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あんにん
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飴玉
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中学三年生のライ。
中学一年生のマナ。
同じ中学校に通うようになって半年ほどが経った。
昔ほどではないが、今でも二人は一緒に登校することが多かった。
ただ、一つだけ変わったことがある。
それはマナ自身だった。
⸻
「ライ!」
朝。
校門の前で見つけると、つい駆け寄ってしまう。
昔なら当たり前だった。
でも最近は少し違う。
周りの目が気になる。
同級生に見られると少し恥ずかしい。
だから以前ほど素直に甘えられない。
「おはよう」
ライはいつも通り笑う。
その笑顔を見ると安心する。
なのに胸が少しだけ苦しくなる。
⸻
ある日の昼休み。
マナは友達の宇佐美リトと話していた。
すると近くの女子たちが騒ぎ始める。
「伊波先輩かっこいいよね」
「分かる!」
「優しいし!」
マナは思わず耳を傾けた。
伊波先輩。
ライのことだった。
「受験生なのに生徒会も手伝ってるらしいよ」
「モテそう」
「絶対モテる!」
その言葉を聞いた瞬間。
なぜか面白くなかった。
⸻
放課後。
昇降口でライを見つける。
「ライ」
「お、マナ」
自然と笑顔になる。
それなのに。
昼休みに聞いた話が頭から離れない。
ライは優しい。
かっこいい。
人気がある。
そんなことは昔から知っている。
でも。
『誰かに取られるかもしれない』
そう考えた瞬間、胸がざわついた。
⸻
休日。
ライの部屋でゲームをしている時だった。
ライのスマホが鳴る。
「ん?」
ライが画面を見る。
その表情が少し柔らかくなる。
マナは無意識に聞いていた。
「誰?」
「ウェン」
「ふーん」
友達だった。
安心した。
その瞬間。
自分が安心したことに驚く。
なんで?
どうして?
⸻
その日の夜。
ベッドの中。
何度も考える。
ライに誰か好きな人ができたら。
恋人ができたら。
自分との時間が減ったら。
嫌だ。
すごく嫌だ。
その答えは一つしかなかった。
「……好きなんだ」
初めて認めた。
隣の家のお兄ちゃん。
ずっと一緒に育った人。
家族みたいな存在。
そう思っていた相手を。
自分は恋愛として好きになっていた。
⸻
窓を開ける。
隣の家の明かりが見える。
受験勉強をしているのだろう。
昔から変わらない景色。
だけど。
マナの気持ちはもう昔には戻れなかった。
コメント
1件
「好きの正体」、めっちゃ響きました……。マナが「家族みたい」だった相手を恋愛として自覚する瞬間、すごくリアルで胸がぎゅっとなりました。昼休みの女子たちの会話で「面白くない」って感じたところや、ウェンって名前でホッとする心理描写が丁寧で、読んでてこっちまでドキドキしました。隣の家の明かりを見上げるラストの切なさ、大好きです。続き、すごく気になります……🤍🥀