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キスの痕yn視点
今日は会議の予定があるのでいつも通り会社に向かう。いつもと一つ違うのは、今日はおさでい、彼氏の家から会社に向かうということ。昨日のことは、、、恥ずかしのであまり思い出すのは控えておこう。まぁ、熱い夜を過ごした訳だ。
「じゃあ、俺、今日会議だからもう行くね」
そう、リビングにいるであろうおさでいに声をかける。すると、奥の方からドタバタと走ってくる音が聞こえてくる。
「やなとー!待って待って!」
おさでいはやなとの腰にそっと手を回してそのまま顔を近づけてキスをした。
「忘れ物」
なんて、新婚夫婦のような、ちょっとクサイセリフを言いながら微笑む。おさでいと一緒の家に住んだら、毎日こんな感じなのだろうか、毎日一緒のベットで寝るのかな、卵焼きは甘い派かな、なんて妄想をしてしまう。
「ちょっと!やなと、全然違うこと考えてない?」
図星を突かれてドキリとするが、まぁ全く関係ないこともないので言い訳をする。
「そんなことない!ちょっとびっくりしただけ、!」
「ふーん」
絶対信じてないな。というかそんなことより、おさでいがいつにも増してなんだか嬉しそうな、何かを企んでいそうな、少し胡散臭い笑顔を浮かべていた。
「おさでい、なんか企んでる?」
と質問した途端、とても驚いたような顔をして俺から目線を態とらしく逸らす。
「い、いや、なんでもない!なんでもない!」
なんとも嘘をついてます。というような感じで答えるので俺も疑い深くなってしまう。
「絶対嘘じゃん!なんかやってるでしょ!」
「やってない、やってない!俺がそんなことする訳ないでしょ!」
いや、一番するだろ!と問い詰めていると、
「あ、あ、やなとさん時間やばいんじゃない?ほらほら、そろそろ行こ!」
話題を逸らされたな、と思うが時間がヤバいのも事実なので行ってきますと声をかけて家を出た。
会社に着いて、会議をしている時も、朝のおさでいの何か企んでいそうな笑顔を思い出す。何かとんでもないことをしているんじゃないか、と不安で仕方がないが大事な会議なので真剣に取り組んだ。
会議が終わり会議室を出ると、撮影が終わったであろうゆたたとたまたま鉢合わせした。
「ゆたゆた!撮影?お疲れ様!」
と労いの言葉をかけると、今朝のおさでいとは真反対の無垢な笑顔で返してくれる。
「ありがとー!やなとくんは会議だったよね。お疲れ様!」
流石可愛いを具現化したような男。今朝のおさでいのことはすっかり忘れて、2人で談笑をする。
「あれ?やなとくん、ここ虫に刺されてるよ」
そう言ってゆたたは俺の首の左後ろの方を指を差した。
「え?」
一つ心当たりがある。昨晩の行為中、おさでいが俺の体の至る所に痕をつけていた記憶がある。そして、今ゆたたが指を差した首の左後ろも、だ。
「あ、えっと、こ、これは、その」
今は夏、虫刺されと誤魔化せばバレることは絶対にない。ただ、俺にはそんなことを考えられるだけの余裕はなく、ほぼほぼ答えのような反応してしまう。
「あ、そういう、、」
流石のゆたたもこの反応にはお察しである。
「俺もう行くねー!」
なんて、俺は逃げ出すようにその場を去った。
帰り道、俺はおさでいにメッセージアプリで一件のメッセージを送った。
「ふざけんな、今から家行く」
os視点
ショート動画の編集をしていると、スマホからピコンっと通知が鳴った。通知は大好きな人からのメッセージ。俺は画面を見るなり喜んで家の片付けを始めた。
しばらく経った後、家のインターホンが鳴る。気持ちを抑えきれずスキップで玄関に向かう。鍵を開けてドアを開くとそこにはほっぺをぷっくり膨らませた、とってもとっても可愛い恋人が待っていた。
「おさでいのバカ!」
なんて俺の胸に飛び込んでポカポカ殴るもんだから可愛すぎて尊死しそうになる。
「どうしたの?」
まぁ何が起こったか大体想像はつくのだけれど、きっと話さなきゃ落ち着かないだろうと思い質問をする。
「全部おさでいのせい!」
と話し始めた俺の可愛い可愛い恋人の話しを聞く限り、ゆたたに首の痕を指摘され、無事誤魔化すのに失敗したらしい。なんとも可愛いことか。その瞬間を見ていたかった。
「ほんと、可愛い」
思わず口に出してしまったが、その一言がやなとを余計ヒートアップさせてしまったようだ。
「もう!朝からおかしいと思ってた!!なんで言ってくれないのさ!!」
なんて怒っているのも可愛いらしいと思い「うんうん」と聞いていると、
やなとの鎖骨あたりにつけた記憶のない赤い痕があることに気がつく。何度思い出してもそんな場所に痕をつけた記憶はない。まさか別の奴?そんなはず、、、
実は今回見える位置に痕をつけたのは、勿論やなとに対する悪戯の意味もあったが、会社のスタッフに1人、やなとにベタベタとくっつく不届きものがいるのである。やなとに対する態度、目線で分かるが、あいつは絶対にやなとに気がある。そいつに対しての牽制の意味も込めて痕つけた。
もしかして、そいつ?いやでも、恋人の俺でさえ他人から見える場所に痕をつけるのは嫌がられるのに、そんなに易々と許すとは思えない。
「やなとその痕なに?」
と、問い詰める。胸板をトンっと押し、手首を掴み壁に押し付ける。
「浮気?違うよね?」
「いや、これは、」
俺はやなとの脚の間に自分の膝をつき、所謂股ドンという形になる。
「俺こんな位置に痕つけた記憶ないんだけど」
「ん、ちょ、おさで、」
やなとは逃げたそうに身をくねらせる。
「他の人?誰?名前は?もしかしてあのスタッフ?」
なんて、顔を近づけると、やなとは不満そうに
「いや、これ虫刺され!」
そう叫んだ。え?虫刺され?脳がフリーズする。
「あ、え?、ごめん」
焦ってそんなことまで頭が回らず、本当に申し訳なく思う。
「俺がそんな浮気なんてする訳ないでしょ!」
「うぅ、ほんとにごめん」
やなとのフワフワの頭をごめんなさいの気持ちを込めてそっと撫でる。
「ちょっとおさでい後ろ向いてしゃがんで!」
なんてよく分からない指示をされるが、今回は俺が色々と迷惑をかけたので、ケツバッドでもなんでも受けてやる!と思い指示に従う。
すると、首の後ろになんだが柔らかい物が触れる感覚、その後チクリとした痛みがする。
「え、!やなと?」
なんて振り返ってみると、やなとは小悪魔的にふふんと笑ってこう言った。
「これでお揃い。今回の俺の気持ちをしっかり味わってよね!痕は絶対隠しちゃダメだからね?」
なんて、とても可愛らしく、そして艶っぽく言うのでたまらず抱きしめる。
「お、おさでい?」
俺はそのままやなとをお姫様抱っこで抱き抱える。
「もう無理!ベット行くよ!」
びっくりするほど軽いやなとは、ジタバタしながら抵抗するが、本気で嫌がってはないのだろう。動きは少し小さく、照れたように顔を背けている。
これはOKということだろう。俺はできるだけ急いで寝室に向かった。