*第8話 抗う者たち*
消えた少女
みこ「……結局、あの子はどこに行ったんだろう」
みこは暗闇の奥を見つめながら、唇を噛んだ。
ボロボロの魔法少女。
《Magica Order》に見捨てられ、呪いに蝕まれていた少女。
——彼女も、かつては私たちと同じだったのかもしれない。
みこ「……放っておけないよね」
みこの小さな呟きに、ときがため息をつく。
とき「あなたって、本当にお人好しね」
みこ「そんなこと言ってる場合? これは私たちの未来かもしれないんだよ?」
とき「だからこそ、慎重にならなきゃいけないのよ」
ときは冷静に言い返す。
とき「私たちはもう魔法少女になってしまった……でも、それでも ‘逃げる’ 選択肢はあるわ」
みこ「逃げる?」
みこが眉をひそめる。
とき「そう。魔法少女として戦わず、力を使わず、ただ ‘普通の生活’ に戻るの」
みこ「でも、それって……」
海が口を挟む。
海「《Magica Order》が許すのか?」
とき「……そこが問題なのよね」
ときは静かに目を伏せた。
とき「契約から逃れた者がどうなるのか、私たちはまだ知らない。でも、あの少女の姿を見たでしょう?」
みこ「……」
みこは拳を握りしめた。
みこ「だったら……私は、逃げない」
海「みこ……」
みこ「戦う。こんな運命、おかしいもん。絶対に変えてみせる」
強い決意を込めて言うみこを、ときはじっと見つめた。
そして、微かに笑う。
とき「……言うと思った」
みこ「え?」
とき「あなた、最初から ‘魔法少女になれる’ ことに喜んでたもの。最初から、こんな運命を ‘受け入れる’ つもりはなかったんでしょう?」
みこ「……まぁ、ね」
みこは少し照れたように髪をかく。
とき「だったら、付き合ってあげる。あなたの ‘反逆’ にね」
ときが不敵に微笑む。
海「おいおい、勝手に決めるなよ」
海が呆れたように肩をすくめる。
海「でも……俺も、やるならトコトンやる。逃げるのは性に合わねぇしな」
みこ「よし、決まり!」
みこは力強く拳を握る。
みこ「じゃあまずは、《Magica Order》の本拠地を探るところからだね」
とき「……面白くなってきたわ」
ときの目が鋭く光る。
《Magica Order》に抗うことを決めた、三人の魔法少女たち。
彼女たちの運命は、今、大きく動き出す——。
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