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「凪コンビニ寄って行かへん?」
部活が終わり、自転車に鍵をさすと滝原くんが声をかけてきた。
「え、あ、うん」
「凪こん中やったらどれ一番飲みたい?」
「んー、、これ?」
「おっけ、これな」
滝原くんは私が指さしたジュースをレジに持って行った。
「はい」
滝原くんが買ったジュースを私に差し出した。
「、え、いいよ」
「凪に買ったんやから、入部記念として受け取ってや」
「入部記念、、ありがとう」
滝原くんは少し笑って軽く頷いた。
「凪さ、前の高校で使ってた袴あるやんな?」
「うん、あるよ」
「俺凪が袴買う前提で話してもうてたけど、袴って結構高いやん?前の学校でも買ってここでも買ってってなったらだいぶかかるよなあって思ってさ」
袴は、上は5,6000円、下は1万円近くかかる。
「だからもし俺らと違う袴でも大丈夫なんやったら前の袴使ってもいいし、裾長かったけどいけそうやったら岸先輩のやつ使ってもいいしって思って。とりあえず今度の中庭のんは先輩のやつになるけど」
「、、しっかりしてるね、、」
「え?いや、まあまあまあ部長やし!」
日高くんが頼りになると言っていたのを思い出した。
「◼︎◼︎高の袴見たことあるけどめっちゃかっこいいしさ、俺着たいくらいやもんあれ」
上と下に花の柄が入っていて、下は女子は紫、男子は紺だった。その袴を着たいからという理由で入部する人も多かった。
「確かに前の袴すごいかっこよかったけど、、お母さんも書道続けるの応援してくれてて、ちゃんとおっけーもくれてるから」
「そうかそうか、お母さん優しいなあ」
「うん。それに私もみんなと同じ袴着たいから、ちゃんと自分の名前が入ったやつ」
「めっちゃええこと言うやん、、」
「え、そんないいこと言った、、?」
「言ったよなかなか心に来たで、、」
本当に、本当にいい人なんだろうなと改めて思った。
「じゃあ凪の袴届くの俺も楽しみにしとくな」
滝原くんはまた優しく笑った。
「あ、渡すの遅れてごめん、これ7月の予定表」
滝原くんが半分に折った予定表をさっと渡してくれた。
「夏休みの予定がどうなるかまだわからんねんけど、練習だけじゃなくてみんなで課題進める日とか、夏休みにおんちゃんの誕生日あるからパーティーしたりとかもあんねん」
「そんなのあるんだ、、」
「めっっっちゃ楽しいからほんま楽しみにしてて」
「うん、楽しみにしとくね」