テラーノベル
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「小柳君‥‥‥‥どこに行ったんですか?」
「あの‥‥小柳さんは違う部屋に移されました」
「違う部屋に?」
「‥‥あの私は用がありますのでこれで失礼しま‥‥」
「どこの部屋ですか? 」
小柳君が居たガラスの周辺に置いてあった棚の資料を持ち、立ち去ろうとする研究員を問いただす
「それは‥‥あの、少しお待ち下さい。所長に確認しますので」
「‥‥はい」
「急変した‥‥とかではないですよね?」
「それは違います」
それを聞いて少し安心した
でも小柳君を見ていない
だから確認したい
「星導君?」
「あ、はい」
振り向くと白髪の紳士が立っていた
この人が所長なのかな
「小柳君のお友達だね。こちらにどうぞ」
「はい」
所長が扉の前でノックをする
「‥‥はい」
小柳君の声だ!
目が覚めたんだ
「今から会わせてあげるけど‥‥先に伝えておくよ。小柳君は記憶を無くしている」
「‥‥‥‥え?」
「かなり前の記憶しか無い。だからあまり質問責めにしないでおくれ」
「‥‥‥‥」
「どうする?会うかい?」
「‥‥それは‥‥会いたいです」
会いたい
でも頭が追いつかない
小柳君が記憶喪失?
俺が取り戻したのに‥‥
所長が扉を開ける
目の前に白いガウンを羽織った小柳君が後ろ向きで立っていた
俺は一歩ずつ近づき、後から声を掛ける
「‥‥小柳君」
「‥‥あ、はい‥‥」
「‥‥小柳君‥‥‥‥あの‥‥」
「初めまして‥‥ではないですよね」
「そう‥‥ですね」
小柳君が振り向き俺の顔を見た
知らないものを見る様に‥‥
そして俺に話しかける
「すいません‥‥俺‥‥何も覚えてないみたいで‥‥」
俺に対して敬語で話す
それが俺の胸を抉り取る
小柳君もそうだったの?
俺が記憶を無くして敬語で知らない人に語りかけるみたいにされて‥‥
こんなに胸が痛んだ?
「俺の事見て‥‥何か思い出せそうですか?」
「いえ、今のところは何も‥‥」
何も‥‥
少しの引っ掛かりもない?
俺達の関係も忘れて?
「今日のところはこれくらいにして、小柳君も休みたいだろうから‥‥」
「小柳君はどこに行くんですか?」
「しばらくはここにいてもらうよ」
「俺も‥‥側にいて良いですか?」
「‥‥でも」
「無理はさせませんから!小柳君の話し相手くらいに思っていて下さい。治療の邪魔はしませんから‥‥良いですか?所長、小柳君」
「まぁ、そう言うなら日常のお手伝いなんかしたもらえたら良いかな。お友達なら小柳君の事知ってるだろうし。小柳君さえ良ければ」
「俺は‥‥でも迷惑になるから」
「迷惑なんて思いません。こちらからお願いしてるんです。一緒にいさせて下さい」
「‥‥それならよろしくお願いします」
よそ行きの小さな声
何もわからず不安だろう
それは俺も知ってる
「それじゃ部屋は隣が良いかな」
「はい」
「鍵は渡しとくよ」
鍵を受け取り部屋を後にする
そして俺はいつもの癖で‥‥
「‥‥‥‥あの」
「どうかしました?」
「‥‥手」
「あっ‥‥!ごめん‥‥」
勝手に手を握り歩いていた
小柳君が困った顔で下を向く
「あの‥‥歩くのが遅くてとかじゃないから‥‥その‥‥」
「いえ‥‥‥」
俺は何を言っているのか‥‥
これからは気をつけないと
俺が不安にさせてどうするんだ
俺たちの部屋の前まで来た
小柳君が鍵を取り出す
「あのさ‥‥部屋に戻る前に少し俺の部屋に入らない?」
「え‥‥でも‥‥」
「少しで良いから‥‥体、無理そう?」
「いえ‥‥じゃあ少し‥‥」
君に会いたい人はいっぱいいるんだから
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コメント
2件
/ 大事な思い出ほど思い出しにくいらしいと誰かから聞いた記憶が...こや記憶まじか... でも絆で思い出せると信じてる 思い出せなくても前みたいに、 続き待ってます!!