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#現代ファンタジー
裏五条
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#ライトノベル
umaimon
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この辺りの海岸では滅多にない、波の穏やかな満月の夜。
ちゃぷ。
波間に映る白い月から生まれてきたかのような、白い身体が水面に浮かび上がった。
腕の力だけで、近くにあった平らな岩によじ登ると、脚を伸ばしてそこに座る。
「―あし」
自分の姿を確かめる。
一糸纏わぬその身体を覆う、長い黒髪。
細い手足。華奢な肩。
―― 本当に後悔はしない?
波間から頭だけ覗かせて、見送りに来た姉達が問う。
今のまま、ここで暮らしてあと数年も経てば、あなたはきっと誰もが心奪われるほど美しく育つ。
そうなれば、あなたの姿を見たニンゲンを魅了して、魂を喰らうことだってできる。
その味を知らないまま、海を離れて後悔しない?
陸で呼吸することに馴染めば、この生まれ故郷の海には戻れないかも。もう二度と深い海の底の静けさに身を置くことは出来ないかも。いいの?
「ゆら、今ならまだ、海に飛び込めば戻れる…」
さめざめと泣き声が上がった。
まだ幼い末の妹の行く末を案じているのだ。
哀しい結末を迎えた仲間も、少なからずいるのだから。
「心配してくれてありがとう。ねえさま達」
しっかりと自分の脚で立ち上がって、微笑んで見せる。
「でも大丈夫。だって、わたしは、ただ――」
海と、外の世界の狭間で出逢った、あのこをもっと見ていたいだけ。
コメント
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瀬尾早水さん、第1話読ませていただきました。 満月の夜、波間から現れる白い身体——あの幻想的な導入に、一気に引き込まれました。姉たちの「後悔しない?」という問いかけに、それでも微笑んで海を離れる決意をするゆら。まだ何も知らない子どもの純粋さと、「あのこをもっと見ていたい」という想いの強さが重なって、胸がぎゅっとなりました。 言葉数の少ない中に、距離感や視線のやわらかさがとても丁寧に描かれていて、続きが気になります。引き続き楽しみにしていますね🌷