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「何かありました?」
「…いつものことです。」
初対面相手に家庭の事情を話せるわけもなく、「いつものこと」と誤魔化した。
「そっか、。…腹減ってない?」
タメ口と敬語が入り交じる。そんな彼に
「敬語じゃなくていいですよ、。」
と、伝えてみた。
「あらそお?じゃあ遠慮なく。」
「で、腹は?減った?減ってない?」
「…減りました、。」
「ん、食べ行こ。ラーメン。」
オススメあるんだよねーって、歩きだした彼の背中を一定の距離を保って追いかける。
「あのねぇ、もっと周り頼っていいんだよ。」
「あなたが我慢して苦しくなる必要はないの」
「もっと楽に生きていいんだよ?」
彼のくれる言葉に、鼻の奥がツンとした。
「…困らせてしまうかもですけど、。」
「…父が荒れてて、…」
「いつもなら我慢できるんですけど、」
「今日は苦しくなって、…」
「家、…出てきちゃったんですよね、…。」
あはは、と思わずもれた笑い声。
「ツラいなら、笑わなくていいんじゃない?」
横断歩道の信号が赤になって立ち止まった彼が私の方を振り返って言った。
図星だった。
いつからか、ツラいとき程笑うようになった。ツラいとか、悩みがあるとか、困ってるとか、全部全部バレたくなくて、笑うようになった。
だから周りの人たちから八方美人だって言われたり、媚売ってるって言われたり、幸せそうでいいねって言われるようになった。