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法廷には、重い沈黙が落ちていた。 いじめっ子3人の証言が終わり、 螺斜朝美絢は、ただ静かに立ち尽くしていた。
裁判長が槌を軽く打つ。
「――これより、最終審問に入る」
検事が立ち上がり、冷静な声で言う。
「本件の核心は、 “螺斜朝美絢の魂が、どれほど傷つき、 その傷が誰によって、どのように生じたか” である」
玲奈、ひより、桐谷の3人は、 それぞれ違う表情で俯いていた。
検事は続ける。
「証言と記憶映像から、 被告が受けたいじめは明白。 しかし――被告自身が“自分を責め続けた”ことも事実だ」
朝美絢は小さく震えた。
裁判長が彼女に問いかける。
「螺斜 朝美絢。 あなたは、自分をどう裁いてほしいのですか」
少女は、しばらく言葉を探した。 そして、震える声で答えた。
「……私は…… もう……自分を責めたくない…… でも……許されるとも思えない……」
裁判長は静かにうなずく。
「では、証人たちに最後の質問をする」
3人のいじめっ子に視線が向けられる。
「あなたたちは、 被告の魂が“地獄へ落ちるべきだ”と思うか」
玲奈は息を呑んだ。
ひよりは目をそらした。
桐谷は震える声で言った。
「……そんなわけない…… 俺たちが……追い詰めたんだ…… 朝美絢は……悪くない……」
玲奈も、ついに顔を歪めた。
「……私…… あんたが死んだって聞いた時…… 怖かった…… 私のせいだって…… ずっと……思ってた……」
ひよりも、かすれた声で言う。
「……ごめん…… 本当に……ごめん……」
朝美絢は涙をこぼした。
裁判長は静かに立ち上がる。
「――判決を言い渡す」
法廷の空気が張りつめる。
砂時計の砂が、最後の一粒を落とした。
「螺斜 朝美絢。 あなたの魂は“無罪”とする」
朝美絢は目を見開いた。
裁判長は続ける。
「あなたは誰も傷つけていない。 あなたが壊れたのは、 他者の悪意と、環境の不備によるものだ」
検事も静かにうなずいた。
「あなたが自分を責める必要は、どこにもない」
裁判長は手を広げる。
「螺斜 朝美絢。 あなたの魂は――天上界へ向かう資格がある」
光が差し込み、少女の足元を照らす。
朝美絢は震える声で言った。
「……私…… 本当に……行っていいの……?」
裁判長は優しく微笑んだ。
「行きなさい。 あなたは、もう苦しまなくていい」
朝美絢は涙を流しながら、光の中へ歩き出した。
背後で、いじめっ子3人はただ黙って見つめていた。 彼らの魂がどこへ向かうかは、また別の裁判で決まるだろう。
光の中で、朝美絢は小さく呟いた。
「……ありがとう……」
そして、彼女の姿は静かに消えた。
裁判長が最後の槌を打つ。
「――螺斜 朝美絢の裁判、これにて終結」
法廷には、深い静寂だけが残った。