよ!僕も遅れていくから速く入ってね!」
「りょ、いくよ」
しおん先輩の掛け声で私は葉月ちゃんを抱きかかえて異世界へと入り、次にしおん先輩とひかりちゃんが来た。
「うっ、暗い…」
バサバサバサッ、と不気味な羽音が聞こえる。
「桃花ちゃん、重かったでしょ、おろしていいよ、なの。」
私が葉月ちゃんを地面に降ろすと、前方からナイフが飛んできた。
「ひゃっ」
私がギリギリで避けると、また連続してナイフが投げられてきた。
「誰だあんた!」
しおん先輩はそう叫んで手を重ねた。
「紫紺十字魔砲!」
攻撃は暗闇の奥の相手に命中し、相手はヨロヨロと出てきた。
「…何しやがる。」
「な、お前は!」
ひかりちゃんが言った。
「どういうこと?知り合い?」
ひかりちゃんは剣を構えた。
「先に行って。こいつは私がやる」
「えっ、でも、」
私が一歩引くと、紅く光る相手は手をかざした。
「仲間を守ろうとするな。全員吹き飛ばす。」
「断る。傷一つつけさせない!」
「そうか。なら全力でやらせてもらおうか。」
バチッと紅い光が射し、大きく広がった。
「レッドセンセーション!」
大きな衝撃派が何層にもなって向かってくる。
「葉月ちゃん!」
私はとっさに叫んだ。
「桃花ちゃんは私が守る、なの。」
葉月ちゃんはまっすぐ正面を見つめ、背中の籠から矢を取り出した。
「逆矢ミスティックアロー!」
一つ目の衝撃派が到達する前に葉月ちゃんは身を翻して逆さに飛び、相手とは全く逆の方向に矢を放った。
すると、相手の矢は背後にワープし、相手の背中に刺さった。
「っ?!」
相手は紅い血を流し、膝をついた。
攻撃強制終了、衝撃派はすべて消えた。
「うぐ、」
相手は地面に手をついた。
間髪入れずにひかりちゃんが剣を向ける。
「どうしてお前がここにいる。」
「ひどい言いようだな。親友だろ?」
「私はお前を親友だなんて思ったことはない。もう会いたくもないさ。」
相手は少し悲しそうな顔をして少し上を見上げた。
「….私が何度も仲間を見殺しにしてきたことをまだ怒っているのか?」
「はぁ、そうだな。とにかくもう消えてもらおうか。」
「…そう私を消そうとするのも本当は私のためなんだろう?」
「何を言っている。私はお前のことなんか…..」
「私がこの世にいては私に危害が及ぶから、なんだろう?ひかり。」
「………..。」
沈黙が流れる。
すると、しおん先輩が相手の方へと歩いて行った。
「ほい」
しおん先輩が相手の額を弾くと、相手はバタンと音を立てて倒れた。
「んえ?」
ひかりちゃんも咄嗟のことに驚いている。
「こいつぁなにいってんだか。とにかく後でゆっくり話しなよー。」
「は、はい…」
しおん先輩は手際よく相手を袋につめ、担いで歩いて行った。
私と葉月ちゃん、ひかりちゃんも先輩についていった。