7話 隠された真実
魔法少女の秘密
ときに案内され、みこと海は静かな廃ビルの中へと足を踏み入れた。
みこ「……ここ、何?」
みこが警戒しながら周囲を見渡す。
埃っぽい空気が漂い、壁にはひびが入っている。誰もいないはずのその場所に、無数の紙が散乱していた。
とき「《Magica Order》の情報を集めた場所よ」
ときは床に落ちた資料の一枚を拾い、みこたちに見せた。
みこ「これは……?」
そこには、黒い影のような何かが映った写真と、「アノマリー」「魔法少女適性」「契約者の末路」といった不穏な単語が並んでいた。
みこ「これ、どういうこと?」
みこが不安そうに尋ねると、ときは冷静な声で言った。
とき「魔法少女ってね、ただの ‘選ばれた存在’ なんかじゃないの。《Magica Order》は、適性のある人間を選び……使い捨ての兵器として戦わせているのよ」
みこ「……!」
みこは息を呑んだ。
みこ「つまり、アノマリーと戦うために私たちは ‘作られた’ ……?」
とき「そう。そして——」
ときが言葉を続けようとした瞬間、
——ギィ……ン……。
古びた扉が勝手に開いた。
みこ「……誰かいる?」
海が警戒しながら立ち上がる。
すると、暗闇の向こうから低く響く声が聞こえてきた。
???「——また、来たんだね」
その声に、みこはゾクリとした寒気を感じた。
次の瞬間、暗闇の中からゆっくりと現れたのは——。
もう一人の魔法少女
海「……あんたは?」
海が身構えながら問いかける。
その人物は、ボロボロの制服を着た少女だった。
長い黒髪は乱れ、青白い肌。
何より、彼女の瞳には 光がなかった 。
???「……私は……魔法少女だった……」
みこ「だった?」
みこは思わず聞き返す。
少女はゆっくりと、右手の袖をまくる。
そこには、黒い痣のようなものが広がっていた。
みこ「これは……?」
ときが表情を曇らせる。
とき「これが、契約の代償」
少女は静かに言った。
???「《Magica Order》は……私たちに力を与えた。でも、その代わりに……」
彼女は震える指で自分の腕を指し示した。
???「この ‘呪い’ が、少しずつ私の体を蝕んでいく……。やがて、私は ‘人間’ ではなくなる」
みこ「っ……!」
みこは心臓が締め付けられるような感覚を覚えた。
???「魔法少女の力には ‘期限’ があるの。そして、その期限が来たとき——私たちは ‘アノマリー’ になる」
みこ「……嘘、でしょ?」
みこは目を見開いた。
???「本当よ。魔法少女は、戦い続けることで ‘消費’ されていく。そして、限界を超えたとき、私たちは ‘敵’ になる」
みこ「……そんな……」
みこの頭の中が、混乱でいっぱいになった。
みこ「つまり……私たちは、いつか ‘アノマリー’ になるってこと?」
少女は静かに頷く。
みこ「今まで倒してきた ‘アノマリー’……それは、かつて魔法少女だった者かもしれない」
絶望の真実 が、みこの心を深く抉った。
みこ「そんなの……そんなの、おかしいよ……!」
みこは震える声で叫んだ。
みこ「こんなの、ただの ‘使い捨て’ じゃん……!」
???「そう。だから私は……逃げるの」
少女は微かに微笑んだ。
???「この呪いが広がる前に…… ‘人間のまま’ 消えるために」
そう言って、少女はゆっくりと歩き出した。
暗闇の向こうへと——。
みこ「待って!!」
みこは無意識に手を伸ばす。
でも、少女は振り返らず、そのまま闇の中へと消えていった。
海「……どうする?」
海が小さくつぶやく。
みこ「私たちも……このままでいいのか?」
みこは、強く拳を握った。
みこ「……絶対に、こんなの間違ってる」
《Magica Order》の真実。
そして、魔法少女の運命。
みこは この呪われた契約を壊す ことを、心の中で決意した——。
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