頑張ります
※注意事項
・fwhr
・怪我、流血の表現があります
「…ん?」
思わず「ん?」と言ってしまい焦る。
(口に出してへんよな!? 大丈夫よな!?)
と、あたふたしている不破を見て
「不破さん? 大丈夫ですか?」
と加賀美が小声で聞いた。
「あ、ああ、大丈夫です…」
不破も小声で返した。
(何で小声?…あ)
ふと加賀美の視線の先を見て納得した。
(集中しとる。表情強ばってんぞ)
ブツブツと何かを唱えながら、近くに来た魔を祓っていく甲斐田を、加賀美は心配そうな目で見ていた。
(そら、集中切らせくないな、うん)
不破は、視線をしっかりと甲斐田へ向ける。
(私らは、いくら動けても足でまといです)
加賀美が拳を握りしめる。
(今ばかりは、甲斐田さんに任せるしか)
その時だった。
不破と加賀美のすぐ後ろで、パリン、と、ガラスが割れたような音がした。
「え?」 「何や?」
2人が振り向いたところに、一匹の魔がいた。
加賀美は、不破が固まっていることに気づき声をかけようとしたが…不破の方を見た途端、固まった。
不破の足が、魔によって固定されていた。
不破自身も少し遅れてそれに気づき、なんとかして動こうと試みる。
「クッソッ、動けへん…!!」
「不破さ─」 「社長大丈夫ッスか!?」
「え、は、はい! 私は大丈夫です!」
自分の無事を聞かれ、加賀美は驚いた。
(私より、不破さんの方が危ないでしょうに…)
「─不破さんッ!!」
前方のを一通り片してきた甲斐田がこちらに気づき駆けてきた。
そして、不破の足を固定していた魔を一瞬で祓い、割れたところから続々と入ってくる魔を正面に捉える。
「不破さん、大丈夫ですか!?」
「あぁ、大丈夫、ありがとな、晴」
「不破さん、怪我とかは」
「無傷や、社長もありがとうございます」
「社長、不破さん、僕のすぐ後ろに…はい、そこに居てください」
少し後ろを見て戻り、甲斐田は大技の構えをとる。
「我が家名、甲斐田の名の下に─」
「!? 晴ッ!!」
ガンッッッ…
その後すぐ長尾が駆けつけて、そこの魔は全部祓われて、あの空間から出られた。
でも甲斐田は脇腹に深い傷負うて、数日経った今もまだ、意識は戻っとらんのやって。
…今思えばアイツ、あの魔ァが確実に攻撃してくること、分かってたから前立ったんやろなぁ。
自分なら平気だからって。
ふざけとんのか。
勝手に居なくなるんやないよ。
自分から傷つきに行くのやめぇや。
「…なぁ、晴」
オレ、あん時に自覚したんよ。
晴にはすっごく悪いなぁ。
「─好きや、晴」
不破は、長尾に頼んで連れて来てもらった桜魔の病院で、意識がまだ戻っていない甲斐田の手を握り、優しくそう言ったのであった。
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楽しみにしてます、!