★ Fujisawa Ryoka side
「…元貴の家行く?」
元貴はなかなか来ない。
撮影が遅れるのもだし、なにより元貴の体調が心配だった。
…その時。
がちゃ、と楽屋の扉が開く。
『すいません、遅れました…っ』
そこには、元貴の姿があった。
僕と若井はすぐさま元貴のもとへ駆けつける。
「元貴!大丈夫…?」
『体調崩してない?大丈夫?』
元貴の顔を覗き込むと、隠されてはいるが
まだまだ隠しきれていない濃い隈があった。
それに、顔色もだいぶ悪い。
へにゃ、と笑う顔は力弱くて今にも壊れそうだ。
無理しているのがバレバレ。
『…うん、大丈夫』
★ Wakai Hiloto side
撮影が始まった。
元貴の表情は一段と暗くなっていたし、
スタッフさんに注意されることも多かった。
撮影しながらも、元貴大丈夫かなあなんて思っていれば
ふらりと元貴の体が傾く
「元貴!!!」
咄嗟に元貴の体の前に手を差し出し、 元貴の体を受け止める。
前よりも断然軽い。
ちゃんとご飯食べてるの?なんてまたもやお母さんのようなことを考え…
「…ん?」
もしかして、元貴なにも食べてない説ある?
…ってか!!それよりも元貴…!!
『元貴大丈夫っ、?!』
涼ちゃんも駆けつけてくれる。
元貴は瞳を閉じていて、メイクをしていても薄く隈が残っているような気がする。
気づいていたのに、こうやって倒れるまでなにも出来なかったな…
なんて、どこか申し訳ない気持ちが募る。
『若井。元貴、楽屋で寝かせておこう』
テキパキとスタッフに指示を出して行動をする涼ちゃん。
近頃、最年長らしさがよく見えるようになったなあと思う
涼ちゃんが天然なのは変わらないけど。
…自分、何も出来てないな、なんて考える。
涼ちゃんは最年長として引っ張って支えてくれている。
元貴には様々なことをしてもらって、こうやって倒れるまで無理をさせてしまった。
でも俺は、何も出来ていない。
二人に迷惑を散々かけただけで…
『…若井?』
涼ちゃんの声にハッとする。
そうだ、今は俺なんかのことより元貴のことだ。
椅子に座らせて寝かせていた元貴をおんぶして、
楽屋へと走って向かう。
「っ、あ、」
涙を掻き消すように 必死に走った
自分の無力さを痛感させられて苦しかった
一番辛いのは元貴なのに
なんで俺がこんなに苦しんでんの…?
「っ…、」
おれは
おれは…?
「……………ごめん…」
なにもできない?
コメント
1件
うわぁ、 辛いのがよくわかる 、 😭