ブツブツと言っていたしょーとは静かに後ろを着いてきてくれた。
「あのねしょーと」
「なんだ」
しょーとが笑うと死ぬっていうのはそういうことじゃないと言って説明してみるも
「…悪ぃ、あんまりわかんねぇかも」
と言って首を傾げている。もうここまで来るとド天然通り越してバカなんじゃないかと思ってくる。
もうこれは行動で示すしかない。
「しょーと、好きだよ」
「っ…」
そう言ってニコッと笑う。
この時はまだ知らなかったんだ。まさか彼がこの話を聞いていたなんて。
轟side
ある日。夜中風が強くて起きた時があった。ちょっと散歩してみるかと言って寮を散歩することにした。共同スペースに行くと小さな背中を丸めて座っているひわを見つけた。ひわはたしかまだ寮の部屋が使えないから家に帰ってたはず、
「おい、」
と声をかけるとビクッとして後ろを振り返り、
「なんだしょーとか、」
と肩の力を抜いた。
「お前、家じゃねぇのか?」
「あ、えっと、鍵忘れちゃって」
えへへと笑うひわは風の音に少しびくついていた。
その手にはクマの手のひらサイズの人形が握られていた。俺は同じ色違いのクマを持っている人を知っている。爆豪だ。
そうか、こいつ。爆豪が好きだったんだな。
俺にもチャンスがあればいいのにと思いながらも俺は爆豪に取られた時に取り返せねぇだろうなとひわを見て思う。
「どうしたの?」
と言われて現実に戻る。
「でもお前、もう夜遅いぞ?」
制服も来てなかったし、いつもしばってる髪も解いてるからお風呂は入ったんだろうと察する。
「うーん、お仕事長引いてるみたい」
と言いながら欠伸をしている。眠いんだな。
「寝ていいぞ?てか、もう遅いし今日はここで寝ろよ」
と言うと
「うん、実はもう限界だったんだよね」
と言ってLINEをしてスマホの電源をきる。
「ごめん、ちょっと寝るね、おやすみ」
と言って秒速で寝始めたひわ。こいつ無防備すぎんだろ。
「…おやすみ」
ともう聞こえるはずのない挨拶を返して爆豪を呼びに行く。
「あぁん?んだよ!」
とキレ気味にでてきた爆豪を共同スペースに連れてきた。
「…!?なんでひわが」
と驚く爆豪に事情説明をして
「俺はもう寝る」
連れてってやれよと言って返事も聞かず自分の部屋に戻る。
すれ違う際に
「こんなこと俺から言いたくねぇけど、ひわは爆豪が好きだぞ?」
と言う。
「…は?」
「早くしねぇと俺がとるぞ」
と一言だけ残して自分の部屋に戻る。
これ以上いると何しでかすかわかんねぇからなと1人で解決して眠りに落ちた。
爆豪side
こいつが俺をすき?そんなこと…
1人で考えていると起きてんのか寝てんのか
「…ムゥ、かっちゃ…」
と寝言を言ってまたすやすやと寝息を立て始めた。
「…はぁ」
可愛すぎんだろこいつ、じゃあ両思いってことかよ。
とりあえずひわを俺の部屋に連れてって寝かせた。
「この鈍感野郎め」
と言うと少しだけ笑ったひわに本当は起きてんじゃねぇか?と思いながら俺も眠りについた。
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