___少しの隙間から差し込む日差し。それは部屋を少し照らす明るい光。朝は寒く昼は暑く。気温の安定しないこの時期は、忍者として良い時期だ。鍛える為ならばどんな事でも俺は望むだろう。
立花➷ 随分と寝坊じゃないか?潮江文次郎。今日は月に一度の同室の入れ替え週だぞ?ちゃっちゃと着替えておくんだな。
潮江➷ …五月蝿い、こっちは寝不足なんだよ…4徹夜明けで、まだ満足に寝れちゃいないっていうのに…
同室の入れ替え週など俺からすればどうでもいい。どうなった所で、留三郎じゃなければ誰でも構わない。なんて、心の中でぼんやりと浮かべながら目を擦る。ぼんやりとしていた視界も次第に晴れ太陽の光を背に立つ立花の姿が良く見えた、それはそれはとても神々しかった。つい、眩しい。そう口に出してしまえば、早くしろ。なんて怒られてしまった。
立花➷ あのなぁ…私だって別に構わない、だが他の奴らを待たせる訳にはいかないだろう?少しは徹夜を減らすんだな。
潮江➷ 無理な話だ…こちとら予算の話で精一杯。多少の誤差を生み出しちゃ、どっかに偏ってしまうんだよ…削っても増やしても、どうせ合わないんだから…
立花➷ 学園長に言うしかないんだろうが…少しは自分の体調も考える事だな。
そう、立花が言えば、先に行くからな。なんて、俺を置いてって前に見える中在家長次の所に走り行ってしまった。もう同室は決まっていたらしい。留三郎と伊作は不運なのか幸運なのか分からないが、また同じらしい。変わらない奴らだ。
…俺は?七松小平太と、同室…?おいおい、立花以上に寝れないじゃないか!どうしてくれるんだ。なんて眉をひそめながら思えば七松小平太と目が合った。きょと、と此方を見詰めているかと思えばいきなり眩しい笑顔で笑ってきやがった。
七松➷ よぉ、もんじろー!同室だってさ!よろしくなー!
行け行けどんどーん!なんて朝から騒がしい奴だ。そう頭を抱えれば、勢い良く肩を組まれ、小さいため息を零したのだ。
___
とある同室同士の任務。
潮江文次郎、七松小平太
中在家長次、立花仙蔵
善法寺伊作、食満留三郎
この3つのグループでわけ、任務をしていくことになった。
潮江と七松のグループは裏々山へと。最近、不思議と失踪者が多いらしいんだ。しかも、その山に行ったものが_七松は良く行くらしいが、最近は裏々々山ら辺しか行かないから分からない。なんて言われた。ほんと、使えないやつだ。
潮江➷ いいか、あまり大きな声を出さずに、でしゃばらないこと。怪我をされたら困るから、慎重に…って、おい!
早速、と言わんばかりに彼奴は先々進んでいく。何なんだ、人の話は聞かず、自分の話は聞けと言うのに…めんどくさい野郎だ…!
__しまった、見失った。最悪だ、きょろヾと周りを見渡すも見当たらない。くっそ、…そう、焦りを落ち着かせようとした瞬間、上から、七松が降ってきた。なんだ?!と思えば、胸元からくないを取り出し視線の方へと投げたのだ。む、と目を顰めれば遠くからぁ”っ!と声が聞こえた。敵か?と七松に聞けば、こく。と頷くのが見えた。こんな視線にも気付かなかった。自分も衰えたものだ。なんて思えば、さっきから、ずっと、此奴の事を気にして、目で追ってた。なんでだろう?不思議で不思議で仕方がない。
小平太、こへーた。お前にピッタリの呼び名は何だろうか?もし、この不思議な思いを【嫉妬】と一言で表せたらどれ程良いだろうか。一生これで居よう。思いは心の中だけに閉じておいて、困ったら、立花に、中在家に、聞いてみよう。お前と出会った6年前、あの時から、ずっと、この気持ちで、居たんだ。
小平太、お前が居るから、俺はお前に、小平太に__をした。
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