「わかった・・・。だけど、お酒飲んでなくてもたまにしてもいい・・・?」
「ん? 何を?」
「自分で記憶ないのは嫌だから・・・。たまに・・・お酒飲んでない時も、甘えてもいい・・・?」
いきなり思ってもいなかった衝撃の言葉を聞いて、驚いてその場で立ち止まる。
はっ!!??
いや・・・ちょっと待って。
今そう思ってたとこで、その言葉と表情はヤバい・・・。
マジそれは反則でしょ・・・。
だから透子が本気でそうやって来られると、マジでオレ心臓ヤバいことになるからどうしていいかわかんないんだって。
これマジで急に甘えられたりしたら、オレどうなってしまうのか予測出来ないんだけど。
「えっ?樹?どしたの!?」
すると、透子はそんな自分で爆弾ぶっこんだことも気づいてなくて、心配そうに声をかけてくる。
はぁ~。なんなんだよ、その無意識な可愛すぎる攻撃。
やべぇー、こんなんもう気持ち抑えらんないわ。
そして心配そうにオレを見て来る透子の腕を力強く引っ張って胸の中に抱き寄せる。
「うわっ!」
「ちょっと抱き締めさせて」
「樹?何?どしたの?」
いきなり抱き締めたオレに当然驚いて、そう聞きながら顔を上げてオレの顔を見ようとする。
「いいから」
でも、その顔を上げさせないよう、すぐ頭を押さえて、そのまままた胸の中に引き寄せる。
「黙って抱き締められてて」
そしてそう言いながら透子を丸ごと抱き締める力も強くなる。
どれだけこの人を好きな気持ちは大きくなるんだろう。
こんなに好きで、ずっと見て来たつもりでも、まだまだ知らないことが多くて。
オレだけに見せるこんな可愛い姿も当然今まで知ることなんて出来なくて。
オレだけに向けるそんな表情やそんな言葉が幸せすぎて。
ホントはずっとずっと望んでた。
出会った時から、好きになった時から、話すようになってから、付き合ってから、ずっとずっと。
オレだけに見せてくれる透子の可愛い姿、甘える姿。
オレだけを想って、透子からそう望んでくれること。
だけど、やっぱりいざそんな姿を見せられると、想像以上で。
それどころかオレ自身、どうそれに対応していいかわからない。
想像以上に心臓がぶっ壊れそうになって、好きすぎる気持ちが止められなくて。
そんな一言だけで、そんな一つの表情や仕草で、こんなにも胸が騒がしくなる。
まだ予告されただけなのに、まだ本格的にそう言われたワケでもないのに。
だけどオレにとってそんな風に言ってくれる透子になってくれてるだけで、すでに胸がいっぱいになる。
「透子があまりにも可愛すぎるから、もう気持ち抑えらんなくなった。どこまでオレを好きにさせたら気が済むの」
「いや、だって・・・」
「どんだけオレの知らない透子隠し持ってんの? こんなのオレの身が持たなくてヤバい」
「そんなの全部樹だからじゃん。こんな自分に樹がさせてるくせに」
ヤバイ。その言葉嬉しすぎる。
「あーどうしようオレ」
「何が・・・?」
「もう透子好きでたまんないわ」
「樹・・・」
どうしたらいい?
どうすればいい?
透子が好きでたまらないこの気持ちどう抑えたらいい?
「樹? 顔見せて?」
「・・・・」
だけど、またオレの顔を見ようとする透子の頭をまたそのまま抑えつける。
「ねぇ樹!?」
「・・・ダメ」
「なんで?」
「柄にもなく今オレ照れてるから。どんな顔してんのかわかんないし、そんなカッコ悪いオレ見られたくない・・・」
今オレがどんな顔してんのかが不安で透子の言葉を阻止する。
だけど多分、今嬉しすぎて動揺しすぎて、きっとだらしない情けない顔になってることはわかるから。
透子の前ではカッコつけたいのに、こんなオレ恥ずかしすぎる。
「フフッ。嬉しい」
だけど透子はそんな反応をする。
「笑うなよ・・・」
「だって。可愛いんだもん」
「は? だから可愛いオレとか嫌なんだって!」
また年下扱いされたのが気になって、つい抱き締めていた手を緩めて、透子の肩を持って覗き込んで反応してしまう。
すると。
その瞬間すかさず透子がオレの両頬を両手で優しく包み込んだ。
「いいの。樹はそれで。私はかっこいい樹も可愛い樹もどっちも好きなんだから。どっちの樹の魅力もあるから私はこんなに樹に夢中なんだよ?」
「透子・・・」
そう言われてハッとする。
確かに、オレも強い透子も恥ずかしがってる透子も、甘える透子も、どんな透子だって好きで。
そっか。
透子もそういうことか・・・。
オレはいつでもカッコイイところを見せたかったけど、透子もきっとそれだけをオレに求めてくれていたんじゃなくて。
透子がオレを想っていろんな反応してくれるすべてが嬉しいように、きっと透子もオレにそう思ってくれているのがわかる。
「照れてる樹も見たい。私の為にしてくれる樹の表情これからはちゃんと全部見せて」
あぁ・・・ヤバいな。
やっぱり完敗だわ。
結局どんな透子にもオレはお手上げなんだよな。
全部受け入れてくれる透子が頼もしくて嬉しくて。
「わかった?」
「はい・・・」
オレは素直に返事をする。
「よろしい」
オレだけを見つめてそう優しく微笑んでくれる笑顔もやっぱり好きすぎる。
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