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テラーノベルの小説コンテスト 第3回テノコン 2024年7月1日〜9月30日まで
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不破目線でお送りします。

今回甲斐田出てこん。


「不破さん、大丈夫ですか?」

前触れも無く、いきなり社長にそんなことを聞かれた。

事務所の休憩所の自販機の前。

缶コーヒーを買っていたところに、社長と遭遇。聞かれたと同時ににカコンと開けたコーヒーを一口飲んで、

「何がです?」

って言ったんやけど、表情かお創れへんかった。もしかしたら、創れてたとしてもバレてるんやろな。

「…」

社長、そんな心配そうな目ェで見んといて下さい。気ィ緩んでしまう。

涙が、出てきてしまう。

「そうですか、私の杞憂でしたかね」

そう言って、社長は水買って一口飲んだ。俺は残りのコーヒーを一気に飲み干した。

そんなところに、

「あの」

あぁ、今日厄日なんやろか。

「─お疲れ様です、もちさん」

やって来たのは、あの日一番最初に帰ったもちさん。

いや、別に一番最初に帰ったからなんか悪いとかは無い。むしろ一緒に巻き込まれんくて良かった。

…よし、今度は笑えた気ィする。

「…目が笑ってないですけど?」

無理やな、終わったわ。

社長、右に同じって表情かおせんといてください。

…で、聞かれることはあの事やろなぁ。

社長に全部投げて逃げたい。ホンマに。

頭回らん、言い訳が思いつかん。

「一昨日、何があったんですか。僕が先帰った後に」

そう、あの魔の空間に巻き込まれたのは、一昨日の夜。

昨日は丸一日、なんも出来んかった。

…何もしたくなかった。

自覚した反面、無力さを嘆くことしか出来んくて。

「…」

あ、マズイ泣く。

「? 不破く」

「不破さん、この後予定あるんでしたよね? 私から話しとくので行ってください」

「ハイ、ありがとうございます。…じゃ」

社長ホンマにありがとうございます。

勿論予定なんて無い。今日はマネさんから今後の話されただけやし。

誰とも会いたくあらへんかったからすぐ帰ろうとしたのにな。

休憩所来たのがまずかったんか。

まぁ、そんな事、今後悔しても遅いだけやわ。

ゴミ箱に投げるように缶を捨て、休憩所を出る。そして 出た途端に早歩きで離れる。

人が居ないところに着いた。

壁に背中を預け座り込む。

よし、涙出てない。

てかなんか右手痛いんやけど何で…あ

「…血ィ出とる」

早歩きしながら、無意識で拳握りしめてたんか…爪くい込んでる。

ここならええか? …泣いたって。

いや、いくら人の居ないとこ居たってここは事務所。誰かに見つかったら…

「…晴」

…ダメや、一度緩んだら戻せへん。

「─ッ──うぅ───ぅぁ…」

コツ、

あ、マズイ。足音した。けど…止められるわけないわ、涙腺。あーあ、すんません見かけた人。

お見苦しいとこ見せてまs

「おふわ? 何してん?」

…え?

「大丈夫か? 泣いとるん? どないしたんよ、話なら聞くで?」

「…とこ、さん…?」

伏せてた顔を上げたら、しゃがんで俺の顔を覗き込んでる先輩が─戌亥とこさんがいた。

「…よし」

「?」

「おふわ、この後なんかある?」

「…ぃぇ、何も」

「じゃぁ、ええな、着いてきて」

「え、いや、どこに」

ゆっくりと立ち上がった俺に、とこさんはにっこりと笑って、

「アタシの勤め先の喫茶店。おふわを特別招待したげる!」

「…………へ?」

なんでですか? と言う前に、腕を引かれて聞く間もなく歩き始めてしまった。


不破さんがコーヒー飲まん人やったら申し訳ない。

甲斐田が怪我をする話

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